【釣り人必見①】釣った魚を美味しく食べるために必要な鮮度維持の方法:魚の〆方・冷やし方とその理由

船釣り

釣り人の皆さんは、釣り上げた魚を納得レベルで美味しく食べられていますか?

釣りのもう一つの楽しみである「新鮮な魚を美味しく食べる」ことは、単に釣りたての魚を持ち帰ることだけでは実現できません。

「釣り上げた直後から持ち帰るまで」が適切でないと、折角の釣り人の特権は無駄になりかねないのです。

船の上のほんの少しの配慮で1クラス上の美味しさに変わる、釣り上げた魚の鮮度維持の簡単なポイントと、何故そうしないとダメなのかの理由をご説明します。

みなさんも、本当の意味での「釣り人だけが経験できる新鮮な魚」の味を経験してみませんか。

釣り上げた魚を「新鮮な状態のまま」で持ち帰るために必要なこと

スキルや船上での状況によりますが、釣り上げた魚の鮮度維持には下記が推奨されます。

  1. 脳締め魚の代謝活動をできるだけ早く停止させる重要】 
  2. 血抜き:身質の劣化防止のため、特に大型魚熟成を行う魚など必要性と状況に応じて行う【重要】  
  3. 神経抜き大型魚熟成予定の魚などでは、代謝の停止と緩やかな死後硬直のために実施【重要】 
  4. 魚の冷却:魚の鮮度に有害な体温が高い状態を解消するためにとにかく早く冷やす【最重要

具体的な方法や、その効果など詳しくは後程、項目ごとにご説明します。

全部は無理!と言うとき:どれか一つやるなら

道具がないとか、地合いでそんな暇がないとか、いろいろ事情で無理な時には、最低限の処置としては下記の方法をお勧めします。

  • クーラーに海水と氷をいれて、そこに釣れた魚を釣り上げたら「すぐに」放り込みます
    ・暴れる時間を短く、魚をすぐに冷やすことが魚の鮮度には最重要です
    ・そして、できれば港に帰ったらクーラーの海水を抜きましょう
    ・更にクーラー内の氷が少ない場合は、魚に直接触れないようにして氷を追加して持ち帰ります

魚の鮮度維持のため目的と注意点:何故必要かを知る

  • 釣り上げたらまず脳締め:無駄に暴れさせるとATPを消費し、旨味の元が消失
  • 血抜き:特に熟成予定の魚や、大型魚(臭みや雑菌の繁殖抑制)
  • 直ちに冷却:何をさておき、海水氷でとにかく素早く冷やす(鮮度の大敵はバケツ内放置!)
  • できれば神経締め:脳締めしても神経は生きているので無駄なATP消費は続く
  • 冷やし過ぎない:過冷却は回復困難なダメージになります(0℃近くで長時間放置はダメ)
  • 適温で持ち帰る:持ち帰りは2~5℃程度をめどに(冷やし過ぎない温度の目安)

絶対やってはダメなこと:折角の釣りたての魚の「鮮度」が台無し

実際に行われているのを目にすることが多い内容ですが、全て魚の鮮度低下や身質低下に直結します。

  • いつまでもバケツの中に放置している:魚の鮮度が低下し、旨味も減っていきます
  • 魚が死んでからクーラーの中に入れる:魚の鮮度が低下し、旨味も減っていきます
  • クーラーの中に氷だけ入れて、その周囲に魚を放り込む:魚の冷却が不十分で、一部だけ過剰に冷えます
  • バケツの中やクーラーの中で魚が暴れている:どんどん魚の鮮度が低下し、旨味も減っていきます
  • 海水と氷が入ったクーラー内に魚を放置し、そのまま持ち帰る:過冷却になり身質が劣化します
  • 魚が暴れたり、扱いが雑であちこちにぶつかっている:打撲で魚の身質が低下します
やってはダメな魚の管理:野垂れ死に

魚の鮮度という意味では本当にダメなことばかりで、魚屋さんの鮮度以下になってしまいます。

「みんなやっているから大丈夫」ではありません。釣り人の特権の鮮度が台無しです!

