60代、70代、そしてその先を生きいきと過ごしたいのに、心身の健康に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
実は、日本では健康寿命と平均寿命には10年ほどの開きがあると言われています。
つまり、多くの人が人生の後半を、心身の健康上の問題を抱えながら過ごしていると考えられます。
この記事では、健康寿命を縮めてしまう原因と、それらの問題に対処するための具体的なアプローチをご紹介していきたいと思います。
そして、より長く、より健康で豊かな人生を送ることについて、まだ若い(60-70代)うちに真剣に考えてみたいと思います。
この記事が、皆さんの健康寿命を延ばすための第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
日本人の健康寿命と平均寿命の実情
5年前のデータですが、男性の平均寿命と健康寿命の差は8.7年(女性は12年)で、平均寿命に対して不健康な状態で過ごす期間が10年前後もあるというのです。
令和4年版データでは、コロナ禍の影響で平均寿命は一旦0.3~0.4歳程度の一時的な低下があったようですが、基本的な傾向は変わりません。
なお、健康寿命の定義は、ざっくり「日常生活に制限のない期間の平均」とのことですので、必ずしも人生の後半をさしませんが、およそのイメージとしては近いと思います。
できる限り健康寿命を延ばして、人生の最後まで元気に過ごして、最後はコロリと生涯を閉じる「ピンピンコロリ」を目指したいものですね。
健康寿命を伸ばす5つの秘訣【60代からその先の健康を築く】
早速ですが、『健康寿命を延ばすために、意識して取り組みたいこと5選』を下記に列挙しました。
これは重要な視点なのは間違いありません、しかし実は問題の本質ではないのかもしれません。
つまり、多くの人は少なからず知識は有っても毎日少しづつの実行が出来てないのが最大の課題なのではないでしょうか。
若さを保てる人と、そうでない人の違いについて、のちほど詳しく説明します。
まずは5つの視点をご覧ください。
- 積極的に、新しいことに挑戦しましょう
・新たな刺激は、心身を活性化させ、意欲の向上にもつながります
・脳(特に前頭葉)の活性化により、加齢に伴う記憶力や判断力、注意力などの機能低下を予防する効果が期待できます
・新たな出会いや交流の機会も増え、社会参加の幅を広げることができます - 適度な運動を習慣化しましょう
・運動は、脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌を促進し、脳の活性化や認知機能の維持に役立ちます
・心肺機能の向上、筋肉量の維持など、健康寿命の延伸に不可欠な体力づくりにも繋がります
(特に運動は続けることが最も重要です。続けられることを探すのも重要です) - 趣味やボランティア活動など、楽しめることを積極的に取り入れましょう
・楽しみながら活動することは、ストレス軽減にも繋がり、心の健康を保つ上で重要です
・様々な人と交流することで、社会参加の機会を増やし、生きがいを見つけることができます - バランスの取れた食事を心がけましょう
・特に、たんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが大切です
・高齢者の多い地域の食事習慣を参考にするのも良いでしょう - 人とのつながりを大切にし、社会参加を積極的に行いましょう
・地域活動やボランティア活動など、様々な形で人との繋がりを持つことは、孤独感の解消や心の健康維持に繋がります
・オンラインツールを活用し、遠方の人との交流を楽しむこともできます
「誰もが言うであろう、当たり前のこと」ですね。
でもこれが出来ないのです。
正確には、出来ている人と、出来てない人に分かれるのです(ざっくりで申し訳ないですが)。
何故でしょうか?
