寒波が訪れる前に、シニア6人で奈良の山を歩くことになりました。今回は、暗越奈良街道の一部を抜けて、矢田山、松尾山を抜けるコースです。
近鉄のてくてくまっぷというルートマップで、気楽な気持ちで参加したのですが、思いの他歩きごたえがあり、散策路も変化に富み楽しめるコースでしたのでご紹介しようと思います。
寒さに負けず、お天気の良い日を選んで、体を動かしてみませんか。
暗越(くらがりごえ)奈良街道について
今回のルートは、南生駒駅から暗越奈良街道の奈良側の一部を抜けて、矢田山から松尾山を歩くコースになります。累積高低差は700mを超え、距離も13kmあるので、少しばかり脚力が必要かもしれません。

コース沿線概要
暗越奈良街道は、大阪と奈良を結ぶ歴史的な街道で、大阪側の枚岡神社から生駒山を登り、標高455mの暗(くらがり)峠を抜けて奈良の春日大社に向かう道です。奈良時代には東大寺造営の道として利用され、江戸時代には伊勢参りの道として栄えました。
今回のルートは、大阪側から暗峠を抜けた後のコースとなり、南生駒駅から暗越奈良街道をしばらく東に向かい、榁木(むろのき)峠を越えてから、南に矢田山、松尾山を登るルートとなります。
榁木峠の標高は270mで高くはありませんが、このルート全般に結構な登りが続きますので、散策というより少し登山に近い感覚での心の準備と、スニーカーではなくトレッキングシューズで臨みたいす。
コースは、近鉄の「てくてくまっぷ」に沿って歩きました。今回も分岐も分かりやすく、道迷いはありませんでした。

てくてくまっぷは、北が左向きなので、グーグルマップに対して90度回転した向きになります。このマップの印象からは想像しにくいのですがしっかり山歩きのルートで、久しぶりの山行だと筋肉痛は必至です。
散策の様子
南生駒駅を出てすぐの踏切に向かう道は国道308号!

国道とは言え対向が困難な狭い道です。途中、住宅街を抜けるあたりは何とか対向できるところもありますが、全般に、狭い国道です。酷道の仲間か?

しばらく町中を抜けて進むと、足湯のスポット「歓喜の湯」が現れますが、冬場でもここまで来るころにはしっとりと汗ばむ登り道ですので、ハイカーには足湯の需要はあまり無さそうです(営業時間:10⁻18時無料)。

ここからも国道308号の道幅は、狭く急傾斜な道が続きます。

この先には郡山警察犬訓練所があり、犬の吠える声が響いていました。この先で暗越奈良街道(国道308号)とお別れです。

矢田山遊びの森でトイレ休憩して、峠池上池と下池の間の道を抜けて、東明寺を目指します。

石畳の道から山道に続いていきますが、雨上がりの道はスニーカーでは滑って歩きにくく、やはりトレッキングシューズがお勧めです。
東明寺
暫く山道を進むと、東明寺が現れます。この寺は、高野山真言宗の寺院で、正式名称は「鍋蔵山東明寺」です。

寺伝によると、東明寺は『日本書紀』の撰者として名高い舎人(とねり)親王によって開基されたと伝わります。
舎人親王の母である持統天皇が眼病に苦しんでいたおり、白鬚明神からのお告げがあり、霊山に登って与えられた金鍋で霊泉をすくって眼を洗わせたところ、眼病が平癒したそうです。
このことに感謝した舎人親王の勅により、この地に寺が建てられたということです。


この季節は、参拝者もまばらで、見かけたのは一組の高齢の親子連れだけでした。

散策ルートでは、山門とは逆側から東明寺に入り山門を下ります。
東明寺の山門を下った先を、左折して下らずに、そのまま真っすぐ進み矢田寺に向かいます。私たちが訪れた時は、分岐箇所に矢田寺に向かう案内の標識が無く、分かりずらかったです。
矢田寺(矢田山・金剛山寺)
矢田寺は、日本のお地蔵さま発祥の地と言われており、日本最古の延命地蔵菩薩が安置されています。

アジサイ寺としても有名で、5月中旬から9月頃まで約60種類、10,000株のアジサイが見られます。

矢田寺(やたでら)の拝観料は、6月上旬~7月上旬のみ有料で、大人700円、小学生300円です。

2月でも、参拝者は少ないながら絶え間なく訪れる人はいる感じです。

しかし、日曜日でも、人のいない方にカメラを向けると、閑散とした境内の様子が見られます。
見ごたえのある建築は、天武天皇の勅願により入唐僧の智通僧上が白鳳4年(675年)に建立したとされています。

ここは、また緑豊かな季節に訪れたい場所でした。
松尾寺へ
矢田寺から松尾寺ヘは再び結構な登りの山道が続きます。
南生駒を出発して、3時間半ほどで国見台展望台に到着です。あと少しで松尾寺というところで、お昼休みとしました。

松尾寺
松尾寺は、寺伝によれば養老2年(718年)の建立とされています。西国三十三所巡礼の第二十九番札所として知られています。舎人親王が「日本書紀」の完成と自らの厄除けを祈願して建立したと伝わる寺院です。

今回の散策コースの中でも、ここは参拝者がとても多く、駐車場では複数の警備員の方が忙しく誘導されていました。

本尊は千手千眼観世音菩薩(やくよけ観音)とされています。

現在の三重塔は、明治時代に再建されたものと言われており、その様式や構造には、古い時代の建築様式が色濃く残っています。
平群駅へ
ここからは、平群駅に向けて長い下りが続きます。この下りが結構歩きにくく、距離もありますし、滑りやすい箇所も少なくないので、疲れた足腰でケガをしないように、最後まで気を抜かずに集中して歩きたいものです。
まとめ
曇りがちの天気ではありましたが、この季節にしては寒くもなく、穏やかな気候の中の山歩きで、歴史情緒あふれる寺社巡りができました。
変化に富んで、歩きごたえもあり、訪れたお寺はどれも見ごたえのある建築と歴史で満足な山行となりました。

帰り道は、鶴橋に立寄り、ホルモン料理で楽しい反省会のひと時を共有できました。
今回のルートは、所要時間は6時間足らずで楽しめて、特に新緑の頃に、又お寺好きの方にもお勧めのコースです。
是非一度チャレンジしてみては如何でしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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