皆さんタコは好きですか?刺し身も美味しいですし、軟らか煮も美味しいですね。
夏が近づくと、タコ釣りが最盛期となり、瀬戸内の明石の近くの海は多くの船で賑わいます。
最盛期には数十隻を超える船で溢れ、多い船では40人を超える釣り人が繰り出します。
実は、タコ釣りは基本さえ覚えてしっかり実行できれば、腕の差に関係なくそれなりに釣れる簡単な釣りです。
今回は、船釣り歴20年以上で、タコ釣りでも安定した釣果を維持している私が、タコを楽しく、出来ればたくさん釣りたい方に、簡単に分かり易く「そのコツ」をお届けしたいと思います。
爆釣目指して頑張りましょう。
タコ釣りで、人並み以上に釣るための「5つのコツ」
では早速、「そのコツ」のご紹介です。釣果の差は、この実践がしっかりできるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

一つ目は最重要で、あとは二つ目、三つ目のコツをしっかり実践できれば、それだけでタコは誰でも釣れます。
一つ目のコツは、タコエギを海底から離さずに誘い続けること
タコは縄張り内の海底を徘徊しており、海底から仕掛けを浮かした状態ではほぼ釣れません。つまり、一つ目のコツは、タコエギを海底から離さずに誘い続けることが出来てさえいれば、平均近い数は釣れるはずなのです。
仕掛けが底から離れてタコの視界から消えたり、いくら竿を動かして誘っているつもりでも、糸を出し過ぎて仕掛けが全く動いていないようでは、タコが釣れる可能性は低く、根掛かりのリスクだけが高くなります。
うまい人は常に底どり※を意識して竿先の操作をしています。
(※底どり:仕掛けが海底に着底している状態を常に意識すること)

何はさておき、これだけは絶対に強く意識して、必ず守りましょう。でないと万年初心者確定です。
二つ目のコツは、タコが乗ったらしっかり強めの合わせを入れること
そして二つ目のコツは、仕掛けにタコが掛かって違和感が有ったり、少し重くなったときに、タコエギにしっかりタコが乗ったのを察知してから強めの合わせ※を入れることです。
(※合わせ:ハリにタコが掛かったのを感じたら、竿を上に振り上げること)
初心者は特にこれが出来ていません。タコ釣りは引っ掛けの釣りであり、食い込んで勝手に釣れるということは有りません。
タコエギにタコが乗ったら、強く竿をあおって合わせを入れないと、針がタコを貫通しないので、重く感じてもタコはエギを抱いているだけで、タコは違和感を感じると逃げてしまう可能性が高くなります。もちろん勝手に引っかかって上がってくることもあるのですが、釣果を上げようと思うなら、強めの合わせは重要なのです。
ほかの釣りとは違ってタコ釣りでの合わせは適度に遅めで、タコがしっかりエギを捕まえてからの方が良いと言われています。初心者でも難しくないポイントです。

三つ目のコツは、その日の当たりカラーのエギを使うこと(補助的にタコが興味を示す集魚用の飾りを使うことも効果あり)
タコは色を明暗で感じていると言われています。良く釣れている人のエギの色を参考に、色を変えてみるのも有効かもしれません。
これは空と海の明るさに対して、エギの見え方が変わることが大きな要因だと考えられます。私の認識では、タコはこの色が好きとかいうことではない気がします。
三つ目のコツのおまけですが、タコがより興味を示す集魚用の飾りを使う事も効果があると感じます。但し、集器も乗船人数や、潮の状況ではオマツリ※の原因になりますし、船宿によっては禁止されていますので、マナーとルールを守りましょう。(※オマツリ:仕掛けが他のお客さんと絡むこと)