少なくても「クーラーに海水と氷をいれて、そこに釣れた魚を釣り上げたら「すぐに」放り込む」をやるだけでもかなり違います。

釣り上げた魚の鮮度維持が重要な理由

魚の鮮度維持の結果、次の「美味しい魚」の条件を維持することができます。

美味しい魚の条件

  1. 元の魚の栄養状態運動環境が良く、魚の体高があり、張りがあり、ものっている(運しだい)
    体高とは:背びれからの身の立ち上がりが大きく、尻尾側まで厚みがあること
  2. 釣り上げ途中の格闘が少なく、魚の内部エネルギーのATPの消費が少なく、筋肉内の乳酸の蓄積も少ないこと(多少は仕方ないですね)
  3. 釣り上げてからの処置が適切に実施され、ストレスが少ない状態で直ちに締められて、素早く適切に適温に冷却されて、その後も適温で保存されていること

魚の鮮度を維持する上で最も重要なことは、釣り人の努力でできる3.の釣り上げてからの処置になるのです。

ATP:アデノシン三リン酸のことで、酵素で分解されて旨味成分の元となる有機化合物で、魚の鮮度にとって最も重要な要素です

鮮度維持ができないと起きる残念なこととは

釣りたての魚でも適切な処置ができていないと、次のように味や身質の低下が起こり「鮮度が良いとは言えない」状態になります。

  • 無駄に魚が暴れると旨味の元となるATPが大きく失われ、乳酸などによる身質劣化も招きます
  • 室温に近い状況で放置されると、普通に鮮度が低下し腐敗に向かいます(夏場などは最悪!)
  • 魚が暴れたり、雑な扱いで打撲などで身質が劣化し、食感も食味も低下します
  • 過冷却は、低音硬直により身質に回復困難な劣化を招き、食感や味を損ないます

釣り上げた魚の鮮度維持の具体的な方法:4つの実践編

尚、この一連の全ての処置に共通する重要事項丁寧な魚の取り扱いです。

1.釣り上げたらすぐに「脳締め」をおこなう:(余裕がなければ氷締め)

一刻も早く魚の代謝活動を停止させます【重要】

  • まずは確実に脳締めを行います 
    ・脳の中でも延髄(脊髄につながる、頭から遠い側)の破壊が特に重要です     
    ・重要なのは、脳締めという行為をすることではなく、確実な効果がある処置を実施することです
    中途半端な処置は逆効果となり、やらない方がいいぐらいですので特に注意しましょう
  • この時に魚を無駄に暴れさせずストレスを与えないような丁寧な扱いが重要です
    ・その後の血抜きのためにも、魚の心臓に負担をかけないよう、強く押えない配慮などが重要です
鯛の脳締め事例

神経抜きを行う前提の場合は、写真の場所からではなく、魚の正面から脳締めを行うのがより効果的です。
具体的な方法は、「神経抜き」の項の写真をご参照ください。

脳締めの目的と効果

  • 魚の代謝活動を停止させ、無駄なエネルギー(ATP)消費を防ぎ、身の損傷も防止できます
  • これにより体温上昇を抑制し、死後硬直の進行を遅らせる効果もあります
    ただし、延髄の破壊が不十分な場合は、死後硬直の遅延効果が無かったという報告もあります

失敗しない脳締めのコツ

  • 失敗する理由、は場所が分からない処置が不十分の2点に集約されます
    上の写真などを参考に、魚を暴れさせないように気をつけて、落ち着いて素早く処置します
  • 魚の動きが止まって口を大きく開ければ、うまく締まった証拠(口を大きく開けるだけではダメ)
    ・形だけやっても意味がなく、確実に脳細胞を破壊し、魚の動きが止まったことを確認してください

    ※YouTubeなどの動画で、不完全な脳締めにより魚が暴れ続ける失敗事例をよく見かけますが、これは脳締めの難しさを物語るもので、熟練と丁寧な処置が重要なことが分かります

2.必要性と時間的余力に応じて「血抜き」の実施

血抜きは、後述の「目的と効果」を考慮して、又現場の手間などから、場合にっては省略することも選択肢の一つですが、優先的にやるべき場合もありますので、以下で説明していきます。

血抜きは必ず、脳締め後に行います。

  • 血抜きは、必ず、脳締め後魚が無駄に暴れることのない状況で行います
  • 脳締めで呼吸は停止しますが、心臓は脳からの指令がなくても心臓自体がペースメーカーのような機能を持っているため、ある程度の時間、自律的に鼓動を続けることができます

