私は、60代を迎えるまでは、収縮期血圧(上の血圧)は高くても120mmHg前後で、比較的良好と言える状態で推移していました。ところが、63歳でリタイアしてからは、みるみる血圧が上昇していき、67歳では健康診断で160mmHg近くにまで急上昇していったのです。
上の血圧が160mmHgというのは、厚労省の基準でも医療機関受診の推奨基準ですし、日本高血圧学会の基準では「問題児」レベルの数値です。本来なら、素直に医療機関を受診すればいいのでしょうが、私は、以前から高血圧の基準について(特に日本高血圧学会の基準)は大きな疑問を感じており、自分の置かれたこの状況にどう向き合うのがいいのかを突き詰めて調べ、実践することにしたのです。
結論から言うと、私は『運動後低血圧』という現象をセルフ診断として活用することで、ある確信にたどり着きました。私の高血圧は、決して『加齢による手遅れな動脈硬化』ではなく、日々のメンテナンスで改善可能な『末梢血管の収縮寄りの状態』だったのです。
私の大動脈にはまだしなやかさが残っていました。それを脈圧や運動後の反応から読み解いたとき、160という数字の見え方は一変しました。それは単なる異常ではなく、今の環境に対する身体の「調整結果」として理解できるようになったのです。
ただし、その状態を放置すれば将来的なリスクにつながる可能性があるため、「なぜそうなっているのか」を見極め、ここからはそれをどうやって改善するかを考え、実践することにしたのです。
この『末梢血管の収縮寄りの状態』は、原因があって生じた問題であり、生活習慣の立て直しで修復が可能だとわかりました。その方法とは、自律神経や血管内皮細胞のメカニズムの再構築のために、30〜60分程度の無理のない有酸素運動(私の選択は5-10kmのジョギング)を継続することでした。
この運動習慣の実践による改善というのは、実は意外と手ごわいもので、従来のランニングのように「気が向いたらやる」というのではダメで、低負荷でいい代わりに、出来る限り高い頻度で実施することが重要なのだそうです。そして、血管機能の改善には時間がかかるため、効果が安定して現れるまでには、あと2か月程度はこの運動習慣の継続が必要そうです。
この記事では、
- なぜリタイア後に、私の血圧は急に上がりだしたのか
- 私の高血圧は何が原因で、それは改善可能なのか、加齢によるもので仕方ないものなのか
- 自分の高血圧のタイプの見分け方としての「運動後低血圧」の知られざる“強力な手がかり”とは
- 私が選択した運動習慣(30-60分のジョギング)の意味とは
- この運動習慣(現在1か月経過)で、得られた効果と今後の見通し
などをご紹介します。
知人が、私と同程度の高血圧で医療受診して降圧剤を処方され、上が110mmHgを切るほどになり、「日常生活もしんどい」と言っているのを聞き、自分の体に合った管理を選ぶことの重要性を改めて感じています。
シニア世代で、高血圧が気になるあなたも、是非自分の体の状態を知るところから始めてみませんか。
この記事を読み進めていただければ、下記のポイントが掴めると思います。
❶自分の高血圧のタイプ、❷改善可能性、❸運動後低血圧の意味、❹生活習慣改善の優先順位
高血圧の原因:リタイア後、気が付けば激変していた生活習慣
私の若い時からの血圧は、グラフにするとつまらないくらい安定していました。しかし、リタイアした後のデータをグラフにしてみると、そこにはハッキリと上昇カーブが現れていたのです。