タコの捕食活動の習性
タコは主に視覚と触覚を使って獲物を探します。タコは海底付近で生活しており、動くものや気になるものに触手を伸ばし、捕食するかどうかを判断します。タコ釣りはそうした習性を利用した釣りという側面もあります。
尚、タコは、エサと思ってとびかかる場合と、縄張りを守るために攻撃する二つのパターンで仕掛けにアタックするという説がありますが、これは経験則に基づくもので、厳密な科学的根拠に基づくものではありません。
尚、攻撃的挙動は特に大型のタコで観察されていて、他のタコに対して攻撃的な行動を示すことが知られています。
昔、プロアングラーさんが出演している番組で、赤いおもちゃの消防車でタコを釣っていました。
明らかにエサではないものでもタコの好奇心や注意を引くことで、タコの反応を引き出すことでタコは釣れるのです。派手な飾りはこうしたタコの好奇心をくすぐるアイテムと思われます。
タコの色覚
タコの視覚については、長らく色盲であると考えられてきましたが、近年では一部の種で色を識別する能力を持つ可能性も示唆されています。
タコ釣りにおいては、白や赤といったコントラストの強い色はタコの注意を引きやすく効果的であるという経験則があります。
タコは色そのものよりも、コントラストを識別すると考えられていますが、これがタコの色覚によるものなのか、コントラストや明暗の識別によるものなのかは明確には分かっていません。
また、タコは偏光を識別する能力を持つことが知られており、この偏光が釣果に影響を与えている可能性も考えられます。
四つ目のコツは、タコが味や臭いや形で引き寄せられるワームなどを使ってみる
四つ目のコツは、臭いや味の付いたワームも有効です。
タコは嗅覚も優れています。タコは嗅覚と触手にある吸盤の化学受容器で味や匂いを感じ取ると考えられており、タコを臭いで引き付けて味で釘付けにするという点で生エサは強いアイテムだったのです。
明石のタコ釣りでは今年から生エサは禁止になりましたので、臭いや味の付いたワームが有効と考えられますね。カニやエビに味や臭いを付けたものが人気です。
もちろん臭い付きスプレーなども有効かもしれません。
こうした仕掛けを使う際には、船宿ごとに決められたルールを守ることが大前提です。集魚用の飾りや、ワームの巻き付けは、面積の大きいものは海水の抵抗を受けてお祭り(釣り人の糸が絡む状況)の原因となるので、他のお客さんに迷惑を掛けそうな状況なら、自重するマナーがとても必要です。
尚、明石エリアの遊漁船では2024年から生エサは禁止になっていますのでご注意ください。
(神戸沖はエサ釣りOKらしいという情報がありました:事前に各船宿に確認することをお勧めします)
五つ目のコツは、仕掛けを広く、遠くへ投げて広範囲を探ること
五つ目のコツは、数人の貸し切りとか、大きな船で釣り人が少ないとかでないとかなり難しいですが、仕掛けを広く遠くへ投げて、広範囲を探る事です。
しかしこれは通常の乗合では、オマツリの原因になるので、実践できる状況は少ないと思います。キャストのテクニックも求められますし、状況を的確に判断して独りよがりにならないように十分に注意しましょう。
(安全なキャストの注意点:周囲の人の安全を確認し、風向きも考慮し、絶対にアンダースローでキャストする)
釣りは「ルールを守って楽しく」、が一番大切です。
実釣事例のご報告
2024年シーズンの最初の釣果を「明石のブランドタコの釣行:【釣れる人・釣れない人】基本とコツ、釣れない人には原因がある」でもご紹介していますので、良かったら覗いてみてください。
この時は、船内では上位の釣果を出すことが出来ましたが、これまで経験上で最も下手なおじさんが近くに乗り合わせてしまって、ダメな人の典型パターンもご紹介もしていて、ダメダメポイントが初心者にはかなり参考になると思います。
タコ茹でる時の処理方法
生のタコは表面のヌメリを取らないと、臭みの原因となり美味しく頂けません。
ヌメリ取りのお勧め方法
いろいろ裏技的なことはありますが、最も一般的な方法の中で、少しだけおすすの方法をご紹介します。
- 大き目の目の粗い丈夫なザル(タコの大きさに合わせて準備)を用意し、タコに塩を振りかけて、ひたすらヌメリが取れるまで手で揉みます(塩の量は500gサイズで大サジ0.5-1杯程度)
・ザルを使うと、ヌメリがかなり早く取れます(お勧めポイント1)
・その際にシンクの傷つき防止に、シリコンマットをザルの下に敷きます(お勧めポイント2)
