今回は、魚を捌く際に、釣った魚を美味しくいただくために必要なポイントのご説明です。
私は釣り歴は20年を超え、最近は釣果に加えて、その後の処理もそれなりに満足できる状況になってきましたので、今回は「釣った魚を美味しく食べる」に特化した内容で、様々なコツ、極意を理由を添えて分かり易くご説明しようと思います。
具体的な魚を捌く手順はYouTube等でご確認いただくとして、その前に知っておいてほしい、重要なポイントと「何故」それが重要なのか、についてご紹介します。
私が魚をとても美味しく食べることが出来るようになったのはここ数年のことです。
それは、無知ゆえに間違ったことばかりしていたからでした。
間違った処理では魚は不味くなるばかりです。
釣り人の皆さんには、釣った魚を自分で処理できるようになる楽しさとその結果の別次元の美味しさを是非実践していただきたいと思います。
特に重要なポイント
実は、魚を美味しく捌く上では、鮮度の高い魚を入手することがより重要です。これについては、釣り人限定ですが、「【釣り人必見①】「釣った魚の鮮度維持」の極意を全公開 ~釣り上げた瞬間から持ち帰るまで〜」にてご紹介していますので、興味が有ったら覗いてみてください。
魚を捌く上での重要なポイントを、まずは抜粋で項目をご紹介します。
具体的にはこの先でご説明します。
- 捌くときも魚は出来るだけ低温を保つ(=素早く処理するか、冷却の工夫)
- 水は必要最小限(洗うときは多めの水で、短時間で丁寧に)、水洗いは一度だけ:水は魚の大敵
- 洗った後は早めに水気をきれいにふき取る:水は魚の大敵
- まな板、包丁、容器、手は、常に臭いを含めてキレイを保つ
- 魚の扱いは丁寧に(決して強く押えない)
- 必ずよく切れる包丁で調理する
魚を卸す前の確認と準備
魚の鮮度を損なわないように出来るだけ迅速に処理する上では、段取りが非常に大事です。
事前に段取りを決めましょう
そのためには、一度に処理する数もあらかじめ決めて、処理の流れもあらかじめシミュレーションして、そのプロセスで必要な容器や道具を事前にすべて準備します。
道具の準備
まな板、包丁(出刃、ヤナギ刃)、布巾かキッチンペーパー、仮置き(水切り)トレイ、お皿、保冷剤や氷、アラ用のごみ袋、等事前に必要な道具と備品を準備して、作業に取り掛かってからのタイムロスを最小限にします。
仮置き用のステンレストレイや保冷材、水切り用ブレードも最近は百均で安く入手できます。
調理する環境の準備
捌いている時も魚は出来る限り冷やす必要があります。そのための環境準備も重要です。
慣れないうちは、ある程度まとまった数の魚を扱うときは特に気をつけましょう。
- 暑い時期はエアコンの設定温度を低めにして活用
- 時間がかかる時は一時的に、都度こまめに冷蔵庫へ
- 一時保管用トレイ、仮置きバット、柵取りした魚を取り分ける容器も出来るだけ冷やしておく
- 複数の魚を一度に処理する場合は流れ作業で行います
冷やしたバット(できれば水切り付き)を準備しておき、処理途中の魚を仮置きで並べます
当日の処理プランを立てる
当日の刺し身用、翌日以降の刺し身用、熟成用、その他調理用等、材料の魚の全ての処理メニューを事前に魚ごとに決めます。そして、これから行う処理を、箇条書きに書き出し、後は決めた順番にもくもくと作業を進めるのです。
頭の中で整理できて覚えておける人には関係ない話ですが、私はすぐに忘れてしまうのでメモ用紙に一覧を作成して、当日の処理の流れも書き出すようにしています。
流れ作業で複数の魚の処理を同時に行う場合は、処理途中の魚が多くなり過ぎないように実力に合わせて一度の処理数を決めます。(慣れないうちは同時進行は2、3匹ぐらいから始めましょう)
私も、今思えば、昔はこうした整理が出来ないまま作業を進めて、訳の分からない作業途中の魚が水浸しで放置され、静かに腐敗に向かっていたことに気づかないままのことがたくさんありました。
魚を捌く上での重要な極意まとめ
魚を美味しく食べる為には、魚を捌くときに気を付けなければならない点が少なくありません。
最低限守るべきポイントをまとめました。
切れる包丁を準備する(釣行前の準備は必須)
魚を捌く上で、切れる包丁を準備しておくことは非常に重要です。
魚の細胞を潰すのではなくシャープに切る事で、その美味しさは全く別物になります。
包丁はよく切れるように、釣行前にしっかり研いでおきましょう。