血抜きの方法

  • 頭部に近い一番前側のエラ(第一鰓弓)を左右とも切断する 
  • 血抜きを重視するなら、現場の海水温度での海水中での血抜きが推奨される
    ・海水氷の低温状態では血液凝固により放血抵抗が大きくなり、効率的な血抜きとならない
    ・血抜き自体での体温上昇はなく、血抜き後に素早くしっかり冷却すれば大きな鮮度低下はない
    ・冷却を優先する場合でも、冷たすぎる環境は負担が大きいので、氷が海面に少し浮く程度にする
  • エラを広げて魚を振る動作は、必要最小限とする
    ・不完全な脳締めでは、魚を振ることで魚の脊椎反射による無駄なATP消費のリスクがある
    ・心臓の鼓動維持の邪魔する心配はほぼないので、上記以外のリスクはないが、効果も限定的
    (エラ根元でなく、背骨側の大動脈を切断する血抜きでは、この動作の有効性は少し大きい)
血抜き位置

血抜きの最適な方法は、実践検証が不足しているので確証は有りませんが、心臓からの放血と、エラ内の血液の放血両面の最適化の視点から、第一鰓弓の根元切断説を採用しました。
巷で多い、第二鰓弓(前から2つめ)の根元切断も有効なのかもしれませんが、今後の実践確認課題です。

血抜きをすべき魚

大型魚熟成予定魚鮮度低下の早い魚は、血抜きの有効性が高いので優先して行いましょう。

  • 大型魚は、小型魚に比べて血液量が多いため、血抜きの効果がより顕著です
  • 血液量の多い赤身魚や、白身魚でも30cmを超えるサイズも血抜きは有効です
  • 熟成する場合は、血抜きの有無で熟成後の風味に大きな差が出ることがあります
    (血液の酸化により様々な悪影響があるため)
  • アジやイサキ等、鮮度低下の早い魚も血抜きの効果が期待できます
  • 小型魚ながら身に血がまわりやすいカワハギも血抜きが有効と言われます

血抜きの目的と効果

  • 血液は酸化して腐敗しやすい為、血抜きにより特有の臭み身の変色防止できます
  • 血液中の成分は熟成後の風味、臭い、色合いの悪影響の原因のため、熟成予定魚では血抜きが有効です
    ・好みで、血の風味が邪魔にならない場合は、魚種にもよるが、血抜きは必ずしも必要ではない
  • 筋肉に血液が残っていると、その水分がドリップの原因にもなります
  • 血抜きは雑菌繁殖の抑制により、鮮度低下を遅らせる効果も期待できます
  • ただし、脳締め十分な冷却ができていれば特に中型魚以下では、血抜きの重要性は低めです

3.「神経抜き」は、必要性と余裕とスキルに基づいて実施

神経抜きは、脳締めだけに比べると明確な効果の差があります。しかし、一定の技術が必要なのと、手間がかかる為、現場での実施は下記を参考にご判断ください。

神経抜きの方法:実際の手順と注意点

神経棒
  • 神経抜きには、神経棒と呼ばれるステンレス製のワイヤーを使用するのが一般的です
  • 神経を確実に破壊するために、必ず魚の神経孔(脊髄孔)の大きさに適した太さの神経棒を使用します
    ・細すぎるワイヤーでは神経を十分に破壊できない可能性があり、失敗する重要な原因の一つです
    ・太すぎるワイヤーでは神経孔に入らず作業ができません
青物の神経抜きの説明図
  • 一般的には、頭側の神経締めの際にあけた穴を利用して、延髄に続く脊髄を破壊します
    ・魚体の側線を目安に神経孔の位置を予測し、神経棒を差し込み、魚が暴れ始める箇所を探すのが重要なコツです
  • 神経棒を一番奥まで進め、数回往復させることで神経を確実に破壊することが最重要です
    ・魚は反射的に大きく暴れるので、自分と魚を傷つけないよう、魚体をしっかりと保持します
    ・神経破壊は、神経棒の先端で押しつぶすイメージの為、ワイヤーは広く大きく動かします
    ・神経破壊は、背骨の端から端までを全て破壊しなければなりません
    ・神経は電気信号で筋肉に動きを指示するので、部分的にでもつながっているとダメなのです
    魚の神経孔の大きさと、ワイヤーの太さと長さが合わない場合、失敗するリスクはかなり高いので、神経抜きの実施は見送るほうが賢明です
  • 魚の動きが完全に止まったことを確認して作業を完了します
    ・中途半端な処置になるなら、やらない方がましです

側線:魚の体側にハッキリ目立つ線で、主に水流や水圧の変化、およびそれに伴う低周波の振動を検知する器官です

神経抜きすべき魚

  • 大型魚は、筋肉量が多いため神経抜きによる効果大きく、有効性が高いです
  • 熟成予定魚では、ATPの消耗防止と、緩やかで均一な死後硬直、解硬、均一な熟成の為に特に重要です
  • 鮮度低下が早いアジ、イサキでは、早くて強めの死後硬直による身質の低下を防ぐために神経抜きが有効です

