❸シニアランナーの熱中症対策|安全に走るための暑熱順化・給水管理・体重減少率・運動後低血圧

ランニングと登山

私は今年で68歳を迎えましたが、気温35℃に迫るこの夏でも、連日7km前後を平均6分15秒/kmぐらいのペースで走り、この7月は月間130kmあまりを走りました。

決して無理はしていませんし、余力をもって快適に楽しく走れており、食欲も旺盛で、特にバテるようなこともありません。

この記事では、シニアランナーが夏場でも安全に走れるようになった管理方法をご紹介します。
決して難しくはありませんが、地道な積み重ねは必要です。

実は私は昨年、熱中症の直前の症状に陥り、二度と夏場は走らないと固く決めていましたし、「シニアの夏場のラン」については、安全のために絶対に無理して走るべきではないという立場でした。

この記事では、なぜその方針を変更したのか、また「シニアランナーが夏場に安全に走るための管理方法」についてご紹介します。

方針変更の理由は、単純に夏場の安全なランニングの自己管理方法を理解し、実践できるようになったからです。
ただし、そのためには、厳守している管理ポイントがあります。

  • 春以降、時間をかけてしっかり走り込んで暑熱順化をしてきた
  • 走る前、走っているとき、走り終わった後のまめな給水管理は絶対条件として厳守している
  • 給水管理の結果指標として、それが適切だったかどうかを体重減少率で必ず管理している
  • 環境負荷に対して、自分の実力の範囲で、当日のペースや距離を管理し、厳守している
  • 温度、湿度、WBGT(暑さ指数)の監視と、その負荷条件に見合う運動負荷を見直し、厳守している
  • できる限り日陰のコースを選択し、日向コースでは運動負荷は厳しく制限している
  • 運動後低血圧を測定し、血管や腎臓や心肺などの身体機能への負荷が妥当だったか検証し見直している

実は、意外と真剣にまじめに取り組んでいます。
これで十分かどうかは分かりませんが、今では真夏の酷暑環境でもバテない持続性は維持できています。

特にシニアは、暑熱環境では絶対に無理をすべきではありません
なぜなら、シニア世代では、発汗効率が低下し、腎臓や心血管の予備力も低下し、体温調節機能も鈍化し、回復困難なダメージを負うリスクが高いからです!

無理のない範囲で夏場のランニングを楽しむためには、相応の準備と管理が不可欠です。
「自分の身体を理解し、準備し、管理する」意欲がない人は、夏場のランニングは控えるべきです。

この記事では、走ることが好きで、夏場にも安全にランニングを楽しみたい人で、自己管理に自信がある人だけに向けて、私が成功した夏場のランニング管理方法をご紹介します。

ただし、これは私自身の成功事例の紹介に過ぎません。
この記事を参考に実践を検討される場合は、自分の頭で考えて、あくまでも自己責任でご判断ください
私は「考えること」も、大きなランニングの楽しみの一つだと感じています。

はじめに

この記事では、夏場に安全なランニングを楽しむために必要な、理解と準備と管理の実践方法をご紹介します。

環境負荷として何を監視すべきなのか、❷脱水症のリスクについて、❸暑熱順化がなぜ重要なのか、❹給水管理の重要性、❺体重減少率や❻運動後低血圧がなぜ重要でどう活用するのか、などについてご紹介します。

目的は、高温多湿環境であっても、運動負荷を下げて、自分にとって安全にランニングができる条件を探り、管理し、実践することです。
リスクを最小化し、無謀な挑戦にならないためのアプローチをご紹介します。

私は、この春以降、累計で700km以上を走り、35℃近いこの夏場の環境でもほぼストレスなく走れています。
無理のない負荷設定と環境選択と、まめな見直しのおかげで、安全にかつ快適にランニングを楽しめています。

私の具体的な取り組みとデータ事例

私は毎回、以下のように、気温、湿度、WBGT、距離、ペース、体重減少率、運動後血圧などを記録しています。

私の夏場のランの管理データの抜粋

一回のデータでは何も分かりません。
しかし10回を超えるデータから、「このWBGTならこの距離」、「この湿度ならペースを落とす」という、自分だけの安全域が少しずつ見えてきます。

