新緑の季節を迎え、山歩きが気持ち良い季節になりました。
そこで今回は、宇治茶の本場である宇治田原町の茶畑を抜けて、修験の寺「金胎寺」の近くの鷲峰山を目指す散策に出かることになりました。
今回はメンバーの集まりが良くて、久しぶりに10人もの昔の若者による散策となりました。
コースは意外と登り始めから厳しい傾斜で、茶畑に向かう道を抜けると、宇治の街を一望する茶畑からの絶景が迎えてくれました。
途中のバスでは、抹茶文化が大人気のフランスからの多くの若者の観光客に出会いました。
そんな抹茶好きの聖地、宇治の茶畑から鷲峰山に向かう絶景の登山道を巡る山行の記録をお楽しみください。
今回のルートのご紹介
今回のコースは、宇治茶の本場の和束町の茶畑の中の急登の道を抜けて鷲峰山に登り、宇治田原の原茶宗明神社へと向かう山越えのルートです。
和束町は、抹茶の生産量が多いことで知られる日本の茶産地の一つです。美しい自然の中で育まれた高品質な抹茶は、世界中の茶愛好家から高い評価を得ています。
当日の散策の様子
今回の登山口までは、加茂駅からバスで「和束町原山」バス停を目指すのですが、加茂駅では男女のフランス人観光客が6、7人乗込んできました。全員若く30代前後の感じです。
同行のIさんの話では、実は近年、フランスでは抹茶が大人気なのだだそうです。
そして、宇治を訪れる外国人も増えているのだそうです。
このバスは、少子高齢化の過疎の路線だそうで、我々がバスに乗り込んだときは、他には僅か2人程度の乗客で、道中では廃線防止に向けて、活発な利用の啓蒙の放送が流れていました。
宇治の茶畑を目指すフランス人観光客が、この過疎地のバスの存続の僅かな希望の光になればいいのですが。
フランス人観光客は「和束山の家前」バス停で下車
我々とバスに同乗したフランスの若者たちは、「和束山の家前」バス停で下車していきました。
そこには「安積親王墓」や「正法寺」などがあります。そしてもちろん本場の茶畑が広がっているのです。
和束町の美しい風景、そして世界的な抹茶ブームにより、フランス人にとっても魅力的な観光地なのですね。
彼らは、乗り合わせた地元のおばあさんにもとても気持ちよく挨拶しながらバスを降りていったのでした。
「鷲峰山」への道:茶畑から望む絶好の展望、そして修験の史跡へ
茶畑を抜けた道の先に広がる感動の絶景!
バスの終点の和束町から山頂の鷲峰山に向かっては上り坂が続き、やがて更に急坂の茶畑を抜けていきます。
ルート地図のイメージでは、もう少し緩やかで変化に富んだ山行と思っていたのですが、意外と急な登りが続きます。
しばらく民家を抜けて茶畑に向かう道中もひたすら単調な登りで、更に茶畑を抜けるコースでは一層傾斜が急になります。
茶畑の最後の急登を抜けて振り返ると一面の絶景が広がります。見渡せば、向かいの山の高い所までも茶畑が切り開かれています。
そして、茶摘みの風景は感動的ですらあります。
和束町のお茶 の始まりは、鎌倉時代までさかのぼり、 海住山寺の高僧慈心上人が、茶業興隆の祖とされる栂尾の明恵上人より、茶の種子の分与を受け、鷲峰山の山麓で栽培したのが始まりと言われているそうです。
鷲峰山は、古くからの山岳信仰の霊場
茶畑を抜けると山道に入りますが、意外とここからの方が登り易い道が続きます。
鷲峰山の山頂付近は、役行者(えんのぎょうじゃ)が開いたといわれる山岳信仰の霊場として、金胎寺等の史跡や行場が残っており、奈良時代以降、山岳信仰の場として、奈良の「大峰山(吉野)」に対し「北大峰」と呼ばれるほど栄えたそうです。
立派な木造の重要文化財の「多宝塔」が、新緑と澄んだ空気に映えて重厚な存在感を示していました。こうした古い木造の建造物は、いつ見てもその建築技術に感動を覚えます。
以前に訪れた際には、金胎寺から行場めぐりを行いましたが、今回は行場巡りを外したコース設定ですので、行場は素通りして鷲峰山の山頂を目指し、昼休憩となりました。
ここから、宇治田原への下りは、杉の落ち葉などでふかふかの土ながら、気を抜くと滑って転ぶ道で歩きにくい道が続きます。
永谷園創始者と茶宗明神社の歴史
登山道を下ると急に開けて、「茶宗明神社(ちゃそうみょうじんしゃ)」が目の前に現れます。
