地球温暖化のこと:もはや疑いようのない「この環境変化の犯人」は誰?

学び・雑記

誰もが日常的に、切実に実感できる「メリハリがありすぎ」て「クソ暑い」今の日本。

昔は、その原因について「必ずしも人間が経済活動で排出したCO2が原因ではない」とも言われてきました。

しかし、今はそんなことを言う「まともな科学者」はいないそうで、99.9%以上の論文が人為的な気候変動を支持していることが明らかになっています。

地球温暖化の主原因が温室効果ガスであることは、科学的に確かな証拠に基づいて結論付いているのす

この記事では、「知ってもなんともできない」かもしれないけれど「私たちの未来を真剣に考えるきっかけ」ぐらいになることを願って、「地球温暖化の真犯人」についてご説明します。

近年の異常な温度上昇の実体:地球の自然な営みとの対比

数万年〜数十万年スケールでの地球の自然な営みによる地球の温度上昇ペースの実績に対して、産業革命以降の温度上昇は、下表のとおり約73~83倍のスピードであり、破壊的な影響があることが分かります。

地球の自然な営みVS人の経済活動の影響

つまり、ここ30年程度の地球の温度上昇は、「過去数十万年の地球の自然の営みのペース」に換算すると2000年以上かかるものなのです。(計算式は、30年✖「73~83倍」となります)

こうした議論に関しては、過去には様々な論争があったのは事実です。

しかし、この話は既に決着がついています。その話は、後ほど詳しくご説明します。

ここまでのデータは、IPCC(気候変動に関する政府間パネルの報告)に基づきます

世界の科学者のほぼ100%が、人為的な気候変動への影響を支持

冒頭でご紹介したように、世界の科学者がこの問題をどう捉えているかについては、2021年の調査で99.9%以上の論文が人為的な気候変動を支持していることが明らかにされました。

  • 2013年のJohn Cookらの研究で「97%以上の科学者が人為的な気候変動を支持している」という結果が示され、大きな話題となりました。
  • 2021年には、Cornell大学のMark Lynasらの研究が発表され、2012年から2020年までに発表された気候変動関連の査読済み論文88,125報を調査した結果、99.9%以上の論文が人為的な気候変動を支持していることを明らかにしました。これは、科学界におけるコンセンサスがほぼ100%に達していることを示しており、議論の余地はほとんど残されていません。

地球温暖化への科学的なアプローチとコンセンサスの経緯

地球温暖化への検証のプロセスとしては、膨大な関連研究により、「人為的な経済活動が地球温暖化をもたらしたことが疑いないことの検証がし尽くされた」状況にあると言われています。

地球温暖化に関する科学的コンセンサスは、10年以上前からすでに非常に強固に確立されており、過去10年間は、既存の証拠がさらに強化され、不確実性がさらに減少し、気候変動の影響や将来予測の詳細な理解が深まった時期と理解するのが正しいようです。

多角的かつ独立した証拠の収束

  • 大気中CO2濃度の直接観測: キーリング曲線に代表される、地上の観測点や衛星からの長期データが、人為的な活動(化石燃料燃焼など)と一致する形でCO2濃度が確実に増加していることを示しています。
  • 過去の気候データ(氷床コアなど): 過去数十万年のCO2濃度や気温の自然な変動と比較することで、現在のCO2レベルと温暖化の速度が、自然の範囲を逸脱していることを明確に示しています。
  • 温室効果ガスの物理・化学的検証: CO2などの温室効果ガスが、実際に熱を吸収し、地球を暖める物理法則(温室効果)が実験室レベルで確認されており、宇宙からの観測でもそれが証明されています。
  • 気候モデルによるシミュレーション: 地球の気候システムを詳細に再現するモデルが、自然要因だけでは観測された温暖化を説明できず、人為起源の温室効果ガスを取り入れた場合のみ、観測事実と一致することを示しています。これは、モデルの精度が向上するにつれて、より確実性が増しています。
  • 「検出と原因特定」研究: 観測された気温上昇や極端気象現象が、統計的に見て自然変動だけでは説明できず、人為的な影響が主要な原因であるという強い証拠が積み重ねられています。