それは、今から10~30年後の日々の暮らし方の姿が「どうありたい」のか、そして「そのためにどうすべきだったのか」についてのイメージが出来てないからではないでしょうか。
そして、「今そのための行動をしてないといけない」ことの自覚が低すぎるのだと思います。
少なくても「事の重要性」に本当の意味で気付いてないのだと思います。
つまり、昨日や今日の延長上で未来がやってくると、絶望的なレベルで勘違いしてないでしょうか。
一定以上の努力をしてない人の未来は、驚くほど急速に老け込んでいくものですし、そうした未来が多くの人には現実のものになってきています。
実はここからが最も重要なポイントなのです。
では、「実践できている人の現在」と、「出来てない人の末路」を知るための手がかりを見ていきましょう。
70代の崖問題
ところで、皆さんは「70代の崖(ガケ)」という言葉を聞いたことはありませんか。
70歳を境に、健康状態や認知機能がそれまでのペースに比べて急に低下し、日常生活に支障を感じるまでに質が大きく変化すると言われています。
具体的には、歩行速度、筋力、バランス感覚、記憶力、判断力、注意力など心身の多くの機能が急に低下したと感じる人が増えてくるのです。
しかし、これも全ての人に起こるのではなく、「実践できている人の現在」と、「出来てない人の末路」に分かれるのです。
70才を過ぎると急に老け込むのはなぜ
60代を過ぎると、人は生物としての機能が下記の通り、様々な面で低下しいわゆる「老い」の状態を迎えます。
- ホルモンバランスの変化:女性ホルモンや男性ホルモンの分泌量が低下し、代謝が低下したり、骨密度が低下したりするなど、身体機能に大きな変化が現れます
- 細胞の老化: 細胞の分裂能力が低下し、組織の再生能力が低下します
- 臓器の機能低下:心臓、肺、腎臓などの臓器の機能が低下し、体の働きが鈍くなります
- 筋肉量の低下:運動量の減少に伴い筋肉量が低下し、基礎代謝が低下します
- 骨の強度低下:運動、食事の両面から骨密度が低下し、骨折のリスクが高まります
- 食生活の変化:歯のトラブルや消化機能の低下により、栄養バランスが崩れることがあります
- 睡眠不足:寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたりすることが増え、睡眠の質が低下します
- 孤独感:家族や友人との別れ、社会とのつながりの希薄化などにより、孤独感を感じやすくなります
- 認知機能の低下:脳の使い方が偏ると、認知機能が低下しやすくなります
- 意欲の低下:これまで行っていた活動ができなくなったり、将来への不安などから、意欲が低下することがあります
60代以降と、それ以前では、生物学的には大きな変化があるということですね。
重要なのは、このことを知って、それまでになにか「準備をする」か、「何もしない」かです。
70代を超えると、それまでに準備が出来てない人は、いろんなことが急速に老け込んでいくのは自然の摂理なのです。
つまり70代での急な「老い」は、「それまでの生活習慣」の結果が現れているのに過ぎないのです。
もちろん、自分の力では「何ともできなこと」も多くありますが、逆に「何とか出来たこと」はいくらでもあった筈なのです。
70才を過ぎても急に老け込むことのない人の特徴
一方で、70歳を過ぎても若々しく過ごしている人たちは、共通して以下の特徴を持っていることが多いと言われています。
これは、冒頭の5つの秘訣にもつながります。
ここでも重要なのは、これらを「60代、又はそれ以前から継続して行っていること」なのです。
- バランスの取れた食事: 三食バランスの取れた食事を心がけ、栄養不足を防ぎます。
- 適度な運動: ウォーキングや体操など、自分に合った運動を継続的に行います。
- 質の高い睡眠: 規則正しい生活リズムを送り、質の高い睡眠を確保します。
- 友人や家族との交流: 積極的に人と関わり、孤独感を解消します。
- 趣味やボランティア活動: 興味のあることを続けたり、新しいことを始めることで、生きがいを見つけます。
- 変化を恐れない: 年齢を重ねることへの抵抗感を減らし、変化を柔軟に受け入れます。
- 目標を持つ: 将来の目標を持ち、日々を積極的に過ごします。
重要なのは、「今」の生活が冒頭の、5つのあるべき状態であるかどうかの振り返りだと思うのです。
そして、70代の老化は急に始まったのではなく、準備されたとおりに実行されていると理解することだと思います。
60代は、70代以降の生活の基盤を作る大切な時期です。
そして大切なのは、少しでもできること(そして意味のあること)を実行して、継続することです。
残念なことですが、これまでの準備が不十分だと、今「できることを少しだけ」しても、将来につながる結果は得られなくなっているのかもしれません。
そうなる前に、特に60代(又はそれ以前)の人は、自分のありたい姿を思いえがいてみませんか。
特に大切なのは、運動機能と認知機能の維持向上だと思います。
ご参考:現実的な問題としての老化のメカニズム
加齢に伴う身体的な変化は20代がピークだが
エストロゲンや、テストステロン、成長ホルモン、DHEAなど、様々なホルモンが、ほぼ20代までがピークで、その後加齢に伴い減少していきます。
総テストステロンの基準値は、2.01~7.50 ng/mLで年齢による大きな差はないと言われていますが、遊離テストステロンでは、下記の通り、加齢ではっきりした減少傾向がみられます
成長ホルモン:小児期から青年期にかけて分泌量がピークに達し、その後は徐々に減少するそうです。
