なぜ、今年の大阪湾のタチウオは、これほどまでに好調なのでしょうか。
そして、なぜ同じ船に乗っているのに、20匹以上釣る人と、ほとんど釣れない人がいるのでしょうか。
実は、この2つの「なぜ」は、同じ本質でつながっているのです。
タチウオに限らず、釣りは運ではありません。
海の中の変化と魚の行動、そして人間の操作が噛み合ったときにだけ釣果が伸びる、非常に“構造的な遊び”ということなのです。
本稿では、以下の内容を「海の変化」からの視点で解説します。
- なぜ今年、瀬月内では例年よりタチウオが好調なのか
- なぜ同じ条件でも、人によって釣果に差が出るのか
- 来年以降、瀬戸内の釣りものはどうなるのか
結論:今年釣れている理由は、(たぶん)「黒潮大蛇行の終了」
2025年1月時点では、大阪湾のタチウオの漁獲量は例年比では少なかったそうです。
それが、黒潮大蛇行が終了した5月以降の夏場では、私たちがお世話になる遊漁船でも、明らかに太刀魚の量が多い感じで、アタリの数が違いました。ここ数年と比べても明らかに活況を感じる状況でした。

タチウオ活況の原因
今年のタチウオ好調の最大要因は、黒潮大蛇行の終了が大きく影響していると考えられます。
気象庁と海上保安庁は、今年8月に、「2017年から約8年続いた黒潮の大蛇行が、2025年4月に終息した」との判断を発表しています。
思い返せば、黒潮大蛇行が始まった8年くらい前というのは、それ以前と瀬戸内海の海の様子が変わったと感じ始めた時期です。それ以前は、私でも指4本サイズのタチウオを30匹とか釣ってましたが、その後、確かに釣果は大きく低下傾向でした。

黒潮大蛇行の終了により、今、海の中で起きていること!
黒潮大蛇行の終了により、紀伊水道からのプランクトンやエサの小魚の流入増加に伴い、回遊性のタチウオの群れが紀伊水道を通って大阪湾に多数流入し、例年にない釣果につながった可能性が高いのです。
- プランクトンの流入増加
- イワシなどベイトの増加
- 回遊魚(タチウオ)の流入増加
海の状況が変わったに違いありません(半分期待)!
今年は「小型が多い」理由と来年への期待
釣れてはいるが、小さいサイズが多いのはなぜでしょう。
それは、流入した群れの多くが3年目までの個体だったからだと考えられます。
タチウオは4年目くらいで1mに近づきます。
- 1歳:おおむね 20〜40 cm
- 2歳:25〜60 cm (幅が大きい)
- 3歳:30〜80 cm (幅が大きい)
- 4〜6歳:100 cm級に達する個体はこの年齢帯(個体によって大きく差が出る)
来年への期待
今後、瀬戸内海にとどまり、豊富なイワシなどのエサにより大型化する個体が増えれれば、来年の大型タチウオへの期待が高まります。そのための条件は、大阪湾での越冬比率と、外洋流出後の翌春に再流入する個体の状況が重要になります。
来年が期待できる理由
- 近年は、大阪湾〜瀬戸内の冬の海水温が10〜11℃までしか下がらない年が多い
- その影響もあり、大阪湾でのタチウオの越冬比率は20〜40%程度と高め
・タチウオは8℃を下限として行動が鈍り、エサのイワシの減少で外洋を目指す個体が増える - この冬の大阪湾の海水温が10℃を下回らず、エサの減少が少なければ、来年は期待できる!
つまり、来年は、大阪湾で越冬してイワシなどのエサで大きくなった”ドラゴン”が期待できそうなのです。
補足:黒潮大蛇行終了の恩恵
温かい黒潮が特に紀伊半島に近づくことで、黒潮に伴って離れていたプランクトンやベイトフィッシュが戻り、連動して多くの魚が戻ってくる可能性が高くなりそうです。
また、紀伊水道沖の海水温も、5年平均に対して近年明確な上昇傾向が示されており、冬場でも比較的高水温が維持され、南方系の魚が接岸しやすくなることがも期待されます。

ただし、海水温の上昇は、地球温暖化の影響なのか、黒潮の大蛇行が寄与しているのか、詳細は定かではありません。
それでも、釣り人によって釣果に差が出る理由とは
海の状況が変わり、誰でも釣れそうな状況でも、はやり同じ船で釣果に差が出ます。
それは、よく「腕の差」と言われますが、その本質は、「どうすれば釣れるのか、なぜ釣れるのか」を理解し、実践できているかどうかの差ということです。どんなに船に通っても、何も考えずに同じことをしていては腕は上がらないということです。
それは、海の状況を観察し、理解することと同じです。
こうした部分が、釣りの本当の楽しみだと思っています。
その前提で、あえて、テクニック的なことに触れてみます。
👉この辺りは、別記事でも細かくご紹介していますので、興味があったらこちらも覗いてみてください。
① タナ(最重要)
タチウオは幽霊魚と呼ばれるように、突然釣れる層が変わる魚です。そのため釣れる層を見つけたら集中してそのタナを責めるのがセオリーですが、あたりがなくなったら、幅広く探るか、情報を共有することがとても重要です。
タチウオは“いる層”がすべてで、どこにいるかを探す釣りでもあります。
- タナが合っていない=魚がいない場所で釣っている
- タナが合っていれば初心者でも釣れる(かも)
② 誘い(状況対応)
そして、タチウオの活性状況に応じて誘い方も工夫が必要です。
タチウオは活性で反応が変わります。
- 高活性 → 強めでもOK
- 低活性 → 繊細な誘いが必要
周りが釣れて自分だけ釣れない時は、誘いがズレている可能性も高いです。
③ アワセ(決定力)
そしてアタリがでたら、タイミングを測って強く短いアワセがとても重要になります。
タチウオは、口の中に針がかかる釣りではなく、テンヤの針を太刀魚の顔の外側から引っ掛ける釣りです。
つまり、アワセの動作ができないと、釣れる可能性は大幅に低くなります。

大切なのは、タチウオの歯がエサをくわえているタイミングで、このアワセの動作を行わないと、「テコの原理での針がかり」ができません。
アワセは強くないと針がしっかり刺さりませんし、「短く」ないと、空振りの時に仕掛けが大きく上に抜けてしまい、タチウオの視界から完全に消えて、「アワセが次の誘いになる」効果がなくなり、自らチャンスを放棄することになります。
実戦面での推奨:釣れる日の見極め
今年は好調とはいえ、日によって差はありますが、ポイントは「潮」まわりです。
- 潮が速すぎる → 食いが落ちる
- 小潮まわり → 安定しやすい
さらに重要なのが 地合い(時合)で、タチウオの食いが立っている時間帯にどれだけ釣るかで、その日の釣果が決まります。捕食が下手なので、潮の流れが速すぎるとアタリが激減しますし、潮の流れがないと食いが立ちません。

まとめ
今年のタチウオ好調は、過去の実績と状況から判断して、黒潮大蛇行の終了によって海の構造そのものが変わった結果だと推察されます。
しかし、同じ海でも釣果に差が出るのは、「海の中の状況を理解しようとしているかどうか、必要な実践スキルを学んでいるかどうか、そして実践できているかどうか」の差です。
それこそが、釣りの面白さだと思います。
今年の状況を見る限り、大阪湾のタチウオは“回復局面”に向かっている、と期待できそうです。
そして、来年は、「数」から「型」へ移行する期待も高いと感じています。
来年は、初心者 が数釣りで経験を積み、経験者はその中で大物をゲットする絶好のタイミングかもしれません。

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