私たち素人の知見では、包括的に理解するには複雑で多面的な理解が必要ということのようです。

国際的な科学者コミュニティによる厳格な査読と統合

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書は、世界中の数千人の科学者が、何万本もの査読済み論文を何年にもわたって精査し、議論し、合意形成を行うという、人類史上でも稀に見る大規模な科学的統合プロセスを経て作成されます。

このプロセスは、個々の研究の限界や不確実性を考慮し、総合的な科学的理解を導き出すためのものです。

代替仮説の否定

太陽活動の変化、火山活動、宇宙線、海洋の自然循環など、温暖化を説明する他の自然要因の可能性も徹底的に研究されてきましたが、いずれも現在の温暖化の規模や速度を説明するには不十分であることが示されています。この点は後程その一部を具体的に説明します。

過去10年間で、地球温暖化の原因解明に貢献した具体的な研究

1.観測データの精緻化と確実性の向上

  • 過去10年で、個々の熱波、干ばつ、豪雨、山火事などの極端気象イベントが、気候変動によって発生頻度や強度が増していることを「原因特定(Attribution)」する研究が飛躍的に進みました。
    ・以前は個々の現象と温暖化の直接的な関連を特定するのは難しかったですが、今ではモデルと統計的手法を用いて、例えば「この熱波は、気候変動がなければX倍起こりにくかっただろう」といった具体的な評価が可能になっています。
  • 衛星による地球観測データ(海面水位、氷床・氷河の融解速度、海洋熱含量、大気中の温室効果ガス濃度分布など)の質と量が向上し、地球システムの様々な変化がより正確に捉えられるようになりました。
    ・これにより、温暖化が単なる気温上昇に留まらず、地球システム全体に広範な影響を与えていることが明確になりました。

2.気候モデルの精度向上と将来予測の強化

  • 気候モデルは計算能力の向上とともに、より高解像度になり、地域ごとの気候変動予測の信頼性が向上しました。
    ・これにより、地域レベルでの影響(例:特定の地域の降水量変化、海面上昇)の予測がより詳細に行えるようになっています。
  • 過去数千年、数十万年の古気候データとモデルの比較検証が進み、現在の温暖化の速度と規模が、過去の自然変動と比べていかに異常であるかがより明確になりました。

3.主要な温室効果ガスの「疑う余地のない」寄与の確認

  • 特にIPCC第6次評価報告書は、科学的コンセンサスの現状を最も包括的に示すものです。
  • 2021年に発表された「第1作業部会報告書:自然科学的根拠」では、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させたことには疑う余地がない(unequivocal)」と、過去の報告書よりもさらに強い表現で結論づけられました。
    ・これは、温室効果ガス濃度の上昇が人為起源であること、そして観測された温暖化のほぼ全てが人為起源の温室効果ガスによって説明できることの証拠が圧倒的であることを示しています。
  • 大気中の二酸化炭素濃度は、少なくとも過去200万年で最も高い水準にあり、メタンや亜酸化窒素の濃度も過去80万年で最も高い水準にあることが確認されています。

4.コンセンサス度合いの再確認と定量化

  • 2013年のJohn Cookらの研究で「97%以上の科学者が人為的な気候変動を支持している」という結果が示され、大きな話題となりました。
  • 2021年には、Cornell大学のMark Lynasらの研究が発表され、2012年から2020年までに発表された気候変動関連の査読済み論文88,125報を調査した結果、99.9%以上の論文が人為的な気候変動を支持していることを明らかにしました。これは、科学界におけるコンセンサスがほぼ100%に達していることを示しており、議論の余地はほとんど残されていないと言われています。

地球温暖化が人為起源であることを解明してきた過去からの重要な研究

1.温室効果ガスの物理的性質の理解と地球温暖化の初期予測 (19世紀後半〜20世紀初頭)

