フランスで抹茶が大人気【宇治の茶畑にも多くのフランス人】 急な登りの茶畑を抜けて「鷲峰山」へ

山歩き

先日、宇治の茶畑を抜けて「鷲峰山」、金胎寺をめぐるルートを散策してきました。

JR加茂駅で和束町に向かうバスに乗ったのですが、我々10人のグループ以外にはほぼ乗客がいない中、しばらくすると若いフランス人のグループが10人前後乗込んできたのです。

何故こんなところにフランス人?と不思議な気分になります。

実は、フランスでは数年前から抹茶文化が大人気なのだそうです。欧州の中でも何故フランスだけが特に盛り上がっているのか、そのブームの事情をご紹介します。

そして、茶畑の急登を抜けて登る「鷲峰山」、金胎寺への散策コースもお楽しみください。

フランスでの抹茶ブームの理由

抹茶は、その独特の風味と健康効果から、世界中で愛され続けています。

アメリカ、イギリス、オーストラリアなど世界各国で抹茶を使ったスコーンやケーキなどのスイーツや、抹茶ラテなどのドリンクが販売されています。

中でもフランスでの人気はズバ抜けていますが、そこにはこんな理由がありました。

  • パティスリー文化との融合:
    ・フランスはパティスリー(お菓子のお店)文化が非常に発達しており、抹茶の鮮やかな緑色や繊細な味わいが、フランスの伝統的なパティスリーと相性がよいそうです
    ・有名なパティシエが抹茶を使ったスイーツ(マカロン、ケーキ、チョコレートなど)を開発しており、それがフランスでの抹茶人気の広がりに大きく貢献し、フランスの食文化に深く根付いていると言われています
     ・ピエール・エルメ・パリ(ピエール・エルメ:世界的に有名なパティシエ):
       抹茶を使った独創的なスイーツを数多く発表
     ・ラデュレ( フランスを代表する老舗の洋菓子店):
       抹茶のマカロンなど、抹茶を使った商品を販売
    ・抹茶の深い緑色と、ほろ苦さと甘みのバランスが絶妙な味わいは、フランス人の新しい味覚を求める傾向にもマッチし受け入れられています
    ・また、抹茶の鮮やかな深い緑色は、視覚的な美しさも追求するフランス人の美意識にも相性が良いようです
  • 日本食ブーム:
    ・フランスでは日本食ブームが長く続き、抹茶を使ったスイーツや抹茶ラテなどのドリンクが日本食レストランの定番メニューとして定着しているそうです
  • 健康志向:
    ・フランスでも健康志向が高まり、抹茶はカテキンなどの抗酸化物質が豊富で、健康に良いというイメージや美容効果に注目が集まっています
  • 日本文化への関心:
    ・フランスには日本文化に関心を持つ人が多く、抹茶は日本文化を象徴する一つとして、人気を集めているようです
    ・抹茶は、茶道など日本の伝統文化と深く結びついており、その神秘的なイメージも人気の一因です
  • 茶道体験:
    ・フランス国内で茶道教室が開かれ、フランス人が茶道の文化に触れる機会が増えているそうです
    ・抹茶を使った茶道体験は、日本文化への理解を深めるための活動として注目されています
  • 若年層への普及
    ・近年は、SNSなどを通じて若年層に抹茶の魅力を発信する活動が活発化しています

フランスで人気の抹茶の本場:「和束町」

和束町は、日本の抹茶生産量の約60%を占める日本有数の茶産地です。美しい自然の中で育まれた高品質な抹茶は、世界中の茶愛好家から高い評価を得ています。

我々とバスに同乗したフランスの若者たちは、「和束山の家前」バス停で下車しました。そこには「安積親王墓」や「正法寺」などがあります。そしてもちろん本場の茶畑が広がっているのです。

観光スポット – いいとこ和束~茶源郷~ (wazukanko.com)

彼らは、乗り合わせた地元のおばあさんにもとても気持ちよく挨拶しながらバスを降りていったのでした。
全員若く30代前後の感じです。

お茶の文化に親しむ彼らの姿は、波のように押し寄せる観光客とは少し趣が違うように見えたのは気のせいでしょうか。

宇治の抹茶文化の拠点

宇治市の中でも、特に抹茶ブームが盛り上がっている地域としては、和束町以外では以下の場所が挙げられます。

  • 宇治市中心部:宇治川沿いの茶畑や宇治上神社など、歴史的な観光スポットが多く、抹茶を使ったスイーツや茶器のお店が立ち並んでいます
  • 黄檗山萬福寺:中国禅宗の寺院で、抹茶を使った茶会が開催されることがあります
  • 宇治田原町: 和束町に隣接する町で、茶畑が広がり、抹茶を使った加工品を販売するお店も多数あります

宇治市全体でフランス人を含む外国人の観光客が増加傾向にあり、特に抹茶を使ったスイーツや茶道体験を求めて訪れる観光客が多いそうです。

「鷲峰山」への道:茶畑から望む絶好の展望、そして修験の史跡へ

さて、今回のコースは、宇治茶の本場の和束町から茶畑の急登を抜けて「鷲峰山」を登り、宇治田の原茶宗明神社へと向かう山越えのルートです。

茶畑を抜けた道の先に広がる感動の絶景!