神経抜きの効果と目的

  • 脊髄反射を含む全ての筋肉運動を停止させることで、ATPの消費を大幅に抑制します
    ・これは鮮度維持旨味成分の保持身質の維持に大きく貢献します
  • 死後硬直を遅らせるのが有名ですが、付随して緩やかな硬直、解硬と、均一な熟成特に重要な効です
    ・更に、鮮度低下の早い魚では、急速な死後硬直による身質の低下を防止する効果も期待できます
    緩やかな死後硬直、解硬、は特に均質な熟成には特に重要な効果をもたらします
    死後硬直遅延の効果としては、捌く時までその効果が維持できた時には身割れを防止できます

解硬:解硬とは、特に熟成前に必要なプロセスで、死後硬直後に再度筋肉が緩む状態を指します

補足:尻尾側からの神経抜きの手順、コツ、注意点

頭側からの神経抜きは、魚体への傷が少なく、魚の鮮度維持には有効な方法ですが、経験に基づくスキが求められるため、以下尻尾側の切断による方法がより簡単です。

  • 尾鰭の付け根付近(少し上側でないと神経孔が無い)を、神経孔が見えるように骨ごと切断し折り曲げます
  • 背骨の中心に見える神経孔(脊髄孔)を確認します
  • 神経孔から神経棒をゆっくりと挿入します

4.魚をできるだけ早く確実に「冷却」する 【鮮度維持の最重要ポイント】

脳締めや神経締めは神経系を介した筋肉の活動を抑制するのに対して、冷却筋肉組織を含む魚全体の代謝活動を抑制する効果があると言えます。

推奨される冷却方法の要点

  • 海水に氷を入れ0℃近くに冷やした海水氷を作っておき、そこに魚を入れて冷却します
  • 30分程度を目安にしっかり魚を冷やし込みます(時間は魚の大きさに応じて±10分程度で調整)
    0℃に近い温度での冷やし過ぎは、低温硬直という回復困難な劣化の原因になります(後述)
  • 魚が十分に冷えたら、海水氷から出して、冷海水で濡らした新聞紙などにくるみクーラー内で保温します
    ※クーラーの大きさや氷の量の問題で実施が困難な場合は、魚の冷却を優先するのがベターです
    何故なら、冷やし過ぎより、冷却が遅く不十分なことでの魚の劣化の方がより深刻なことが多いからです
クーラー内の海水氷で冷やし込み(海水が少なすぎNG例)

迅速な冷却の必要性と、冷却時の重要な注意点

  • 釣り上げられた魚は、格闘による代謝活動で既に体温が上昇しています
  • 魚を締めたり、血抜き、神経抜き中、処理後もその影響は一定時間継続しています
  • 魚の体温上昇は、鮮度低下の大きな問題点で、早急な冷却鮮度保持において最重要です

魚の冷却の遅れや、冷却不足がもたらす深刻な問題

  • 自己消化酵素の活性化が進み、身の分解が早まり、温度が高いと腐敗に進みやすくなります
  • 細菌の繁殖が活発になり、腐敗を引き起こします
  • 残存するATPの消費が早まり、旨味成分の生成量が減少します。
  • 特に夏場など、船上の環境温度が高い場合は、魚の劣化への影響が深刻になります

魚の鮮度維持においては、冷却特に重要な処置ですが、上述の通り冷やし過ぎなど注意すべき点も少なくありませんので下記に改めて説明します。

魚を冷却する時の重要な注意事項
  • 0℃近い海水氷で、魚を長時間(数時間以上)の冷却をすると、低温硬直の原因となり、復帰困難な身質の劣化を起こし、これは熟成魚でも深刻な影響となります
    ➡冷やし込みが完了したら海水氷から引き上げて、以降は低温硬直が起きにくい2~5℃で保管する
  • 魚の一部に氷が直接当たると、部分的な強い硬直や身の劣化を加速し、魚体の硬直ムラや、細胞膜の損傷などによるドリップや食感低下の不具合の原因になります
    ➡魚を冷やす場合、魚に氷が当たらないように、氷を袋に入れ身の部分を避けて配置したり、魚との間に新聞紙やタオルを挟みます
  • 急激な冷却は、急速で強い死後硬直を招き、熟成過程においては酵素の働きが不十分となり、熟成が不均一になったり、旨味の生成が不十分になったりする可能性があります
    ➡身質を適切に維持するためには、できる限り段階的で均一な徐冷が必要です(現実的にはやや困難)
低温硬直のはなし
  • 低温硬直は、通常の死後硬直よりも筋肉が硬くなる傾向があります
  • 一度低温硬直が起こると、温度を上げても元の状態に戻りにくくなります
  • 低温硬直では、身の食感や保水性が損なわれ、ゴムのような硬さパサつき筋繊維の強調舌触りの悪化などの食感悪化のリスクがあります