私は、このデータの積み重ねこそが、夏場のランニングを安全に続ける最大の武器だと感じています。

適切な運動負荷だったのか、データでも検証

以下では、こうした取り組みがなぜ必要で、どのように活用するのかをご説明していきます。

夏場のランニングが及ぼす身体へのリスクとその対策について

発汗に伴う脱水症状は、血液濃縮による腎臓負担増加、心臓負担増加、消化管への負担増と、連鎖的に身体メカニズムが崩壊していきます。

熱中症の危険性

夏場のランニングで危険なのは「暑いから」ではなく、 脱水 → 血液濃縮 → 腎血流低下 → 心肺負荷増加 という連鎖で体内循環が破綻するからです。

以下は、暑熱環境で起きる体内の変化です。

  • 発汗による水分・塩分喪失
    血漿浸透圧が上昇 し、 のどの渇きが遅れて出る
  • 脱水による血液量減少
    ・血液が濃くなることで血栓リスクが上昇し、 心拍数も上昇し心肺負荷が増加する
  • 腎臓の血流が減る
    ・体温を下げるための皮膚血流が増え、腎臓など内臓への血流は低下する
    ・脱水が進むと腎臓は尿を作る量を減らすため、尿意を感じてもほとんど排尿できないことがある
  • 心臓・脳への負荷
    ・心拍の増加により心臓負担が増加し、血液濃度の上昇で血栓リスクも増加する
    不整脈めまい判断力の低下リスクが増加し、重症化すると熱射病になる

危険サイン

以下の症状は典型的な脱水症による危険サインです。
私たちは、こうした状況にならないように自分自身の運動負荷を管理し、給水管理しなければなりません。

万一、こうした症状に陥った場合は、「 即座に運動中止+冷却+電解質・水補給」の処置を実施します。

  • 頭痛
  • 尿が出ない
  • 体重減少率2%以上
  • めまい・吐き気
  • 異常な疲労感

安全に走るための「4つの柱」

① 春からの「暑熱順化」

暑熱順化とは、 高温環境での運動を続けることで体が暑さに適応する現象です。

季節的な暑さや湿度の上昇に応じて、一定期間の緩やかな運動負荷での順応を促すことで、身体自体の環境変化に対する学習効果で、発汗や、心肺機能の過度な反応を抑制し運動中の対応力を高く維持することができるようになります。

暑熱順化で起きる変化

  • 発汗開始が早くなる
    ・深部体温に応じて、早めに冷却が始まる
  • 発汗量が増える
    ・つまり、冷却のための余力が増える
  • ナトリウム再吸収能力が向上
    ・塩分を失いにくくなることで、汗が薄くなり塩を噴かなくなる
  • 皮膚血流が増え、放熱効率が上がる
  • 血漿量が増え、心肺の余裕が生まれる
    ・血漿量が増え、発汗による血圧低下しにくくなり、心拍も上がりにくくなる

つまり、体温上昇抑制、腎臓への負担抑制、血流の変化で起きるリスクを軽減するような、体質改善効果が期待できるのです。これらは、通常 1〜2週間 で、安定的な効果として体感できるようになると言われています。

しかしシニアでは、腎臓・心臓・血管の予備力が低下しているため、生理的変化の遅れに伴い効果が限定的だったり、応答性の遅れや、更には厳しい環境下での限界を体感しにくいという問題もあり、「準備をしたから大丈夫」ということではありません。

つまり、やればいいという話ではなく、効果につながる行動だったのか、その結果が、しっかり効果として感じ取れるものだったかどうかが重要なのです。

私の場合、下記のような強い実効と実感がありました。
・顔にも腕にも、去年まで発生していた「塩を噴く」現象が皆無となりました
・30℃超えの中で走っても、深部体温が上がっている感じが低く、どこからでも全力走してまたジョグに戻る余力が継続出来ています
・連動時の心肺の余力も増えている感じがあります
・30℃越えの中で8kmほどを5日連続で走っても、バテるようなことはなくなりました

私が効果を実感できるだけの結果を得ることができたのには、それなりの明確な理由があります。

それは、まだ涼しかった春ごろから、夏場に向かって月間150km前後のジョギング習慣を続けた効果だと感じています。なぜなら、こうした感覚は、昨年までには得られなかったものだからです。

つまり、暑熱順化で起きるはずの変化と、その結果で得られるはずの恩恵が、本当に顕在化しているかが重要ですし、シニア世代であっても、地道な積み上げにより一定の効果につながることはできると確信しています。

しかし、これは安全マージンが広がるだけで、より厳しい環境での安全性が上がるということではありません。
個人ごとに、安全な運動負荷の範囲で適切に管理することが重要という点は変わりません。

極論すると、暑熱順化とは暑さに強くなることではなく、熱を逃がす能力が上がることだ、ぐらいに理解しておく方が無難かもしれません。

シニアにとっての更なるリスク

シニアランナーが夏の管理で最も陥りやすい落とし穴は、「走れているから大丈夫」という判断です。
しかし、実際のところは、以下のような機能低下により、自覚症状がないまま、リスクは進んでいるのです。

  • 発汗効率の低下
  • 腎臓の予備力低下
  • 心血管の応答性低下
  • 体温調節機能の鈍化
腎臓へのダメージ

暑熱環境では、脱水などにより血漿量が減少し、血液濃度が増加し、血圧維持のため心拍数が増加し、冷却のために皮膚血流が増加し、腎臓や消化管への血流は減少するのです。

特に、高温環境での皮膚血流の増加に加え、脱水が重なると、腎血流の低下は50%を超え、急性腎障害の危険が高まり、この繰り返しは腎臓に回復困難なダメージを与えるリスクになりかねません。

