定年後の日々、自由な時間が増えたのは嬉しいけれど、何をして過ごそうか迷っていませんか。
テレビや動画鑑賞も楽しいですが、それだけでは脳は十分に刺激されません。
実は、脳を活性化するためには、ただ情報を受け取るだけでなく、自分から何かを発信することがとても大切なんです。
調べて、考えて、それを自分の言葉で表現する。これは、脳のトレーニングにとても効果的で、ボケ防止にもつながると言われています。
このブログでは、その方法の一つとして、誰でも簡単に始められる「ブログ」の取り組み事例を、64才から私が始めてみた事例でご紹介します。決して難しくはありません。
そして、この一年でやってみた、その他の「発信に関する」デジタルコンテンツの取り組み事例もご参考までにご紹介します。
気になることが有れば関連記事も覗いてみてください。
あなたも、自分の経験や知識を発信して、充実したセカンドライフを送ってみませんか?
脳の健康を考える:脳は使わないと退化し、認知機能の低下につながる
「調べて、考えて、それを自分の言葉で表現する」という知的活動
定年後の生活で大切なのは、心身ともに健康を維持することです。
特に、脳の健康は、その後の人生の質に大きく影響します。
そこで注目したいのが、「調べて、考えて、それを自分の言葉で表現する」という知的活動です。
これは、脳の様々な領域を活性化し、認知機能の維持・向上に効果があるとされています。
近年、認知症予防の観点からも、知的活動の重要性が注目されており、単に情報を受け取るだけでなく、自ら情報を処理し、発信することが、認知機能の維持に有効であることが示唆されています。
調べることで、「ワーキングメモリ」を鍛える
具体的に見ていきましょう。
まず、「調べる」という行為は、情報を収集し、整理する過程で、脳のワーキングメモリを活性化します。
ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持し、処理するための脳の機能であり、思考や判断、学習に不可欠です(Baddeley, 2012)。(緑文字は研究内容、論文などの参照情報で、末尾にタイトルなどを添付しました)
これは、例えば電話番号を覚えたり、料理のレシピを一時的に記憶するなど、一時的な記憶を司る機能で、この記憶領域を広くできると、色々な作業をスムーズに進めることができるのです。
情報を取捨選択し、関連性を理解しようとすることで、ワーキングメモリは鍛えられ、認知機能の低下を防ぐ効果が期待できます。
ワーキングメモリの機能低下は、認知症の初期段階でよく見られる症状の一つであり、日常生活における様々な困難を引き起こします。
情報を積極的に「調べる」ことでワーキングメモリを鍛えることは、認知症予防に繋がる可能性があります。
考えることで、「前頭前野」を鍛える
次に、「考える」という行為は、前頭前野の活動を活発にします。
前頭前野は、計画立案、意思決定、問題解決など、高度な認知機能を司る重要な領域で、脳の「司令塔」のような役割を果たしています。(Miller & Cohen, 2001)。
調べた情報を基に、自分なりの解釈を加えたり、意見を形成したりすることで、前頭前野が刺激され、認知機能の維持・向上に繋がります。
前頭前野は、認知症、特にアルツハイマー型認知症において、早期から機能低下が見られる領域です。
積極的に「考える」ことで前頭前野を活性化することは、認知症の進行を遅らせる効果が期待されています。
表現することで脳内の「情報ネットワーク」を強化し、「認知機能」を鍛える
そして、「自分の言葉で表現する」という行為は、脳内の情報伝達をスムーズにする役割を担うシナプスの結合を強化します。
シナプスは、神経細胞同士の情報伝達を担う接合部であり、学習や記憶に深く関わっています(Shatz, 1992)。
シナプスは、神経細胞同士をつなぐ「通信回線」のようなものです。この回線が太く繋がりが強いほど、情報伝達がスムーズになり、学習や記憶が向上します。