改めてその原因を振り返ってみると、いかにリタイア後の生活に問題があったかを思い知らされました。しかし、それは、「自分の血管状態がどうなってしまったのか」を理解しない限り、たどり着けなかった「納得」だったとも痛感しています。
どういうことかというと、「その生活習慣が、体のどの機能にどのようにダメージを与えていたのか」を理解できない限り、「運動不足で怠惰な生活をしたこと」がもたらす、「事の重要性」には気付けなかったと思うのです。
結論から言うと、私の高血圧は、冒頭に記載の通り、末梢血管抵抗が増大するタイプで、その原因は「日常的な運動機会の喪失」という典型的なものでした。もちろん、リタイア後の毎日の歩行などの運動の重要性はいたる所で聞き及ぶのですが、それが「なぜ必要で、どの程度の運動が必要なのか」を理解してなかったことが実は大問題だったのです。
高血圧の原因は、食事による肥満や塩分取りすぎ、加齢による動脈硬化なども考えられます。
私の場合は、それらの影響は軽微だったのですが、その分析は後ほどご説明します。
そして、私のように、日々、家にこもってテレビやパソコンに向きあいながらも、たまの山歩きや、気が向いた時のランニングをしているから大丈夫、と思い込んでいたある日、「高血圧になってしまった自分」に向き合うことになるのです。
それでも私は、そこに向きあい、原因を調べ、「これまでの行動の何が、なぜ問題だったのか」にたどり着くことができたことと、現時点の情報では、どうやらまだ回復可能な地点にいるという点で、まだマシなのかもしれません。
自分の高血圧のタイプと原因を見極める方法:「運動後低血圧」
まず、高血圧には、血管構造(動脈の太さ・硬さ)やその機能の低下によるものや、腎機能の影響(個体差を含む)によるものがあります。対策を考える時、こうした情報が必要ですが、上の血圧(収縮期血圧)が高い、という情報だけでは、こうした体の中の状態は分かりません。
更に、血管に関しては、高血圧の原因は、大動脈の動脈硬化と末梢血管抵抗の増加に分かれます。
私たちが、個人でこうした情報を効率的に入手できる方法があるのをご存じでしょうか。
それは、30〜60分程度の無理のない有酸素運動前後の「血圧」を図るだけです。誰でも簡単にできます。
静的な血圧値ではなく、動的な反応性を見ることで、これまで気付かなかった体の情報にアプローチできるというのです。

「運動後低血圧」の挙動から得られる、血管状態に関する情報とは
無理のない有酸素運動をする前後の血圧を測ることで、血管の反応性や、末梢血管の状態を推定するヒントになります。ただし、これはあくまで一つの手がかりであり、必要に応じて医療機関での検査と組み合わせて判断することが重要です。
この情報はかなり有益で、自分の血管の状態と、その回復可能性の情報を得ることができるのです。
たとえば、こうした運動後に運動前より、上の血圧が大きく低下(運動後低血圧)したり、上下の血圧差(脈圧)が低下する挙動がある場合、下記のような傾向が読み取れます。
- 大動脈の柔軟性がある程度保たれている可能性が示唆されます
- 大動脈などの動脈硬化の進行は軽微といった傾向が考えられます
- 末梢血管の収縮が高血圧の原因であった可能性を示唆する一つの手がかりになります
- 日常的な運動習慣による改善の可能性を推定するヒントになります
一方で、加齢が進み、動脈硬化が進んでしまった場合、運動後低血圧は僅かであったり、ほぼ起こらず、脈圧の変化(低下)も僅かです。その状況では、生活習慣の改善での血管状態の回復への期待は小さく、状況によっては降圧剤による管理も必要となってきます。

つまり、運動後の血圧変化は、末梢血管の“可塑性”を直接測るテストになるのです。
大動脈硬化型なら早期介入(降圧剤など)が必要ですが、末梢抵抗型なら生活習慣で改善が可能ということです。
運動後低血圧が起きるメカニズム
運動後低血圧は、以下のようなメカニズムで、末梢血管の拡張反応を反映します。
- 運動中、筋肉への血流を確保するために末梢血管は大きく開きます
- 運動が終わった後もこの拡張状態が持続し、かつ交感神経の活動が鎮まることで血圧が下がります
- 運動後低血圧の挙動は、末梢血管にはまだ十分な拡張余力(しなやかさ)がある場合に起こります
- 腎臓への血流が悪い場合の高血圧では、腎臓は強力な血管収縮ホルモンを出し、全身の末梢血管を締められるため、運動後低血圧は弱い(十分に下がらない)という特徴があります
・これは、eGFR・尿蛋白・Na/K比の検査データと照合により、より高い精度で推定できます
但し、この方法は、運動時の脱水や睡眠不足、飲酒、運動強度の違いにより、測定した血圧データの意味あいがが変わるリスクもあります。簡単に出来る測定方法なので、出来れば数日にわたりデータを測定して、総合的に判断することをお勧めします。
私は、1週間ぐらいデータを取り、安定して傾向が確認できたので、ある程度自信をもって判断できました。
私が実践している、運動習慣(30-60分のジョギング)の意味とは
運動後低血圧の挙動や脈圧の縮小がしっかりある場合、現在の高血圧の原因は、末梢血管抵抗の増加が原因であり、且つ、その状態は適度な有酸素運動の継続で、改善できる可能性がかなり高いことが示唆されます。
私の場合、運動前後での血圧低下は35-40mmHgくらいありましたし、脈圧も45mmHgが35前後まで縮小していて、大動脈(中枢動脈)の柔軟性は比較的保たれており、末梢血管が柔軟で反応性が高いことが示唆されていました。
仮に、大動脈の動脈硬化が進んでいる場合、ここまでの血圧低下や脈圧の縮小は起こらないからです。また、腎機能の低下に伴う高血圧の場合も同様に、運動後低血圧は期待できません。
適度な有酸素運動がもたらすこと
末梢血管抵抗が高い状態を改善するためには、適度な有酸素運動を出来るだけ継続的に行うことが重要です。
その目的と効果は以下の通りで、血管の末梢抵抗そのものに介入するアプローチになります。
- 内皮機能の回復
・NO(一酸化窒素)産生増加
・血管拡張能の改善 - 自律神経の再調整
・安静時交感神経を抑える
・夜間副交感神経を亢進させる(優位にする) - 細動脈リモデリングの改善
・慢性的な収縮状態からの解放