  • スウェーデンの化学者アレニウスは、「空気中の炭酸(二酸化炭素)の量が地表の温度に与える影響」についての論文で、大気中の二酸化炭素濃度が変化すると、地球の平均気温がどのように変わるかを初めて定量的に計算しました
    ・これは、現在の地球温暖化の物理的根拠となる、二酸化炭素の温室効果を科学的に示した画期的な研究です。

2.大気中のCO2濃度増加の直接観測 (20世紀中盤以降)

  • アメリカの科学者チャールズ・デイビッド・キーリングは、ハワイのマウナロア観測所で、大気中の二酸化炭素濃度を継続的に測定するプロジェクトを開始しました。
  • このデータは「キーリング曲線」として知られ、大気中のCO2濃度が毎年着実に増加していることを明確に示し、その変動が季節サイクルとは異なる、人為的な排出によるものであることを証明しました
    ・これは、現代の気候変動研究の「象徴」とも言える重要な観測データです。

3.過去の気候変動とCO2濃度の相関関係の解明 (20世紀後半)

  • グリーンランドや南極の氷床を深く掘削して得られる氷床コア(アイスコア)には、過去数十万年〜100万年以上の大気組成(空気の泡として閉じ込められている)や気温の変化(酸素同位体比などから推定)の記録が保存されています。
  • これらの研究により、過去の氷期・間氷期において、大気中のCO2濃度と地球の気温が非常に高い相関関係にあることが示されました
  • 特に、現在のCO2濃度が、過去数十万年の自然変動の範囲を大きく逸脱していることが明らかになり、人為起源のCO2増加の異常性が裏付けられました

4.気候モデルの発展と「検出と原因特定」研究 (20世紀後半〜現在)

  • 複雑な物理法則に基づいて大気の動きや熱収支などを計算する気候モデル(大気・海洋結合モデルなど)が開発され、その精度が向上しました。
  • これらのモデルは、自然要因(太陽活動の変化、火山噴火など)のみを考慮した場合では、観測された過去数十年の急速な温暖化を再現できないことが示されました。
  • しかし、人為的な温室効果ガスの排出を含めた場合のみ、観測された気温上昇が説明できることが明らかになりました。
  • この分野の研究は、観測された気候変動(気温上昇、極端な気象現象など)が、どのような要因(自然要因か人為要因か)によって引き起こされたものかを統計的に特定するものです。
    ・多数の論文がこの分野で発表されており、「観測された温暖化は、自然要因だけでは説明できず、人為的な温室効果ガス排出が主要な原因である」という強い結論が導き出されています。

5.気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の報告書 (1990年〜現在)

  • IPCCは、世界中の数千人の科学者が参加し、何万本もの査読済み論文を評価・統合して、気候変動に関する最新の科学的知見をまとめる国際的な機関です。
  • 彼らの評価報告書(AR1からAR6まで)は、上記のすべての証拠を統合し、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させたことには疑う余地がない」というコンセンサスに至る上で、最も権威ある情報源となっています。
  • IPCCの報告書そのものが個々の研究論文というよりは、科学界全体のコンセンサスの表明です。

過去の地球の歴史に照らして、明らかに異常な現在の地球

気象庁ホームページに記載の、「IPCC AR6 WG1報告書 技術要約(TS)暫定訳(2023年3月9日版)」の抜粋を示します。

これは国際的なコンセンサスとして、IPCCで共有されている科学的な事実です。

出典:気象庁 Japan Meteorological Agency (jma.go.jp)

過去数千年から数万年の間、現在のこれほど短期間で、これほど大きな気温上昇は観測されてないのです。

上の図表で重要なのは、近年の時間軸とそれ以前の時間軸は全く異なり、左は数字✖百万年で、真ん中は数字✖千年での気温変化ということです。

代表的な懐疑論と科学的な反論

「太陽活動が主な原因」という主張

太陽活動が地球の気温変動に影響を与えることは事実ですが、近年の急激な温暖化を説明するには不十分です。

  • 太陽活動と気温の関係:過去には、太陽活動の低下と地球の寒冷化が一致した時期(マウンダー極小期)がありました。しかし、現在の温暖化は、太陽活動が減少傾向にあるにもかかわらず、進行しています
  • 観測データの矛盾: 大気の低い層では気温が上昇している一方で、太陽に近い成層圏では気温が低下しているという事実も、太陽活動が主な原因ではないことを示唆しています
  • 気候モデルの予測:気候モデルは、温室効果ガスの増加がなければ、現在の温暖化を再現できません