アウトプットを通して、脳内の情報ネットワークが強化され、認知機能の維持に貢献すると考えられます。
認知症は、シナプスの減少や機能不全と深く関わっていると考えられています。
積極的にアウトプットを行うことで、シナプスの維持・強化に繋がり、認知機能の低下を抑制する可能性があります。
知的活動を通して、脳の「予備力」を鍛える
さらに、近年では、知的活動が脳の予備力(cognitive reserve)を高めるという考え方が注目されています。
脳の予備力とは、脳が損傷や加齢による変化に耐える能力のことであり、知的活動を通してシナプス結合を増やしたり、脳のネットワークを強化したりすることで高まるとされています(Stern, 2002)。
つまり、脳の予備力とは、文字通り脳の知的活動に対する予備能力の貯金のような意味合いで、加齢による脳の変化や病気などによるダメージに強くなり、認知機能の低下を防ぐことができると言われています。
高い脳の予備力を持つ人は、脳に変化が起きたとしても、認知機能の低下が現れにくいと考えられています。
「調べて、考えて、それを自分の言葉で表現する」ことで得られる効果
つまり、「調べて、考えて、それを自分の言葉で表現する」という活動は、ワーキングメモリ、前頭前野、シナプスに働きかけ、脳の予備力を高め、認知機能の維持・向上、認知症予防に効果的です。
ブログなどの情報発信は、まさにこの知的活動を実践する絶好の機会ではないでしょうか。
発信者としての活動には、ブログが超オススメ
調べること、考えること、見極めること、計画・構築すること、言葉を紡ぐこと、ブログは自分を振り返るのに必要な多くのプロセスが詰まっています。
私は、まだ始めて間もないですが、既にその有益さと楽しさを身に沁みて実感していて、強くお勧めできます。
確かに、誰にも読んでもらえない時期もあり、なかなか読者数が増えないし、ましてや収益化は遠い道のりかも知れませんが、それらを凌駕する様々な気づきが得られることを確信しています。
ブログは収益化を前提とすべきか
収益化(お小遣い稼ぎ)の考え方は、私の経験に基づく回答は「NO」です。
シニアのブログでは、お小遣い稼ぎはさておき、日記代わりの発信者としての活動の場と割り切り、収益化は人気になり読者が増えてきてから考えたらよいのではないでしょうか。
ブログは、誰かに向けて作品を作るためになすべきことが多く、少し大変なこともありますが、努力自体に価値があり、その点で日記に代えて挑戦することをお勧めします。
ということで、簡単に始められる無料ブログで始めることをお勧めします。
とてもセンスがあって、いきなり大成功する人もいるかもしれませんが、少なくても、大多数の人はブログでいきなりたくさんの読者を得ることは難しいと考えられますし、私もそうでした。
例外としては、SNSなどで既に有名な方、特定の分野で非常に強みがある方は、いきなり成功する可能性は高いようですので、収益化も考えて始めてもいいかも知れません。
ブログを始めるための第一歩
考えすぎて始められないのが最も時間の無駄です。
ブログを始めるのに必要なことは、やりながら試行錯誤で覚えましょう。
ブログは書きながら学べる理由は以下のとおりです。
- ログはYouTube動画と違い、書いて発信してからも、何度でも書き直しが出来ます
多くの人が書き直し(リライト)はやってます - 始めは殆ど見てもらえないので、まずは発表してからの見直しでも現実的には全然問題有りません
- やりながら、他の人のブログを見ながら学んでいくのをお勧めします
今は、YouTube動画で様々な情報が入手できます。無料ブログもたくさんありますので、後ほどご紹介します。
ただし、以下の点は強く心がけましょう。
- 書いた文章は必ず見直す習慣を厳守する
- その時のベストを尽くして、調べて考えて書く(一人でも見てくれる人に失礼にならないように!)
