こんにちは。釣り人の皆さんは釣り上げた魚を感動するレベルで美味しく食べられていますか?
今回は、釣り歴20年の私が、最近になってようやく、釣った魚が「凄く美味しい」と感じることが出来ようになった現在をご紹介します。
私が釣りを始めたころは、魚の処理があまり適切ではなく、今から思えば少し残念な持ち帰り方、捌き方、保存をしていました。それでも当時はそれなりに美味しいと感じて食べていました。
しかし、最近は釣り場での処理と持ち帰り方、魚の捌き方、熟成方法の全てが格段に適切な状態に改善された結果、スーパーの魚は当然の事、そこそこの料理屋さんの魚でもあまり美味しいと思えなくなるほどです。
この記事では、魚を最高の状態で味わうための「釣り場での処理、持ち帰り方」について詳しくご紹介します。
それぞれの段階での処理には何故そうしなければならないかという理由があり、ポイントを押さえた処理ができると、魚は本当に美味しくなります。是非一度お試しください。
魚の捌き方、熟成方法に関しては記事が長くなってしまうので、別記事でご紹介しています。
「【釣り人必見➁】「魚を美味しく捌く」のコツ・極意のまとめ ~捌き方一つで不味くも臭くもなる~」、
「【釣り人必見③】「魚の熟成」の極意まとめ ~熟成魚の異次元の”うまみ”に感動!~」
こちらも、良かったら覗いてみてください。
そして、釣り人の方は、是非実践してみてください。
格段に魚が美味しくなりますよ。
釣り場での魚の処理法、持ち帰り方のコツ:概要
釣り人にとって釣り場での最大の関心は、いかにたくさんの魚を釣り上げるかに集中しています。
その結果釣りあげた魚は足元の小さな生け簀に放り込まれて、多くの魚が「野垂れ死に状態」になりがちです。
魚が小さく、生け簀の中で元気にしていればまだいいのですが、弱ったりお腹を上にして浮かんだ状態になってしまっては、魚はみるみる劣化してしまうのです。(魚が暴れて、ぬるい海水中で腐敗に近い劣化が進みます)
船に備え付けの大きな生け簀に活かしておくのであればいいのですが、足元の小さな生け簀に放り込むぐらいなら、すぐに脳締めをしてクーラーの中の冷海水で冷やし込むことをお勧めします。
「冷海水」に関しては、YouTubeの「魚屋のつり鮮ぴっちぴちTV」のチャンネルでの考え方が大好きで愛用しています。
つまり、釣り現場の海水を濃度が薄くならないように氷と分離して冷やして、その冷海水で魚を冷やすのがベストだという考え方です。
持ち帰った魚を美味しく食べること、そして、数日間熟成させて更に美味しくする為には、この釣りあげてからの処理が非常に重要ですので、以下でご説明していきます。
魚を釣り上げた後にやるべき、重要なこと
まずは全てに優先して冷やすこと(脳締め+冷却)
釣った魚の鮮度維持においては、何よりすぐに冷やし込むことが重要です。
【何故なら】:
- 魚は釣り上げられている時もエネルギーを消費しており、海水から上がったとたんに体温上昇が起きる
- 血抜きや神経締めでも体温が上昇する
- 体温上昇は魚の鮮度維持においては最も有害で、劣化や腐敗の原因となる
- 血抜きや神経締めは、「出来ればやった方がより良い」が冷やし込みが最重要だから
(注:大型魚は、神経締めは鮮度維持において有効性が高く重要性も高い)
但し、素早くできるならその前に脳締めをしましょう。
脳締めは、魚が暴れて劣化するのを防止する目的ですので、出来るならやった方が良いです。
注)必ずしもこれが絶対に最適と言うつもりはなく、釣りものによっても変わると思います。
しかし、一般的な船釣りの釣り物であれば、ほぼベストな選択になると思います。
現場の海水が薄まらないように冷やした冷海水で、魚を冷やすために
単に魚を冷やせばよいのではなく、海水濃度を保ったまま冷やすことが重要
【何故なら】:
- 浸透圧により、海水より濃度の低い水につかると、魚の体液が外に出て鮮度低下、劣化が進むから
➡ 釣りを開始する前に、クーラーの中に冷海水を準備しておく
尚、万一氷を入れたビニールが破れて海水が薄まってしまったとしても、魚を冷やすことを最優先にした方が、総合的には鮮度維持に有効と考えられます(経験上)。
冷海水の準備方法
クーラーに釣り場の海水を、魚が浸る程度の量を入れて、厚めのビニール袋などに多めの氷を入れて、クーラーの中の海水を冷却(冷海水を作る)します。
【注意】:
- ビニールが破けると、海水が薄まるので、0.05mm程度のビニールを準備します
魚のトゲでビニールに穴が開く危険があるので、冷海水に魚を入れる際に十分に注意するか、何らかの隔離方法を考えましょう - できれば、トゲのきつい魚はハサミでトゲを切り落とすのも有効です
(できるだけ早く冷やしたいので、この処置はやや矛盾しますが、ベターな選択として仕方ないかも)
海水と氷を分離するのは、実は結構大変で、ビニールに入れた氷は魚のトゲで簡単に穴が開くので、今後何とかしたい大きな課題です。
血抜きは冷海水の中で
よくバケツに頭を突っ込んで青物の血抜きをしていますが、出来ればクーラーの中の冷海水で血抜きをしましょう。
【何故なら】:
魚は血抜きや神経を切った際に、その直後から体温上昇するので、温かい海水で血抜きをしている間にも鮮度が低下して鮮度の低下、身質の劣化が進むのです。
クーラーの中の冷海水が血で真っ赤になっても、なんの問題もありません。魚の血は臭いの原因になるのは事実ですが、冷海水で冷やした状態での血抜きの血にはそうした問題はなく、港に帰ってクーラーの冷海水を抜いてしまえばいいですし、そのまま持ち帰ったとしても問題ありません(経験上)。
持ち帰り方
冷却は30~60分で十分(厳密には魚の大きさで変わります)ですので、理想的にはそのタイミングで適温保持がベストです。
しかし釣りの最中で、しかもクーラー一つでは現実的には不可能です。
釣りが終わった後か港に着いてから、クーラーの冷海水を抜き、残った氷と魚を分離して保存しましょう。尚、クーラーの氷がなくなっていたら、必ず船宿やコンビニなどで補充しましょう。
冷やし過ぎも良くはないと言われますが、現実的には冷海水に漬けたまま魚を持ち帰っても大きな問題はないと感じます。
海水に氷を直接入れて冷やす場合は、時間と共に塩水濃度がどんどん薄くなり浸透圧で魚の劣化が進みますので、十分冷却出来たら魚を冷水から出すか、可能なら水を捨てる方が良いでしょう。
しかし、それでも魚を冷やすことの価値は高いので、海水が薄まる不具合があったとしても、最低限の冷却を優先しましょう。
何がダメなのか、なぜダメなのかの理由を正しく知る
魚が「野垂れ死に」状態になると何故ダメなのかを正しく理解し、美味しい魚を持ち帰りましょう。
魚が暴れるとダメ
- 魚が暴れると、エネルギーを消費するため※ATPを消費し鮮度が下がります。
- 魚が暴れると、身割れしたり、血が回ったり、傷ついたりします
- 魚が暴れると、筋肉の収縮に伴い死後硬直が進むこともあります
➡ 釣りあげたら、できるだけ早く締めて、すぐ冷却しましょう。
※ATP(アデノシン三リン酸):旨味のイノシン酸に変化する前のうまみ成分の元で、これを無駄に消費させないことが重要となります(釣りあげてから暴れたり、脳締めや神経抜きをしないとATPは減少します)
冷たくない海水で血抜きをするのはダメ
- 釣り上げた直後から魚は体温上昇し、更に血抜きや神経締めでも更に体温上昇します
- 海水は決して魚の鮮度維持に適した温度ではなく、その上、魚の体温が上昇すると鮮度はどんどん悪化し、最悪腐敗方向に進んでしまいます
➡ 釣りあげたら、できるだけ早く締めて、すぐ冷却しましょう。
小さい生け簀で、大きな魚を半殺しで放置するのはダメ
- 十分な海水で魚の鮮度が維持できればいいですが、小さな桶に少ない海水で魚が弱っていくばかりの状況で魚を放置すると、魚は弱っていくばかりでその間にどんどん鮮度が低下します
- 更に、お腹を上にしているような状況は、魚のコンディションはどんどん悪化します
➡ 釣りあげたら、できるだけ早く締めて、すぐ冷却しましょう。
釣り上げた魚を脳締めや冷やす前に、血抜きや神経抜きをするのはややダメ
- 釣り上げた直後から魚は体温上昇し、更に血抜きや神経締めでも更に体温上昇します
- 魚が暴れ続けると、魚の筋肉が酸素を消費し、乳酸がたまるため筋肉組織の劣化が早まります。
- 脳締めにより直ちに無駄なエネルギーの消費を抑えることで、鮮度維持に効果があります
脳締めしても、心臓は自律神経で動いているので、心臓が動いた状態で血抜きが出来ます - 脳締めの前に血抜きをすると、その間に魚が暴れて、身質や鮮度の低下の原因となります
- 海水は決して魚の鮮度維持に適した温度ではないため、魚の体温が上昇したまま冷たくない海水で血抜きをすると、鮮度はどんどん悪化し、最悪腐敗方向に進んでしまいます
➡ 釣りあげたら、できるだけ早く締めて、すぐ冷却しましょう。
大きな魚は神経抜きまでした方が良い
大きな魚は、出来れば神経抜き(ワイヤーで神経を破壊し取り去る)をした方が、エネルギー消費を押えATPの減少が抑えられ、死後硬直を遅らせる効果もあり美味しく食べる上では大きな効果があります
➡ 大きい魚は、冷海水の冷やし込みだけでなく、出来るなら神経抜きもしましょう。
まとめ
釣りは楽しい遊びですが、釣った魚を適切に処理できるようになると、まるで違う世界が開けます。
私は、もうスーパーで買った刺し身は食べられなくなりました。
地合いを逃さずに、「少しでも多くの魚を釣りたい」のは釣り人共通の思いですが、少しの手間で釣りの楽しさに加えて、釣り人にしか味わえない最高に美味しいお刺身などが食べられるのです。
釣り上げた魚を最高に美味しくするために、船上での少しの手間は何物にも代えられない素晴らしい経験をもたらしてくれます。
釣り人の方はこの記事を参考に、是非新鮮な魚の持ち帰りにチャレンジしてみてください。
持ち帰ってからの適切な捌き方や、熟成を実践できると別物の味が待っています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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