「過去の気候変動は自然なサイクル」という主張

地球の気候は、過去にも自然な変動を繰り返してきました。しかし、現在の温暖化は、その速度や規模が異常に速く、自然な変動だけでは説明できません。

  • 変動の速度:過去の気候変動は、数万年~数十万年の周期でゆっくりと変化していました。現在の温暖化は、わずか数十年で急速に進行しています
  • 原因の違い:過去の気候変動は、主に地球の軌道変化や火山活動などによるものでした。現在の温暖化は、温室効果ガスの増加が主な原因です

「気温データは操作されている」という主張

世界中の複数の気象機関が観測を行っており、そのデータは厳密な品質管理の下で解析されています。衛星観測データも地上観測データと一致しており、気温上昇の事実を裏付けています。

「コンピュータモデルは信頼できない」という主張

気候モデルは、物理法則に基づいて作られており、過去の気候変動を再現できる精度が向上しています。複数の気候モデルによるシミュレーション結果が一致していることから、信頼性が高いと言えます。

大気の0.04%に過ぎないCO2の影響は軽微という主張

  • 二酸化炭素の増加は、海洋の酸性化や生態系の変化を引き起こし、負の影響も大きいことが懸念されています
  • 大気の成分比は少ないですが、温室効果ガスとしてのCO2の能力が非常に高いため、地球の気温を大きく変えることができます
  • 気候モデルのシミュレーションでも、人間活動によるCO2増加を考慮しないと現在の気温上昇を説明できません

多くの人が、現在の最新の科学的知見を正しく理解していない理由

国際的な科学コミュニティにおいて、「地球温暖化は人間のせい」ということは科学的な事実と認識されているにも関わらず、未だに私のように「本当にそうか」と疑う人は少なくありません。

そこには下記のような理由が考えられます。

  • 10年以上前の「本当はどうだかわからない」、という古い情報に対して、最新の科学で明らかになったことが明確に知らされる機会が無かった
  • 未だに怪しい懐疑論を唱える人も少なからず存在する
  • 専門性の高さ情報過多により、、本当に正しい情報にたどり着くことが容易でない時代でもある
    ・IPCCのような国際機関に対する信頼が低下している現状や、情報発信の透明性に対する懸念が課題
    ・科学的な情報をより分かりやすく、そして公平に伝える機会が少ない
  • 何より、政府、学界、メディアなど、様々な情報主体による、科学的な情報をより分かりやすく、そして公平に伝える努力が大きく不足している。

メディアは、日々の異常気象を盛んに面白おかしく伝えますが、真の原因の掘り下げ根幹の行動変容への啓蒙の報道はほとんど見かけることはありません

今は、既にそこから生まれつつある致命的で危機的な状況を理解するべき時代だと思うのですが、、、。

まとめ

地球環境問題において特に重要なのは、もはや個人が分別ある行動をすれば済む話ではなく、全人類の圧倒的多数が、問題意識をもって行動できるかどうかが問われる、危機的局面であることの理解が重要です。

その意味で、「今日の地球温暖化は人間のせい」であることを、一人でも多くの人が確信をもって理解し、多くの周囲の人に同様の理解を促せるかどうかということが重要です。

私も不勉強で数日前まで、人類が排出した温暖化ガスが本当に地球温暖化の主体瑠原因かどうかについては懐疑的だったのです。

問題意識のある一部の行動で何とかなる時は過ぎており、圧倒的多数の人類の行動が必要な時だと感じました。

この記事が皆さんの行動のきっかけになることを願います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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