前回の記事では、シニアランナーにとってのランニングフォームの重要性について書きました。
フォームは、故障を防ぎ、楽に走るために、そして結果として少しだけタイムを向上させるために、非常に大切な要素です。
私自身、今シーズンの走り始めはかなり厳しい状態でした。
ところが、走り込みを継続しながら、フォームを意識して修正していくことで、走り始めて約3か月、目標としていたタイムに一度だけですが到達することができました。
今回は、その結果をどう捉えるべきか、そして私たちシニアにとって参考になる「エイジグレイディング」という相対指標についてご紹介します。
シニアにとって走破タイムをどう考えるか
ランニングでは、年齢を重ねるにつれて走破タイムが低下していくのは自然なことです。
だからこそ、無理をせず、生活の一部として長く安全に走り続けることが何よりも重要だと思います。
ランニングの目的は、未来の自分の健康な生活を支えるための習慣を継続することです。
無理をして故障したり、走ること自体が嫌になってしまうのは、最も避けたいことです。
それでも、走っている以上、
「自分の走りは今どのくらいの状態なのか」
「以前と比べて良くなっているのか、落ちているのか」
を知りたくなるのは、ごく自然な感情だと思います。
相対的な位置を知るための指標「エイジグレイディング」
そんなときに役立つのが、「エイジグレイディング」という指標です。
これは、年齢ごとに補正をかけ、自分の走破タイムが相対的にどのレベルにあるのかを%で示してくれる、世界的に使われている指標です。
年齢を入力し、距離とタイムを入れるだけで、簡単に計算できます。
一般的には、次のような目安で語られることが多いようです。
- 100%:世界記録レベル
- 90%台:世界トップクラス
- 80%台:全国大会上位レベル
- 70%台:競技志向の強い市民ランナー
- 60%台:トレーニングされた市民ランナー
- 50%台:健康的に走れる市民ランナー
この指標の良いところは、
年齢を重ねてタイムが多少落ちたとしても、同年代との相対的な位置を把握できる点にあります。
「老化しているかどうか」ではなく、「相対的な体力状態」をモニタリングできるのです。
エイジグレイディングの計算方法(簡単)
私が使ったのは、以下の自動計算サイトです。
Sage Calculator – Age-graded Running Calculator
- 性別を選択(Male / Female)
- 年齢を入力
- 距離(10kmなど)を選択 :「Track、Load」の選択と同時に距離選択
・プルダウンメニューにある距離だけでなく、細かい距離入力も選択できます - 自分のタイムを入力
- Calculate をクリック
これだけで、すぐに結果が表示されます。
私の場合は、10km走った時のベストのタイムを用いて計算し、
エイジグレイディング60%をギリギリですがクリアすることができました。
走るたびにタイムには多少のばらつきがあるため、
あくまで「一つの目安」として使うのがよいと思います。
今回の結果が意味するもの
私が目標としていたエイジグレイディング60%は、
同年代の市民ランナーの中では、概ね上位3割程度に相当すると言われています。
因みに、エイジグレイディング60%は、67歳で10kmを58分を切るタイムに相当します。
この結果は、単にタイムだけの話ではなく、これまで意識してきた取り組みの積み重ねを反映していると感じています。
- 継続的な走り込み
- 着地でブレーキをかけないフォームの意識
- 上下動を抑えた効率的な走り
- 股関節を中心に、殿筋や腸腰筋など大きな筋肉を使う意識
- ストライドを抑え、ピッチを意識した走り
一方で、今回の過程では、危うく故障しかけた経験もありました。
シニアや初心者は要注意:ストライドの拡大と負荷
あるトライアスロン競技者の方から、「下肢を板バネのように使うイメージも有効」と聞き、
あまり深く考えずに、そのイメージだけを頼りに、傾斜のあるロードで大きめのストライドで走ったことがあります。
その結果、膝蓋骨(膝のお皿)の外側に強い違和感が出て、
膝蓋外側圧迫症候群(ELPS)になりかけました。
幸い、知り合いの整形外科医の助言で、しばらく安静にし、
ストライドを小さく、ピッチ重視の走りに切り替え、
勾配の少ないコースに変更することで改善できました。
この体験から感じたのは、
シニアや初心者が、十分な筋力がないままストライドを広げたり、衝撃の強い走りを意識するのは、非常にリスクが高いということです。
下肢をバネのように使う感覚も、走り込みと筋力があってこそ、自然に育つものだと感じました。
まとめ:シニアにとっての「良い走り」とは
今回、フォームを意識した走りを続けた結果として、
エイジグレイディング60%という一つの目安に到達できました。
これは、「速くなった」というよりも、
- 無理な力を使わず
- 故障リスクを抑え
- 年齢や体力条件の中で
- 効率よく前に進める走りに近づいた
その結果として、相対的なパフォーマンスが向上した、という感覚です。
シニアにとって大切なのは、若い頃の走りを取り戻すことではなく、
今の体で、長く、安全に走り続けられる状態を作ることだと思います。
エイジグレイディングは、他人と競うための指標ではなく、
自分の走りを客観的に見直すための物差しとして、とても有用だと感じました。
今後も、無理なタイム更新を狙うのではなく、フォーム・筋力・回復のバランスを意識しながら、
少しずつこの指標を維持・改善していきたいと思います。

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