「毎日が日曜日。誰とも話すことなく、一日が終わってしまう…」。高齢化が進む現代、それは決して珍しいことではなくなりつつあります。
しかし、孤独な自由時間こそが、自分を見つめ直し、更なる成長への貴重な機会となる可能性を秘めていることをご存知でしょうか?孤独とは、制約のない自由時間がたくさんあるということなのです。
近年、自己決定理論に基づいた研究でも、孤独は必ずしもネガティブな状態ではなく、自らの意志で獲得した孤独は、自己の内面と向き合い、自己成長を促進する機会となり得ることが示されています(Nguyen, Ryan, & Deci, 2018)。
新しい趣味に挑戦したり、読書に没頭したり、あるいはただ静かに自分と向き合う時間を持つことは、人生をより豊かにする素晴らしい機会となるはずです。
しかし一方で、社会的に孤立してしまうことは、自発的に選択した孤独とは全く意味合いが異なるものであり、ネガティブな状況を招きかねないため、そうした状態にはならないように意識することも重要です。
この記事では、自が選択した一人の自由時間をポジティブに活用して、充実した毎日を送るためのヒントやアイデアをたくさんご紹介します。
ぜひ、一緒に恵まれた「孤独」な時間を、自分だけの宝物にしていきましょう。
「獲得した孤独時間」を充実させる、シニアのための5つの習慣
家族や趣味の仲間、地域活動など、多くの人との接点を大切にして過ごす日々はかけがえのないものです。
しかし、シニアの皆様の実情として、様々な事情で一人で過ごす時間が増える傾向にあります。時には孤独感を感じることもあるかも知れません。
しかし、冒頭でご紹介した通り、孤独時間は自分の内面と向き合い、自己成長を促進する貴重な自由時間でもあります。積極的に孤独時間を有意義に活用する意識を持ち、ポジティブで創造的な取り組みを楽しんでみませんか。
そこで獲得した自由な孤独時間を有意義なものとするために推奨される5つの視点をご紹介します。

- 人とのつながりを維持する
・趣味の会やボランティア活動に参加し、新しい出会いを積極的に求めることは、社会との繋がりを保つ上で重要です
・家族や友人との時間を大切にし、コミュニケーションを密にすることも心がけましょう
・地域のイベントに参加したり、SNSなどを活用したりして、交流の場を広げることも有効です - 学び続ける
・読書や講座を通して、新しい知識やスキルを身につけ、視野を広げ、脳を活性化しましょう
・ニュースなどで社会の変化に目を向け、新たな情報に触れる機会と意欲を持つことも大切です
・常に学ぶ姿勢を持ち続けることで、知的好奇心を維持し、生活に活力を与えることができます - 健康的な生活を送る
・規則正しい生活とバランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を習慣化し、心身の健康を維持します
・定期的な健康診断を受けることも忘れずに行いましょう
・健康的な生活習慣は、精神的な安定にも繋がり、孤独な時間をより快適に過ごすための基盤となります - 目標を持つ
・達成可能な小さな目標を設定し、達成感を得ることで、自己肯定感を高め、生活に充実感をもたらします
・趣味やボランティア活動など、目標に向かって行動することで、生活にメリハリが生まれます
・日記やメモを活用し、自己成長を記録することも、モチベーションの維持に役立ちます - 心のケアを怠らない
・ストレスを感じたら、気分転換の旅に出かけたり、瞑想などでリラックスする時間を持ちましょう
・悩みがある場合は、信頼できる人に相談し、必要であれば専門家のサポートを受けることも検討しましょう
・心の健康を保つことは、孤独な時間をポジティブに過ごす上で非常に重要です
これらは、孤独な自由時間をより充実したものにするための土台となる、大切な心がけです。
逆に、この時間の過ごし方を間違えると、10年先、20年先の生活に質が残念なものになるリスクもあるのです。
この貴重な孤独時間との向き合い方は、とにかくポジティブに捉える心構えが大切です。そのためには、新たな取り組みもとても意味があります。
長年培ってきた日常習慣を変えるのは容易ではありませんが、新たな趣味への取り組みは、具体的な活動として非常に効果的です。
新たな趣味への挑戦は、以下のような可能性をもたらします
趣味には、学び、交流、健康、達成感など、多くの要素を実現できる可能性があります。
- 心の健康
趣味に没頭することで、ストレスが軽減され、心の安定につながります
達成感を得ることで自己肯定感が高まり、孤独感を和らげる効果も期待できます - 社会とのつながり
趣味を通じて、同じ趣味を持つ仲間と出会い、交流の場が広がります
これにより、社会とのつながりを深め、孤独感を軽減することができます - 健康維持
趣味によっては、身体を動かすことで健康維持にもつながります
例えば、ウォーキングやヨガは、心身のリラックス効果も期待できます - 生きがい発見
新しいことに挑戦することで、人生に新たな目標や生きがいを見つけることができます
シニアにおすすめの趣味とは?