釣った魚の持ち帰り方:鮮度を保つための重要な注意点

魚の鮮度維持においても、単に冷却さえすればいいということではありません。
冷やし過ぎがダメなことも踏まえた上での、適切な持ち帰り方をご説明します。

  • 0℃近い海水氷に浸けたまま持ち帰ると、回復困難な低温硬直を起こすリスクが極めて高いです
  • 釣った魚を持ち帰る際は、低温硬直が起きにくい2~5℃程度の低温を維持することが必要です
  • そのためには、海水氷に浸けたままで持ち帰るのではなく、魚を取り出して、養生して、保温して持ち帰ることで、魚はより適切な状態を維持することができます
  • 例えばクーラーの底に海水氷で冷やしたクッション材を敷き、魚は乾燥防止にラップやビニールで覆い、出来るだけ魚に強い押し潰しの力が働かないように配慮するなどが理想的です
  • 保冷用の氷は、ビニール袋に入れて、更に魚に直接当たらないようタオルなどを当てます

魚が劣化するメカニズム:おまけ

どのように魚の劣化が進んでいくのかを具体的にご説明します。

  • 釣り上げ中の筋肉疲労とATP消費(管理困難)
    ・釣り上げ中に魚が激しく暴れると、ATPが大量消費され、筋肉に乳酸が蓄積し、体温が上昇します
    ・この現象はある程度避けられず、釣り上げた後の処理で完全に回復させることは困難です
  • 釣り上げ後の無駄な動き
    ・釣り上げた後も魚が暴れると、さらにATPが消費され、劣化が進みます
  • 高温環境での放置
    ・暖かい日に船上での放置や、ぬるい海水中での放置は、魚の体温が上昇し、急速な劣化が進みます
    ・これは、細菌の繁殖が活発になることや、自己消化酵素の働きが促進されることなどが原因です
  • 海水氷への長時間浸漬
    ・海水氷の中に魚を長時間放置すると、低温硬直による回復困難な身質の大きな劣化をもたらします
    ・更に部分的な冷却急冷部分的な硬直などによる身質劣化の原因となります
  • 生け簀内のストレス
    生け簀内での酸素不足、水温上昇、過密状態による他魚とのストレスなどは、魚の体力回復ではなく、むしろ消耗や劣化を促進します
  • 氷締めによる身質の低下
    ・冷却中に魚が暴れると、ATPを消費し、劣化を促進する可能性があります
    ・可能な限り脳締め後に海水氷に投入します
  • 締め処理に伴う体温上昇
    ・脳締めや神経締めを行う際に、一時的に体温が上昇することがあります
    ・しかし、処置後に素早く冷却することで処置効果への影響は軽微です

「経験したことのない美味しい魚」を食べるために

魚を美味しく食べる上では、新鮮で美味しい状態で持ち帰るだけでなく、それを美味しい状態のまま捌き、更にできれば熟成までやることで未知の味覚との出会いが待っています。

魚の捌き方熟成方法に関しては、別記事でご紹介していますので、こちらも良かったら覗いてみてください。
【釣り人必見➁】「魚を美味しく捌く」のコツ・極意のまとめ ~捌き方一つで不味くも臭くもなる~」、
【釣り人必見③】「魚の熟成」の極意まとめ ~熟成魚の異次元の”うまみ”に感動!~

そして、釣り人の方は、是非実践してみてください。格段に魚が美味しくなり、私は外で刺し身を食べても美味しいと思うことが少なくなりました。

まとめ

釣り人の特権の「鮮度の良い美味しい魚」ですが、そのためには最低限の船上でのひと手間が必要です。

この記事では、出来るだけ「何故そうなのか」についてのご説明に注力してみました。

船上での少しの手間は、釣り人に「何ものにも代えられない」未知の美味しさの経験をもたらしてくれます。

この記事が少しでも皆さんのご参考になり、釣りがより楽しくなることを願っています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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