- ある程度の取り組み姿勢(厳しめの表現で言うと「覚悟をもって」)で臨む
何故なら、初心者の多くは、どうしても記事の質は高くなりにくく、真剣な取り組み姿勢で向き合わないと、ある程度以上のレベルに達するのすら難しくなりかねません。
しかし重要なのは、楽しんでやることです。くじけずに続けることが最も重要な点です。
主要な無料ブログサービス
代表的な無料ブログとその特徴をご紹介します。
- はてなブログ:カスタマイズ性が高い
・デザインのカスタマイズ性が高く、HTML/CSSの知識があれば高度なカスタマイズも可能
・「はてなブックマーク」との連携が強く、記事が拡散されやすい傾向がある
・ブログ初心者から中級者まで幅広い層に人気
・デザインにこだわりたい方、記事を多くの人に読んでもらいたい方におすすめ - FC2ブログ:広告表示が比較的少ない
無料プランでも広告表示が比較的少ない
比較的自由なテーマでブログを開設できる
テンプレートが豊富
無料プランでも容量が比較的大きい
幅広いジャンルでブログを運営したい方、無料でも広告を抑えたい方におすすめ - Blogger (ブロガー):Google提供のサービス
・Googleが提供するサービスで、Googleアカウントがあればすぐに始められる
・アフィリエイトに制限がなく、独自ドメインも使用可能
・シンプルなインターフェースで初心者でも使いやすい
・広告表示も比較的少ない
・アフィリエイトで収益化を目指したい方、シンプルなブログを作りたい方におすすめ - ライブドアブログ:著名人も利用
・芸能人や著名人も利用していることで知られる
・無料プランでも容量無制限
・デザインテンプレートが豊富
・ブログコミュニティ機能も充実
・容量を気にせずたくさん記事を書きたい方、ブログコミュニティに参加したい方におすすめ - アメーバブログ:女性ユーザーに人気
・コミュニティ機能が充実しているなど
・女性ユーザーが多く、特にライフスタイル、美容、育児などのテーマで人気
・アメーバピグなどのコミュニティサービスとの連携が強い
・デザインテンプレートが豊富で、初心者でも簡単にデザイン性の高いブログを作成できる
・商用利用は基本的に不可
・同じ趣味を持つ人と交流したい方、女性向けのテーマでブログを書きたい方におすすめ - note (ノート):多様なコンテンツを発信可能
・文章だけでなく、画像、音声、動画なども投稿できる
・記事を有料で販売できる機能がある
・シンプルなデザインで読みやすい
・クリエイター向けのプラットフォームとしての色が濃い
・文章だけでなく多様なコンテンツを発信したい方、コンテンツ販売で収益化を目指したい方におすすめ
ブログからは得ることばかり
やってみると、自分の至らない部分が次々に湧き出てきて、未熟さに驚きますが、それはまた楽しみでもあり、続けることでずいぶんと進歩してきたと実感できるのです。
具体的には、文章力の無さ、知識の無さ、読んでもらうために必要なことへの理解の致命的な不足、構成力の無さ、企画力の無さ、調査の浅さ、等々、いくらでも「未熟の発見」ができます。
特に有益なのは、世の中にある情報の真偽を考える癖がつき、いかにこれまでの認識が甘かったかを知ることができます。
つまり一方的な「情報の受け手」だった自分が、いかにその真実性を疑ってなかったか、そして「何が真実か」を調べることがとても面白いことを知る機会に出会えたのです。
簡単なブログのコツ
まだまだ未熟な私かお伝えするのは大変僭越なのですが、私が実体験で実感して、特に重要と感じたことをお伝えします。
- 何のブログか分かるように、タイトルやデザインを考える
・自分の思い込みが強すぎる表現は、読者には分かりにくいことことがあるので注意しましょう
・読者の興味を引くキーワードを入れる
・シンプルなテンプレートを選び、フォントや色使いに統一感を出す - 同じ情報量なら、文章量は少ない方が良いので、冗長で無駄な文章にならないように気をつける
・例えば、『非常に重要なことなので、特に強調してお伝えしておきますが、~』という表現は、『重要なのは~です』と短くできます
・当たり前ですがブログは、サッと読みたい人も多く、長すぎる文章は敬遠される傾向が強いです
・どうしても人は「言いたいこと言い過ぎる」傾向があるので、意識しましょう
・一段落は短く、3~4行程度にし、箇条書きや見出しを活用しましょう - 自分が「書きたいこと・書けること」を書くのではありません
・ブログは読者に向けて書くものであり、読者何をが求めているのかを第一に考えます
・つまり、そのためには、「調査」することで自分の知識を補完する必要があるのです
・そして、読者の疑問に答えるように書き、専門用語は分かりやすく解説することも大切です
発信することは、ブログだけではない
ブログ以外にも、以下の活動は脳の活性化に有効です。
ここでは、私が最近取り組んだ事例をご紹介します。
ブログとは異なる形で発信することも、脳の活性化に繋がります。コンテンツ(内容や素材)を発信するための準備には知的活動が伴います。
ご紹介内容については、詳しくは別の記事でご紹介していますので、ここでは簡単にご紹介に留めます。