切れない包丁で捌いたのでは、鮮度を保って魚を持ち帰った意味が半減してしまいます。
(包丁を研ぐ方法は、YouTube等を参考に腕を磨きましょう)
私は、荒砥と仕上げ砥石に加えて、砥石自体の面直し用の砥石で、まめに砥石の平面をメンテナンスしています。
魚を洗うのに水を使うのは一回だけ
- ビブリオ菌対策の為、魚の水洗いは必須です
- 一方で、魚の鮮度維持においては水は大敵なので、水の使用は必要最小限にします
- 浸透圧の関係で、海水に対して水道水は魚の身に浸透し易くふやけて劣化の原因になります
魚は多めの水で短時間でしっかりに洗う
- 血合いやヌメリ、ウロコなどの汚れは雑菌による臭い・劣化の原因になりますので丁寧に洗い落とします
- 長時間水に当てると魚は水を吸って身がふやけ、劣化が進むのでできるだけ短時間で洗います
- 水を当てる時間が重要なので、多めの水で短時間にしっかり洗います
・そのためには、洗う前の前処理が勝負です
・血合いはササラや歯ブラシで丁寧にしっかり取ります
・ウロコは出来るだけ残さず丁寧に取ります - 短時間で安全に丁寧に汚れを取る点で、軍手の使用はお勧めです。
洗い終わったらすぐに魚の水気をふき取り、以降の水使用は禁止
魚の鮮度維持において水は大敵です。水洗いの後は必ずできるだけ早く水気をふき取りましょう。
- 魚の表面に水が付いた状態で放置すると、魚は水を吸ってふやけて劣化し、食感も損ないます
- 事前にまな板はもきれいに洗い水気を拭きとっておきましょう
- 一度に複数の魚を処理するときは、水洗いのままの魚が放置されないように十分に注意します
魚の扱いは易しく
魚の身を強く押える行為は、細胞を潰しダメージを与えてしまいまうので厳禁です。処理中の鮮度維持には、魚の取り扱いも実は非常に重要なのです。下記の点は特に注意しましょう。
- ウロコ掻きも強く押えず擦る感覚で
- 魚の位置を変える時は尻尾か頭を持って回す
臭みの原因と対策
上の処理の中でも臭いの原因は複数あります。ここでは魚の生臭さの原因をご説明します。
既にご説明した内容のまとめになりますので、改めてご確認頂き注意してください。
魚の生臭さの原因
- 魚の鮮度は臭みと直結しますので、魚の鮮度を良い状態を維持することは最優先課題です
- ヌメリ、汚れ、ウロコの水洗いが不十分だと雑菌による臭いの原因になります
・短時間の水洗いでしっかり洗いきるため、その前工程を適切にしっかり行います
・特に血合いは大敵です。骨上の血合いはササラ、歯ブラシ等でしっかり汚れを取ります
・水洗いは短時間で行いますが、ウロコだけでなく表面のヌメリもしっかり洗い流します
・軍手で汚れを洗い流すのがとても効果的で安全面でもお勧めです - まな板や包丁が汚れていると、いくら魚が良くても臭いが移ります
・調理前、処理ごとにまな板と包丁は洗剤でしっかり洗い、水気をふき取ります
・包丁も魚を切進めるたびに、布巾やペーパーでふき取ります
・皮目に残った雑菌による臭い移りを防止します - 魚の表面の水気のふき取りが不十分だと、雑菌の繁殖抑制や身がふやけたり劣化が進みます
魚の臭み取りのテクニック
最終的に、少し臭いが気になるという場合の処置方法をご紹介します。
タテ塩:柵取りした状態で、魚の生臭さが気になる場合は3%程度の塩水で魚を短時間で洗い、氷水で締めると臭い取りの効果があると言われています。
まとめ
釣り人には、新鮮な魚を持ち帰る権利と、その新鮮な魚を美味しく食べる権利があります。
そのためには、やらなければならないことは少なくありません。
しかしその先には釣り人しか味わえない世界が開けているのです。
鮮度のよい魚を持ち帰り、適切に処理した魚を食べたら、外で食べる「お刺し身」は、美味しいと思えなくなってしまうかもしれません。それほど、魚の鮮度維持と適切な処置には意味があります。
釣り人の皆さんには、是非、鮮度のよい魚を持ち帰り、適切な処理で美味しい魚を楽しんで頂きたいと思います。
最近は魚の熟成でも安定して格段に美味しいお刺身を頂けるようになりましたので、「【釣り人必見③】「魚の熟成」の極意まとめ ~熟成魚の異次元の”うまみ”に感動!~」の記事でご紹介しています。
良かったら読んでみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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