シニア世代におすすめの趣味は、体力や興味、関心によって様々です。
下記はほんの一例ですが、自分の興味のあることから、まずはとにかく始めてみることが大切です。
計画を立てるだけでなく、実際に行動に移すことが何よりも重要です。

- 読書:読書は、手軽に始められる趣味の一つです
好きなジャンルの本を読むことで、知識を深め、心を豊かにすることができます
読書の習慣がない方も、この機会にぜひ取り組んでみませんか - 旅行:国内外の旅行は、新しい発見や経験をもたらし、人生を豊かにします
- 運動:ウォーキング、ランニング、山歩き、テニスなど、体力と興味に合わせて好きなことに取り組んでみましょう
- 料理:食べるだけでなく、作る過程も楽しむことができます
家族や友人と食事を共にすることで、コミュニケーションも深まります - ガーデニング:植物を育てることは、癒し効果があり、自然と触れ合いで心身のリラックスに繋がります
- ボランティア:ボランティア活動は、社会貢献を通じて、自己肯定感を高めることができます
- アート:絵画、書道、手芸など、芸術的な活動は、創造性を刺激し、心の豊かさにつながります
人的な交流や、運動する機会があるものは、社会的な接点を持つ意味ではより良いかもしれません。
そして、人にはインプットと同じくらいアウトプットが必要です。人との交流が取り難い状況なら、インターネットなどを通して発信してみることもいい選択かもしれません。
発信するためには考えることが必要だからです。人との交流の大きな意義の一つは、「聞いて、考えて、返事をする」という活動自体にあります。
私自身、ブログを書くにあたり、これまでになく調べたり、考えたりする時間が増えました。文章の質を高めることの難しさも痛感しており、アウトプットの重要性を改めて感じています。
一人で過ごす時間が多く、人と話す機会も少なくなりましたが、常に何かを考え、どう表現するかを模索している時間は貴重だと感じています。
単にテレビ番組やYouTube動画を見るだけの受動的な生活を送っている方は、少し考え直してみても良いかもしれません。
趣味を楽しむためのコツ
- 無理のない範囲で:体力に合わせて、無理のない範囲で趣味を楽しむことが大切です
- 仲間と楽しむ:同じ趣味を持つ仲間と交流すれば、モチベーションを維持し、より楽しむこともできます
- 新しいことに挑戦:同じ趣味でも、新しいことに挑戦することで、新鮮な気持ちで楽しめます
- 目標を設定する:小さな目標を立て、達成することで、自信と喜びを感じることができます
- 記録を残す:日記や写真などでの自分の活動を記録すれば、振り返りやモチベーション維持に役立ちます
私自身、この半年、このブログを始めとして今までにない趣味への取り組みを始めてみました。
正直なところ、飽きやすい性格なのでいつまで続くか分かりませんが、やってみる価値はあったと思っています。
興味が湧く何かが有れば、とにかく始めてみてはいかがでしょうか。
自発的な孤独と社会的孤立は全く別物:孤立がもたらす健康への影響
自ら望んで楽しみ有意義に過ごす自由な孤独時間と、意図しない社会的な孤立は全く別物です。
人は社会性の生き物であり、地域社会から孤立することは決して望ましいことではありません。家族や地域社会とのつながりは大切にしましょう。
社会的な孤立は、不安や抑うつのリスク、免疫機能の低下、心血管疾患、認知症など、様々な健康リスクを高めることなどが研究で示されています。
孤立がもたらす様々な健康リスク:
- 遺伝子発現への影響
孤立が免疫機能を低下させ、炎症性疾患のリスクを高める可能性があることが示されています
(Cole, S. W. et al. (2007)) - 精神的および身体的健康への影響
孤立は不安や抑うつのリスクを高めるだけでなく、心血管疾患の発症リスクも増加させることが示されています(Hawkley, L. C., & Cacioppo, J. T. (2010)) - 死亡リスクの増加
社会的な孤立は死亡リスクを50%も高めることが示されており、これは喫煙や肥満などの既知のリスク要因と同等の影響を持つとされています(Holt-Lunstad, J., Smith, T. B., & Layton, J. B. (2010)) - 認知症リスクの増加