AI画像で画像編集ソフトを使いLINEスタンプを作成・登録
FireAlpacaという無料ソフトを使って、画像を編集し、イラストをLINEスタンプとし登録してみました。
この時のチャレンジの具体的な内容等は、「簡単なLINEスタンプの作り方紹介 ~意外と売れます:初売り上げの感動、利益もご報告~」の記事にご紹介していますので、ご覧いただける幸いです。
幸いなことに作成後2~3か月でいくつかはお買い上げいただけましたが、収益という点ではまだまだ非常に厳しい戦いです。個人的に楽しむ程度にはいいですが、一山当てようと思ったら、やることは多分多く有りそうです。
AdobestockとPIXTAで写真とイラストの登録
AdobestockとPIXTAに、自分が撮影した写真や作成したイラストを登録してみました。
具体的には、「AdobestockとPIXTAでストックフォトに挑戦:売れる写真のコツと秘密を大公開!」にてご紹介してます。
売れない写真と売れた写真から、少しはニーズの理解ができた気がしますので、今後も細々ですが継続的な取り組みを考えています。
こうしたことは、事前の言語情報で多少は理解していたつもりですが、やってみないと身に染みて理解できない部分があります。
DaVinciResolveで動画編集
DaVinciResolveによる動画編集に関しては、「シニアの動画編集:【DaVinci Resolve】で家族の記録を素敵な思い出に」にてご紹介してます。
DaVinciResolveというソフトを使って、自分のスキー動画を編集しました。ある程度の学習は必要ですが、何とか人に見てもらえるレベルで満足のいく内容にはなりました。
今後もスキルを深めていって、いずれはYouTube動画も発信できるようになればいいと思っています。
動画編集自体も面白いと思いますし、それ以上に認知力の訓練として動画編集ソフトの操作を覚える事にも大きな意味があると感じています。
これらの活動は、ブログと同様に、情報を整理し、表現するという知的活動であり、脳の活性化に繋がります。ブログと並行してこれらの活動に取り組むことで、より多角的に脳を鍛えることができるでしょう。
まとめ
何らかの「外部発信」において重要なのは、「やりたい事や、出来る事」をするのではなく、「求められている事で、需要のある事」をすべきであること、を理解しなければなりません。
そのためには、今の自分の情報が十分ではないという自覚も重要です。
そして、不足した情報を調べ、真偽を吟味し、改めて自分の思考を見つめ直し、伝えたいことを整理し、発信する内容を構築するのです。
これが実はなかなか簡単ではないのですが、だからこそ脳は活性化されます。まずはいろいろやってみることをお勧めします。
単純に日記のように書き留めるだけでもいいのですが、誰かに伝えるために文章を創り上げることは、より労力が必要となり、「脳を活性化する」という目的に沿うものだと考えます。
貴重な定年後の自由な時間を価値あるものにすることは、実はその先の何十年の生活を豊かにするものだと思いませんか。
皆さんも是非、ブログの楽しさと価値を感じて、挑戦してみてください。決して後悔することはないと思います。但し、諦めない気持ちは必要です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献:
- Baddeley, A. (2012). Working memory: Theories, models, and controversies. Annual Review of Psychology, 63, 1–29.
〔解説〕ワーキングメモリに関する古典的な研究であり、現代のワーキングメモリ研究の基礎となっています。 - Miller, E. K., & Cohen, J. D. (2001). An integrative theory of prefrontal cortex function. Annual Review of Neuroscience, 24, 167–202.
〔解説〕前頭前野の機能に関する包括的な理論を提示しており、前頭前野が高度な認知機能にどのように関与しているかを理解する上で重要な文献です。 - Shatz, C. J. (1992). The developing brain. Scientific American, 267(3), 60–67.
〔解説〕シナプスの発達と機能に関する解説であり、学習や記憶におけるシナプスの重要性を理解するのに役立ちます。 - Stern, Y. (2002). What is cognitive reserve? Theory and research application of the reserve concept. Journal of the International Neuropsychological Society, 8(3), 448–460.
〔解説〕脳の予備力に関する重要な論文であり、その概念と研究応用について詳しく解説しています。
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