・シリコンマットはホームセンターで入手できます(最近は百均でも入手可能) - 数分間、しっかり泡立つまで揉みます(時間はザルを使えば3~5分ぐらいの目処かと思います)
・ザルを使うメリットは、タコを強くザルに押し付けることでかなり早くヌメリが取れます
・タコの頭側をもって、吸盤側をザルに押し付けて擦ります(揉むというより擦る感じ)
・次に吸盤側を足の付け根あたりでわしづかみにして、同じようにこすりつけます
・指がザルに当たってケガをしないように、タコだけを押し付け、裏表何度か繰り返します - 今度はしっかり水洗いします。この時もザルの中でタコを押し付けて擦り洗いします
- 念のため、塩を少しにしてもう一度しっかり数分揉みます(揉み作業は二回は必要だと思います)
・タコをもんだときの泡立ちがほぼなくなったらOKです - 最後にしっかり水洗いします
・タコの表面のヌメリがなくなり、「キュッキュッ」という感触になったらOKです
茹でる時のコツと茹で時間(刺し身での生食の前提)
- ナベはタコに対して十分大き目のものを用意します
- 水に、少し多めの薄口しょうゆを少量入れると、臭い消しと香りづけになります
他に、いろいろ入れる人がいますが、良くその目的を理解して使いましょう
(酢:色出し)(梅干:色留め及び柔らかくしたい)(番茶:色留め)(大根:柔らかくする)など - タコは味を吸いやすいそうですので、やるにしても量は控えめがよろしいようです
- 茹で時間(私の好みに近いもの):中がレアに近い茹で加減(基本生でも食べられます)
・しっかり沸騰してから、火は強火のままで茹でます
・タコは続けて投入すると湯の温度が下がるので、一つづつが無難です
・再沸騰を目処という人もいますが、しっかり沸騰した状態で時間を目安にしましょう
・小ぶり(200g程度):30秒...色が変われば大丈夫くらいの感覚
・大きめ(500g前後):40~60秒
・レア気味は苦手という人でも100秒くらいまでで大丈夫と思います - 茹で上がったら、まずは氷水で冷やすのが良いです。水道水での冷却でも大丈夫
・ある程度粗熱が取れたら、水気を丁寧にふき取ります(雑菌防止的な意味合い)
・ラップして冷蔵庫で冷やして、お刺身サイズに切って美味しくいただきます
タコの特徴と保存方法、茹でる時の準備と要領
タコは冷凍保存がきく理由
タコは魚に比べて自己消化酵素が少なく、筋肉の組織構造も冷凍に適しているため、長期間品質を保つことができます。
釣ったまま、または茹でてから冷凍することができます。
一般的に、生食における冷凍保存期間の目安は1ヶ月程度とされています。
ネットなどの情報源では1~3ヶ月と幅がありますが、これはタコの鮮度によって大きく変わるため、あくまで目安として捉えてください。
経験的には半年程度美味しく刺身で食べられたという例もありますが(自己責任です)、安全のためには推奨期間を守ることをお勧めします。
冷凍保管時の注意事項
茹でてからの冷凍保存の場合は下記に注意してください。
- タコをゆで上げた後氷水で素早く粗熱を取り、水気を丁寧にふき取る
・水気は雑菌の繁殖の元になるので丁寧にしっかりふき取る - 小分けにした上で、出来ればラップでくるんで空気を抜き、更にジップロックなどに入れ空気を抜く
・空気に触れると酸化による劣化が進むので、保存する際は出来る限り空気は抜く

まとめ
タコ釣りはとにかく食べて美味しく、独特の重量感を伴う引き味も癖になりますね。
タコ釣りのコツは、何故そうなのかを知れば決して難しくないと思いませんか。
タコ釣りを通して、多くの人と楽しい時間を共有できればと思っています。
近年ルールが変わり、明石の近くでは資源保護の為、漁連や漁協が協力して放流や釣り期間の制限を設けています。
100g以下の小さいタコの放流には積極的に協力しましょう。
サスティナブルな取り組みを理解し、ルールを守って末永くタコ釣りとその美味を楽しみたいものです。

初めてタコ釣りに挑戦する人も、これまであまり釣れなかった人も、この記事を参考にタコ釣りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
タコ釣りに限らず、これからのいろいろな釣りのコツを発信していきたいと思います。
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