しかし、こうした末梢血管抵抗の増加は、多くは数年にわたる運動習慣の消滅に伴い、長期間に形成された状態変化であり、改善にも比較的長期(私の実戦での効果発現目安は、約3ヵ月程度)を要するのです。
ジョギングを始めて一か月が経過した現在の状況
ここまでご紹介の通り、私は、1か月程度前から、高血圧対策としてのジョギングの習慣化に取り組み、週に4日程度5-10kmを走ることを目標にしていましたが、実際には週に3-4日程度のペースで実施することができました。
その結果、健康診断の際やその後のスポットで計測していた145-160mmHg程度の血圧はほぼなくなり、最近は135-145mmHg程度で安定してきています。
やはり、走らなかった翌日の血圧は高めだったり、たまに飲酒すると、少し高めに出ることがありますが、現状は体質改善の途上と理解し、あまり一喜一憂せず淡々とミッション(ジョギングの継続)をこなしている状況です。
目標は、更に2か月後には135mmHg以下で安定することを期待しています。この結果は、改めてご報告しようと思います。
もう一つの私のリスク:睡眠時無呼吸症候群SAS
実は、末梢血管抵抗の増加に伴う高血圧以外に、思い当たる原因があり、それは睡眠時無呼吸症候群の兆候です。
朝の高血圧は、睡眠の質に大きく影響を受けることも知られており、現在、少しでも睡眠の質を改善しようと、枕などの最適化などにも悪戦苦闘中なのです。
ジョギングの継続で、期待した効果が得られない場合、こちらの治療・対策が必要になってくることも視野に入れつつ様子見の状況です。
なお、SASのメカニズムをご参考までにご紹介します。
- 夜間交感神経が亢進(優位になる)し、 朝の血圧が高くなりやすい
- 末梢抵抗が上がりやすく、高血圧になりやすい
- SASがあると、運動後低血圧が弱くなることもある
高血圧の本当の問題点
別記事でもご紹介している通り、「全体平均的には高血圧が良くない」ことは科学的な事実かもしれませんが、「ある個人にとっては、それは必ずしも正しいことではありません」。つまり、人ごとに生物学的な事情が異なり、高血圧になっている理由が異なるからです。
自分の体の状態を出来る限り理解し、自分の高血圧の原因を知り、最も適した対策を選択するのが私たち人類としての知恵だと考えています。
その意味では、「運動後低血圧」挙動は非常に多くの情報をもたらしてくれますので、是非ご活用いただくことをお勧めします。
高血圧と一口に言っても、人それぞれ事情が異なります。高血圧状態の継続は、血管や脳や内臓にダメージを与えることは事実かもしれませんが、体は理由もなく高血圧状態になることはありません。
それは、よりましな選択という意味で「究極の生存戦略の選択としての高血圧」なのかもしれないのです。
つまり、自分が今、なぜ高血圧になっているのかも知らず、医師の判断に任せきりにするのではなく、自分の体の状態を理解した上で、納得して治療方針を選ぶことが重要だと感じています。私は、言われるままに降圧剤を服用して不健康になっていった人の話も聞いてきました。
特に高齢者では、血圧を下げ過ぎることによる弊害も報告されています。
まとめ
私たちは、自分の専門外だからと言って、不必要に考える権利を放棄しすぎていないでしょうか。
少し調べて考えれば、意外と多くのことを理解し判断できるものだと感じます。
特に昨今のAIの発展で、多くのことが簡単に調べられるようになりました。
自分の体のことぐらいは、少しは関心をもって考えてみてもいいかもしれませんね。

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