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン):20歳代以後において、加齢とともに直線的に減少するそうです。
これらのホルモンの減少は、性機能の低下、筋肉量の減少、骨密度の低下、免疫機能の低下など、様々な身体的な変化を引き起こす可能性があると言われています。
しかし、これらの低下が直ちに「老化」の代名詞、ということではありません。
こうした自然の摂理を理解し、日常的な運動を始めとしたより良い生活習慣を続けることで、60代以降の心身の機能低下は大きく予防できる可能性があります。
上述の通り、シニアにとって重要なのは、将来の自分の鏡である「今」をどう過ごすのかを考えることと、実践することなのです。
そして、現状維持で無為に年を重ねて老化を待つのではなく、意欲的に新たな挑戦を続け人生を楽しむことこその長寿の価値を実践していくことではないでしょうか。
漫然と過ごすことのマイナスな効果
表現は悪いですが、「無為でダラダラと受動的な生活」を送ると、現状維持どころか、下記のようなマイナスなことが起こるとも言われています。
- 脳の衰え: 新しい刺激がない状態が続くと、脳の活動が低下し、神経細胞の数が減少しやすくなります
- 認知機能の低下: 記憶力や判断力、注意力などが低下し、認知症のリスクが高まります
- 意欲の低下: 日常生活が単調になり、生活に張り合いを感じにくくなり、意欲が低下する可能性があります
- 孤独感: 人との交流が減り、孤独感や孤立感を抱きやすくなります
加齢に伴う機能低下(老化)が着実に進み、70の崖から転げ落ちてしまうかもしれません。
もし体力的な問題があるとしても、学習や文化的な趣味などに挑戦するのはとても意味があることなのです。
新たな取り組みを続けることで、脳内に生まれる良い効果
逆に、何か建設的な取り組みには、プラスの作用があると言われています。
- 脳の活性化:新しいことを学ぶ、挑戦することは、脳を刺激し、新たな神経回路を形成するきっかけとなります
・これにより、脳の機能が活性化され、認知機能の低下を予防したり、改善したりする効果が期待できます - 記憶力の向上: 新しいことを学ぶ過程で、記憶力を高めるトレーニングになります
・特に、エピソード記憶(経験に基づく記憶)や手続き記憶(自転車に乗るなど、身体を使った記憶)が向上し、物忘れの予防につながります - 創造性の向上:新しいことに挑戦することで、固定観念にとらわれず、多角的な視点から物事を考えられるようになります
・これにより、創造性や問題解決能力が向上します - ストレス軽減:新しいことに取り組むことで、達成感や充実感を得られ、ストレスが軽減されます
・また、趣味や活動を通して人との交流が増え、孤独感を解消することもできます - 意欲の向上:新しいことを学ぶことで、自己肯定感や達成感が高まり、意欲的に生活を送ることができるようになります
具体的にどのような活動が有効なのか
新たな取り組みの具体例
- 学習:語学学習、楽器演奏、絵画など、新しいことを学ぶ
- 運動:ウォーキング、体操、ダンスなど、体を動かすことは脳にも良い影響があります
- ボランティア:地域活動やボランティア活動に参加することは、他社とのかかわりの点で脳にも良い取り組みです
- 趣味:料理、読書、旅行など、自分の好きなことを楽しみましょう
- 社会参加:コミュニティセンターや公民館の活動に参加するのも良い効果が期待できます
新たな取り組みを続けることは、単に楽しいだけでなく、脳の健康維持や生活の質の向上に大きく貢献します。
但し、「楽しいこと」が大事な前提条件だと私は考えていて、無理に楽しくないことをするのは良くないと思います。
年齢を重ねても、新しいことに挑戦する意欲を持ち続けることが大切です。
個人的には、デジタルコンテンツもお勧めと思っていたのですが、何より楽しさが重要なのと、結果に結びつくところまでたどりつくことも重要なので、向き不向きは有りそうですね。
尚、これから新たな趣味を検討してみようかと思っている方には、「定年後に新たな趣味に、【デジタルコンテンツ】の勧め ~ 認知機能を強化しよう ~」にて、デジタルコンテンツ以外にもいろいろな趣味候補をまとめてみましたので興味が有ったら覗いてみてください。
まとめ
60代、70代を生きるシニア世代は、人生100年時代に待っている80代と90代以降を健康に楽しく過ごすために、「今」何をすべきかを真剣に考えるべき時ではないでしょうか。
私も含めて、シニア世代は「今の生活を変える」には少し抵抗がある年代かもしれませんが、今を漫然と過ごした先には介護生活が待っているだけかもしれません。
そして、今、出来る事はいくらでもあります。
私は、できることから、そして自分が楽しいと思えることから、少しづつ、しかし着実に、ただし自分で意味があると思えることに取り組んでみようと思います。
私は、2024年からいろいろチャレンジを始めてみました。
人から見ると(自分の視点でも)活動自体は、生産性を伴わない不毛なものに映るのかもしれません。
そして本当に遅々としか進みませんし、出来ないことばかりです。
しかし、「今」が20年後の自分を映す鏡と考えて(私が考えたお気に入りフレーズです)、微速でも前進を続けたいと思います。
少しでも共感頂けるところがあると嬉しいです。
少しづつでも考えて、そして行動に移してみませんか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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