バスの終点の和束町から山頂の鷲峰山に向かっては上り坂が続き、やがて更に急坂の茶畑を抜けていきます。

ルート地図のイメージでは、もう少し緩やかで変化に富んだ山行と思っていたのですが、意外と急な登りが続きます。

しばらく民家を抜けて茶畑に向かう道中もひたすら単調な登りで、更に茶畑を抜けるコースでは一層傾斜が急になります。

しかし、茶畑の最後の急登を抜けて振り返ると一面の絶景が広がります。

見渡せば、向かいの山の高い所までも茶畑が切り開かれています。

茶摘みの風景は感動的ですらあります。

和束町のお茶 の始まりは、鎌倉時代までさかのぼり、 海住山寺の高僧慈心上人が、茶業興隆の祖とされる栂尾の明恵上人より、茶の種子の分与を受け、鷲峰山の山麓で栽培したのが始まりと言われているそうです。

鷲峰山は、古くからの山岳信仰の霊場

茶畑を抜けると山道に入りますが、意外とここからの方が登り易い道が続きます。

鷲峰山の山頂付近は、役行者が開いたといわれる山岳信仰の霊場として、金胎寺等の史跡や行場が残っており、奈良時代以降、山岳信仰の場として、奈良の「大峰山(吉野)」に対し「北大峰」と呼ばれるほど栄えたそうです。

立派な木造の重要文化財の「多宝塔」が、新緑と澄んだ空気に映えて重厚な存在感を示していました。こうした古い木造の建造物は、いつ見てもその建築技術に感動を覚えます。

以前に訪れた際には、金胎寺から行場めぐりを行いましたが、今回は行場巡りを外したコース設定ですので、行場は素通りして鷲峰山の山頂を目指し、昼休憩となりました。

ここから、宇治田原への下りは、杉の落ち葉などでふかふかの土ながら、気を抜くと滑って転ぶ道で歩きにくい道が続きます。

永谷園創始者と茶宗明神社の歴史

登山道を下ると急に開けて、「茶宗明神社(ちゃそうみょうじんしゃ)」が目の前に現れます。
ここは、永谷宗円を「茶宗明神」として昭和29年、大神宮社に合祀したもので、茶祖の功績をたたえる全国の茶業者の崇敬を集めているそうです。かの有名な「永谷園」の創始者です。

茶宗明神社(ちゃそうみょうじんしゃ) | 宇治田原町 観光情報サイト (ujitawara-kyoto.com)

少し下ると、すぐ右手にはトイレがあり、その先では地元のボランティアの昔のお姉さんたちが、無料でお茶を振舞ってくださいました。

ここではサービスだけで、お茶の販売などはしていないそうで、お土産のお茶はどこで買えるかを尋ねると、「少し下ったところに、『やんたん』が有るので、是非立ち寄ってみて」とのことでした。

『やんたん』は日本緑茶発祥の地・宇治田原町の観光交流拠点として2018年6月にオープンしたそうです。
ここで、煎茶の新茶などをお土産ゲットしました。

帰宅後に改めてネットで煎茶の入れ方をしらべて、お茶の量や湯温や入れる時間などをしっかり守ったところ、煎茶がこんなに美味しかったのかと感動を覚えました。

迷走するバス停探し

無事にお土産をゲットして、後は宇治駅までのバスに乗るだけです。予定のバスの時間迄余裕があるので、更に他の土産物屋を散策します。
ところが、バス停を偵察していたリーダーから予定のバス停、バス便がないと緊急連絡が入り、慌てて先を急ぎバス停を探します。

何とか「維中前」行のバスに乗りますが、「維中前」から「宇治」への乗り継ぎのバスは出発したところで次のバス迄1時間待ちで一同大ショックです。

バス便の検索の難しさと、運行状況の的確な事前調査の重要性が身に染みた出来事となりました。全てをリーダーに任せっきりにした、残り9名の姿勢が問われる一件となりました。少し余分な時間はかかりましたが、何とか無事駅には到着できたのでほっと一息です。

まとめ

最終的には目的地を「新田辺」変更して、性懲りもなく反省会の会場を探し出し、無事に大反省会を満足の内に決行し帰途につきました。

今回は意外にもフランス人集団との出会いを通して「和束町」の歴史にも触れ、今では海外にまでそのお茶文化が繋がっていることを知る事が出来ました。

そして又、「宇治」のお茶文化の理解も深まり、鷲峰山の歴史にも触れることができる旅となりました。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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