皆さんは「ゴースト血管」という言葉を聞いたことは有りませんか。実は多くの人(そう若い人でも)で、毛細血管の死滅が問題となっているのです。
様々な体調不良の原因になり得る「ゴースト血管」ですが、ヒドい場合は体内の40%もの毛細血管が死滅している人もいるそうです。
「ゴースト血管」はシニアだけの問題ではありません。若くして老け込む原因とも言われているのです。
毛細血管の死滅は、全身の機能低下だけでなく、老化、生活習慣病の誘発、認知症との関連などが言われています。
「自分には関係ない」に該当する人も少なくないと思いますが、少なくてもシニアの皆さんには重要な視点ですのでスルーしない方がいいと思います。
意外と知らない「ゴースト血管」について、原因と対策を中心に詳しくご紹介していきます。対策できますので、まずは知るところから始めませんか。
「ゴースト血管」について
- ゴースト血管は目に見えない
ゴースト血管は、その名の通り、見た目には血管のように見えますが、血液が流れていない状態です。
そのため、一般的な検査では発見が難しく、症状が出てから初めて気付く場合もあります。 - 若いうちから予防を
毛細血管の死滅は、加齢とともに自然に起こる現象ですが、生活習慣によってその進行速度は大きく変わります。若いうちから予防することで、健康寿命を延ばすことができます。
「ゴースト血管=毛細血管の死滅」の原因
高齢者に限らず発生するゴースト血管の主な原因をまとめるとざっと以下の通りです。
詳しくは記事の後半でご説明します。
- 加齢(再生機能の低下など)
- 生活習慣(運動不足、食生活など)
- 糖化や酸化(過剰な糖質摂取など)
- コレステロール(中性脂肪増加など)
「ゴースト血管=毛細血管の死滅」の影響
- 全身の機能低下:
・毛細血管は、全身の細胞に酸素や栄養を供給する役割を担っています
・毛細血管が死滅すると、肝臓や腎臓など各臓器の機能が低下し様々な病気を誘因するリスクがあります - 老化の加速:
・毛細血管の減少は、老化の大きな要因の一つと考えられています
・肌の老化、髪の毛の薄毛、骨粗しょう症など、様々な老化現象に深く関わっていることが分かっています
・毛細血管の死滅は、骨の栄養供給を阻害し、骨粗しょう症のリスクを増加させる可能性があります
・毛細血管の減少によりリンパ管が水分や老廃物を回収しきれず、血管外に漏れ出てむくみや肥満の原因になることがあります
・毛細血管の死滅が肌で起きれば、シワやたるみの原因になります - 生活習慣病の悪化:
・高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、毛細血管の死滅を加速させることが知られています
・その結果、更に糖尿病や高血圧を悪化させるリスクがあります - 認知症との関連:
・毛細血管の死滅は、脳への酸素や栄養の供給を阻害し、認知症のリスクを増加させる可能性があります
・アルツハイマー病などの認知症の発症にも、毛細血管の障害が関与している可能性が指摘されています
「ゴースト血管=毛細血管の死滅」の対策
毛細血管の死滅を防ぐためには、次のような対策が有効と言われています。
中でも、バランスの良い食事と適度な運動は特に推奨されています。
当たり前のことではありますが、私たちの体は、その当たり前のことを強く求めているのです。
- 生活習慣の改善
・バランスの取れた食事
ビタミンC、E、ポリフェノールなどの抗酸化物質を多く含む食品を積極的に摂りましょう
・適度な運動
軽い運動を習慣にすることで、血行が促進され、毛細血管の機能が維持されます
・禁煙
たばこは血管を収縮させ、毛細血管の死滅を加速させます
・ストレス管理
ストレスは血管を傷つけるため、ストレスを溜めないように心がけましょう - サプリメントの活用
・ビタミンC、E、コエンザイムQ10などのサプリメントは、毛細血管の健康維持に役立つ可能性があります
ただし、医師や専門家にご相談の上、摂取するようにしましょう - シナモンの効用
シナモンに含まれる成分が、毛細血管の修復を促す可能性が注目されています - 温活も効果的
体を温めることは、血行を促進し、毛細血管の働きを活発にするため、冷え性の人は特に注意が必要です
重要なのは物事の本質に近い事実を知り、原因を知り、対応は自分の頭で考えて強い納得性に基づいて判断することだと思います。
運動の有用性に関する研究について
名古屋市立大学の研究者たちが、運動が体にどのように良い影響を与えるかについての研究報告をしています。
これは、運動が「インターロイキン1(IL-1)」という物質と「オートファジー」という体の細胞の掃除機能にどう関係しているかに関するものです。
- 運動がオートファジーを助ける:
定期的な運動をすることで、IL-1の働きが適切に調整されることが分かりました。これにより、体の炎症が適度に保たれ、健康を維持するのに役立つとのことです - 健康への影響:
運動をすることで、細胞の掃除機能であるオートファジーが活性化されることが分かりました。これにより、細胞が健康に保たれます - 血管の健康:
運動によって血管の内側の細胞が健康に保たれ、血液の流れが良くなります。これにより、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りやすくなります - 疲れにくくなる:
運動を続けることで、筋肉の中の毛細血管が増え、酸素の交換や老廃物の排出がスムーズになります。これにより、疲れにくくなります - 糖尿病予防:
運動によって筋肉が糖を取り込みやすくなり、血糖値が安定します。これにより、糖尿病の予防にもつながります。
※インターロイキン1:
体の中で炎症を引き起こす物質です。炎症は体を守るための反応ですが、過剰になると体に悪影響を与えることがあります。
※オートファジー:
細胞が自分自身を掃除する仕組みです。
古くなったり壊れたりした部分を取り除いて、新しい部分を作るのを助けます。
毛細血管が死滅してしまう主な「原因」の詳細説明
加齢
加齢は毛細血管の死滅やゴースト血管の形成の一因とされており、特に、50代以降の顔の毛細血管の数は、10~40代と比べて4割も減少すると報告されています。
加齢により、毛細血管の壁細胞は変性や消滅を起こし、それに伴い血管内皮細胞の機能も低下していきます。
それは細胞と同様に、老化により毛細血管の壁細胞の分裂機能が低下し、ターンオーバー(細胞の生まれ変わり)能力が衰えるためと言われています。
生活習慣
睡眠不足や糖分・脂肪分の過剰摂取などの偏った食生活といった不摂生が重なると、毛細血管はもろくなり、ゴースト血管が発生しやすくなります。
糖質の取り過ぎや運動不足といった、健康によくない生活習慣も血管にダメージを与える要因です。
特に注意したいのが糖質の取り過ぎなどによる高血糖状態です。
こうした良くない生活習慣は、糖化や酸化などにより毛細血管の細胞にダメージを与えます。
糖化や酸化
毛細血管を構成する周皮細胞は、糖化や酸化に弱く、その影響で血管の形状が変化し、その機能が弱まります。
過剰な糖とタンパク質が結びつくと「糖化」と呼ばれる変化が起こり、糖が過剰にこびりついて本来の機能を失ったタンパク質=AGE(終末糖化産物)と呼ばれる物質が発生します。
血糖値の高い状態が続くと、毛細血管の血管内皮細胞の受容体がAGEを取り込むようになり、細胞を傷つける活性酸素を大量に発生させます。
コレステロール
コレステロールや中性脂肪の影響で、油の塊であるプラークが血管にこびりつき、血管の中が狭くなってしまい、血液の流れが滞ったり、血流を止めてしまうことがあります。
血管壁内に進入したコレステロールにより、血管はしなやかさを失うとともに、血管壁の肥厚化を引き起こしまし、動脈硬化を進行させます。
又、血液中の脂肪が多くなると、徐々にコレステロールが血管壁に溜まり、動脈硬化を促進します。
こうして血液中のコレステロールレベルが高い状態が続くと、血管の健康に悪影響を及ぼし、毛細血管の死滅を引き起こす可能性があります。
毛細血管が死滅するプロセス
細胞のダメージ
➡ 加齢や生活習慣の乱れ、糖化や酸化などにより、毛細血管の細胞がダメージを受ける。
細胞の隙間の拡大
➡ 細胞がダメージを受けると、細胞間の隙間が広がり、血液が漏れやすくなる。
血液の漏出
➡ 細胞間の隙間が広がると、血液が毛細血管から組織内に漏れていく。
酸素や栄養の供給不足
➡ 血液が漏れると、酸素や栄養を効率よく届けられなくなり、二酸化炭素や老廃物が組織内に蓄積していく。
毛細血管の死滅
➡ 最終的に、細胞はどんどん衰え、毛細血管がなくなってしまう。
私が毛細血管の重要性を意識した出来事
私が毛細血管に関して興味を持ったのは、別記事「心筋梗塞は突然に! その時、家族に起きる事とは? ~義父の緊急手術のドタバタの顛末~ 」でご紹介した義父の心筋梗塞の際に、先生に見せてもらった心臓のCT画像でした。
そこには、心臓の血管の先で息も絶え絶えの毛細血管の姿があり、血栓で詰まったり、消えてなくなっている姿が映っていました。
実際の人の体の中で、血栓や消滅している血管の情報に触れたのは初めてで、老化というのはこういう事なのかと衝撃を受けたものです。
まとめ
私たちが健康に活動する上で、血管を健康に保つことは非常に重要ですが、毛細血管を活性化するところまでは意識が行ってないのではないでしょうか。
今回、毛細血管の重要性に気付くことで、自分の健康管理を振り返る機会を得ることが出来ました。
私が学んだ情報を共有し、少しでも皆様の健康意識への助けになれば大変うれしく思います。
特にシニアの皆様は、この先のご自身の毛細血管の健康維持に向けて、少しづつでも運動を始めてみては如何でしょうか。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
尚、記事については、裏付け確認など気を付けているつもりですが、不確実な情報であったり、間違った情報があった際はご容赦をお願いします。
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