京都南部の宇治茶の聖地「和束町」を歩く|茶畑の急登を越え、修験の霊山・鷲峰山(金胎寺)へ

ランニングと登山

京都府南部の和束町には、山の斜面を茶畑が埋め尽くし、「茶源郷」と称えられるエリアが広がります。
宇治茶の本場として知られるこの場所には、実はもう一つの顔があります。それは、役行者が拓いたとされる修験の霊山「鷲峰山(じゅうぶざん)」への道です。

今回は、フランス人観光客も注目する抹茶の聖地から、ひたすら急な茶畑の小径を登り、歴史深い金胎寺、そして日本緑茶発祥の地・宇治田原へと抜ける、少し欲張りな山歩きをご紹介します。

永谷園の創始者・永谷宗円ゆかりの神社や、絶品の淹れ立て新茶との出会い。
五感で楽しむ宇治の「お茶のルーツ」を巡る旅を、あなたも体感してみませんか?

ハイキングルート:茶畑を抜けて鷲峰山へ

今回のコースは、宇治茶の本場の和束町の茶畑の中の急登の道を抜けて鷲峰山に登り、宇治田原の原茶宗明神社へと向かう山越えのルートです。

和束町は、抹茶の生産量が多いことで知られる日本の茶産地の一つです。

国土地理院地図に追記

絶景の茶畑から修験の霊地へ:鷲峰山トレッキング

加茂駅からのバス便は1時間に1本程度で、過疎化が進む中、廃線の危機を訴える放送が流れていました。

そんな利用客の少ないバスに、場違いな感じでフランス人の若者が数人同乗してきました。
フランスでは今抹茶ブームだそうです。バスは25分ほどで目的の停留所に到着です。

茶畑を抜けた道の先に広がる感動の絶景!

バス停留所の和束町から山頂の鷲峰山に向かっては上り坂が続き、やがて更に急坂の茶畑を抜けていきます。

原山バス停の情景

ルート地図のイメージでは、もう少し緩やかな登りはじめと思っていたのですが、意外と急な登りが続きます。

茶畑を抜ける山道

しばらく民家を抜けて茶畑に向かう道中もひたすら単調な登りで、更に茶畑を抜けるコースでは一層傾斜が急になります。

絶景の宇治の茶畑

茶畑の最後の急登を抜けて振り返ると一面の絶景が広がり、見渡せば向かいの山の高い所までも茶畑が切り開かれています。

そんな中での茶摘みの風景は情緒的であり、感動的ですらあります。

美味しいお茶の理由

和束町のお茶 の始まりは、鎌倉時代までさかのぼり、 海住山寺の高僧慈心上人が、茶業興隆の祖とされる栂尾の明恵上人より、茶の種子の分与を受け、鷲峰山の山麓で栽培したのが始まりと言われているそうです。

鷲峰山は、古くからの山岳信仰の霊場

茶畑を抜けると山道に入りますが、意外とここからの方が登り易い道が続きます。

鷲峰山の山頂付近は、役行者(えんのぎょうじゃ)が開いたといわれる山岳信仰の霊場として、金胎寺等の史跡や行場が残っており、奈良時代以降、山岳信仰の場として、奈良の「大峰山(吉野)」に対し「北大峰」と呼ばれるほど栄えたそうです。

立派な木造の重要文化財の「多宝塔」が、新緑と澄んだ空気に映えて重厚な存在感を示していました。こうした古い木造の建造物は、いつ見てもその建築技術に感動を覚えます。

私の好物、多宝塔
昔の若者の記念撮影

実はこの山の目玉は、金胎寺から行場めぐりですが、同行者の体力を考慮して行場は素通りして鷲峰山の山頂を目指すことになっています。

ここから、宇治田原への下りは、杉の落ち葉などでふかふかの土ながら、気を抜くと滑って転ぶ道で歩きにくい道が続きます。

以前に訪れた「金胎寺行場めぐり」の様子

金胎寺からの行場めぐりは、岩登りやロープ、鎖場など、足場が険しい箇所も多くありやや体力が必要です。約4kmの工程で2時間ほどかかりますが、とてもスリリングで楽しいコースです。

ここはまだ穏やかな表情

急な斜面の岩場が始まります。

ここはまだ序の口

危険というほどではありませんが、注意しないとケガは免れません。

すこしづつ険しさを増します

この辺りから修験の道的な景色が続きます。

徐々にスリリングに
険しい道の先の絶景

この山を登ったら、是非訪れたい修験の道です。

永谷宗円ゆかりの地をへて帰路へ

登山道を下ると急に開けて、「茶宗明神社(ちゃそうみょうじんしゃ)」が目の前に現れます。
ここは、永谷宗円を「茶宗明神」として昭和29年、大神宮社に合祀したもので、茶祖の功績をたたえる全国の茶業者の崇敬を集めているそうです。かの有名な「永谷園」の創始者です。

茶宗明神社(ちゃそうみょうじんしゃ)
下ってきた景色

少し下ると、地元のボランティアの昔のお姉さんたちが、無料でお茶を振舞ってくださいました。

ここが生家

ここではサービスだけで、お茶の販売などはしていないそうで、お土産のお茶はどこで買えるかを尋ねると、「少し下ったところに、『やんたん』が有るので、是非立ち寄ってみて」とのことでした。

『やんたん』は日本緑茶発祥の地・宇治田原町の観光交流拠点として2018年6月にオープンしたそうです。
ここで、煎茶の新茶などをお土産ゲットしました。

お買い物は「やんたん」で

帰宅後に改めてネットで煎茶の入れ方をしらべて、お茶の量や湯温や入れる時間などをしっかり守ったところ、煎茶がこんなに美味しかったのかと感動を覚えました。

帰りのバス停は「工業団地口」までは20分ほど歩きます。

フランスで抹茶が人気の理由

抹茶は、その独特の風味と健康効果から、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど世界中で愛され続けています。

そんな中、フランスでは以下の理由で抹茶に対する関心が高まっているそうです。

  • パティスリー文化との融合:抹茶の深い緑色と、ほろ苦さと甘みの絶妙なバランスが、フランス伝統のパティスリーに新たな魅力をもたらしています
    ・ピエール・エルメ・パリの抹茶マカロンや、ラデュレの抹茶フィナンシェなどが有名です
  • 日本食ブーム:日本食ブームの中、抹茶を使ったスイーツや抹茶ラテが定着
  • 健康志向:抹茶に含まれるカテキンなどの抗酸化作用で、健康や美容効果に注目
  • 日本文化への関心:日本文化に関心から日本文化を象徴する抹茶も人気
  • 茶道体験:茶道教室が開かれ、フランス人が茶道の文化に触れる機会が増加
  • 若年層への普及:近年は、SNSなどを通じて若年層に抹茶の魅力を発信する活動が活発化

まとめ

宇治茶の生産を支える「茶源郷」和束町
今回のハイキングでは、高品質な茶葉を生み出す恵まれた自然と、その山々に息づく修験の歴史を肌で感じることができました。

鷲峰山へと続く急峻な茶畑を登り、霧が育む茶の香りを感じ、金胎寺が伝える信仰の重みに触れ、この土地の自然と文化が織りなす奥深い物語を体験できた旅でした。

今回のルートは、駅からバスでの往復が必要ですが、まさかのフランス人との遭遇もあり、めったに味わえない景色に触れ合うことができる特別な山歩きとなりました。
皆さんも、新緑まぶしい茶畑の急登りと、修験の道を体験してみませんか。

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