ここは、永谷宗円を「茶宗明神」として昭和29年、大神宮社に合祀したもので、茶祖の功績をたたえる全国の茶業者の崇敬を集めているそうです。かの有名な「永谷園」の創始者です。
少し下ると、すぐ右手にはトイレがあり、その先では地元のボランティアの昔のお姉さんたちが、無料でお茶を振舞ってくださいました。
ここではサービスだけで、お茶の販売などはしていないそうで、お土産のお茶はどこで買えるかを尋ねると、「少し下ったところに、『やんたん』が有るので、是非立ち寄ってみて」とのことでした。
『やんたん』は日本緑茶発祥の地・宇治田原町の観光交流拠点として2018年6月にオープンしたそうです。
ここで、煎茶の新茶などをお土産ゲットしました。
帰宅後に改めてネットで煎茶の入れ方をしらべて、お茶の量や湯温や入れる時間などをしっかり守ったところ、煎茶がこんなに美味しかったのかと感動を覚えました。
消えたバス停、迷走するバス停探し
無事にお土産をゲットして、後は宇治駅までのバスに乗るだけです。予定のバスの時間迄余裕があるので、更に他の土産物屋を散策します。
しかし、バス停を偵察していた幹事さんから、予定していたバス停が見当たらないと緊急連絡が入り、慌てて先を急ぎバス停を探ことになり、あたふたです。
何とか「維中前」行のバスに乗りますが、「維中前」から「宇治」への乗り継ぎのバスは出発したところで次のバス迄1時間待ちで一同大ショックです。
少し余分な時間はかかりましたが、何とか無事駅には到着できたのでほっと一息です。
フランスでの抹茶ブームの理由
抹茶は、その独特の風味と健康効果から、世界中で愛され続けています。
アメリカ、イギリス、オーストラリアなど世界各国で抹茶を使ったスコーンやケーキなどのスイーツや、抹茶ラテなどのドリンクが販売されています。
フランスは、日本茶の中でも抹茶に対する関心が高まっているヨーロッパ諸国のひとつで、そこにはこんな理由があるようです。
- パティスリー文化との融合:
・抹茶の鮮やかな緑色と繊細な味わいは、フランス伝統のパティスリーに新たな魅力をもたらし、数々の名パティシエが抹茶を使った独創的なスイーツを開発しています。
・ピエール・エルメ・パリの抹茶マカロンや、ラデュレの抹茶フィナンシェなど、抹茶を取り入れた商品は、フランスの食文化に深く根付いています。
・抹茶の深い緑色と、ほろ苦さと甘みの絶妙なバランスは、フランス人の洗練された味覚を刺激し、新しい食体験を求める傾向とも合致しています。 - 日本食ブーム:
・フランスでは日本食ブームが長く続き、抹茶を使ったスイーツや抹茶ラテなどのドリンクが日本食レストランの定番メニューとして定着しているそうです - 健康志向:
・フランスでも健康志向が高まり、抹茶はカテキンなどの抗酸化物質が豊富で、健康に良いというイメージや美容効果に注目が集まっています - 日本文化への関心:
・フランスには日本文化に関心を持つ人が多く、抹茶は日本文化を象徴する一つとして、人気を集めています
・抹茶は、茶道など日本の伝統文化と深く結びついており、その神秘的なイメージも人気の一因です - 茶道体験:
・フランス国内で茶道教室が開かれ、フランス人が茶道の文化に触れる機会が増えています
・抹茶を使った茶道体験は、日本文化への理解を深めるための活動として注目されています - 若年層への普及:
・近年は、SNSなどを通じて若年層に抹茶の魅力を発信する活動が活発化しています
まとめ
バス騒動が有ったので、最終的には目的地を「新田辺」変更して、性懲りもなく反省会の会場を探し出し、無事に大反省会を満足の内に決行し帰途につきました。
今回は意外にもフランス人集団との出会いを通して「和束町」の歴史にも触れ、今では海外にまでそのお茶文化が繋がっていることを知る事が出来ました。
そして又、「宇治」のお茶文化の理解も深まり、鷲峰山の歴史にも触れることができる旅となりました。
皆さんも、宇治茶の文化に触れてみませんか。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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