低い社会参加、少ない社会的接触、孤独感の増加は、いずれも認知症の発症に有意に関連していることが確認されています(Kuiper, J. S. et al. (2015)) - 認知症予防の重要性
社会的な交流や教育の向上は、認知症の予防に効果的であることが示されています
(Livingston, G. et al. (2020))
自分時間を楽しむことに忙しく、外出したり人との接点が少なってしまうのはある程度仕方ないかもしれません。
しかし、地域社会、またはSNSなどでもいいので、どこかで人とのつながりを維持する努力は、自分時間を楽しむのと同じくらい重要です。

現在の生活を振り返り、当てはまることがあれば、生活習慣の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
社会的に孤立しないようにするためには、自らの意思での働きかけも必要です。
高齢になっても、可能な限り自立した生活を送る意識を持って、今の時間を大切に過ごしましょう。
まとめ
自由な孤独時間を有意義に活用するためには、積極的に自分と向き合い、心と体の健康を保つことが必要だと思います。
シニアが健康で豊かな生活を送るためには、貴重な孤独時間に向き合うことと、それと同じくらい社会とのつながりをバランスよく持つことが大切だと感じます。
世界一孤独とまで言われている日本のおじさんに、今必要なのは価値観のアップデートなのかもしれないですね。
この先70代、80代、そして90代以降も、自分の望む道が歩けるように頑張りたいものです。
この記事が充実した毎日を送るヒントになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考文献
参照文献:(健康リスク)
Cole, S. W., Hawkley, L. C., Arevalo, J. M. G., Sung, C. Y., Rose, S., & Cacioppo, J. T. (2007). Social regulation of gene expression in human leukocytes. Genome biology, 8(9), R189.
Hawkley, L. C., & Cacioppo, J. T. (2010). Loneliness matters: a theoretical and empirical review of consequences and mechanisms. Annals of Behavioral Medicine, 40(2), 218–227.
Holt-Lunstad, J., Smith, T. B., & Layton, J. B. (2010). Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review. PLoS medicine, 7(7), e1000316.
Kuiper, J. S., Zuidersma, M., Oude Voshaar, R. C., & Smidt, N. (2015). Social relationships and risk of dementia: a systematic review and meta-analysis of longitudinal cohort studies. Ageing research reviews, 22, 39–57.
Livingston, G., Huntley, J., Sommerlad, A., Ames, D., Ballard, C., Banerjee, S., … & Cooper, C. (2020). Dementia prevention, intervention, and care. The Lancet, 396(10248), 413–446.
参照文献:(孤独の利点に関する参考文献)
Nguyen, T. P., Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2018). Solitude: An exploration of benefits of being alone. Personality and Social Psychology Bulletin, 44(1), 86–106.
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