血液濃度上昇のリスク

血漿量が減少し、血液粘度が上昇すると、俗にいう「血液がドロドロ」状態になります。
この時、特にシニアには、下記のようなリスクが無視できなくなります。

  • 血栓ができやすい(静脈血栓・脳梗塞心筋梗塞の誘因)
  • 心臓の負荷増大(粘度の高い血液を送り出すために心拍数が増加)
  • 微小循環障害(末梢への血流低下による臓器への酸素・栄養供給の減少)

また、脱水と電解質異常(特にカリウムK⁺、ナトリウムNa⁺のバランス崩壊)は不整脈リスクにもつながります。

そのため、夏場のランニングの為には、特にシニアなどでは、春先からの走り込みは最低限の条件かもしれません。

夏場に適応するために春先から備える

暑熱順化後の注意点

一方で、暑熱順化対応後も、高温多湿環境での高負荷運動を長期にわたって常態化させることは推奨されません。

エリートアスリートでさえ、暑熱環境でのトレーニングは2〜3週間以内に限定し、その後は負荷を下げるといいます。
シニアの日常的なジョギングにおいては、「慣れたから安全」という過信が最も危ないのです。

少しでも疲労感を感じたら、回復するまでしっかり休む自己管理を徹底しましょう。
私は、数日続けて暑熱環境で走った後は、強制的に休みを設けるようにしていますし、少しでも疲労感や気力の衰えを感じたら、躊躇なく休みます。

無理をして走る理由など、どこにもないからです。

② 環境負荷(WBGT・日陰コースの活用)の把握

その日の環境で、どの程度までの運動が適切かを判断するには、温湿度データだけでなく、WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)というデータを活用することが強く推奨されます。

WBGTは、「 気温、 湿度、日射、輻射熱 、風」をまとめて、人体が受ける総合的な熱ストレスを評価した指標ですので、運動負荷の適切性・妥当性を判断する際には、より信頼性が高い指標と言えます。
環境省 熱中症予防情報サイト(WBGT実況・予測)

温湿度、WBGTデータを記録し、その日の運動負荷が適切だったかどうかを振り返り、自分にとっての適切な運動負荷を管理することで、暑熱環境下での運動リスクを最小化することができます。
更に、給水管理の適切性や、負荷強度の振り返りとして、後述の体重減少率や運動後低血圧の管理により、より高い精度のリスク管理が可能となります。

WBGT:環境負荷の判断の目安

日本スポーツ協会によれば、以下のように運動の適切性を判断する基準になっています。

WBGT状況の目安
~21℃ほぼ安全
21~25℃注意
25~28℃警戒
28℃以上危険
31℃以上厳重警戒
暑熱環境での無理は禁物

運動にとっては湿度の影響が大きく、汗は出るのに体温だけが上がる危険な状況につながります。
・気温28℃でも、条件次第で、WBGTが30になる日もあれば、
・気温31℃でも、曇りで風があればWBGTが26になることもあります。

自分にとって安全な、環境負荷に対する運動負荷は自己責任で探し管理する

日本スポーツ協会の目安は、あくまでも全般的な目安であり、個人ごとに安全領域は異なります

現在の私の体感や諸データからは、公表WBGT32以下であれば、日影コースに限定して、運動負荷を押さえれば、低リスクでのランニングが可能と感じています。
(日陰でのWBGTデータがないので、実質は日影ではWBGT30未満ぐらいと推定されます)

各個人の安全領域は、WBGTより低いかもしれないし、少し高めでも大丈夫かも知れません。
自分の体力と結果指標のデータを振り返り、自分の安全域の環境負荷に対する運動負荷を探す主体性と管理能力が重要なのです。

現在の自分の身体機能や運動機能に照らして、その環境負荷の下ではどの程度までの運動が許容範囲内なのかを、詳細に分析・管理することで、暑熱環境下でのリスク管理の精度を高めることができるのです。

環境負荷として、「日影」コース選択の絶大な価値

私の自宅から4kmほど離れたところには、全周4kmほどのランニングコースのある公園があり、コースを選べば、70%くらいが日陰の中を走ることができます。

私は、夏場の日差しが厳しい季節には、片道20分をかけてでもこの公園に出かけ、70%くらいが日陰になるコースを走ることにしています。
強い日差しの中で走っていると、日影の恩恵の大きさは絶大であることを実感します。

たとえば、その地域の気温が33℃、湿度70%、WBGTが31-32くらいの環境条件だっとしても、大半が日陰のコースなら、体感的にはWBGTは30以下の感じで、かなりストレスなく走れます。

可能であれば日差しを避けるコースを選択するか、時間帯を選ぶなど賢明な選択をして、出来る限り安全領域を確保するようにしましょう。

日影の多いコースは夏場のオアシス
運動する時間帯への意識も重要
  • 推奨:日の出前後(5〜7時)、日没後(19時以降)
  • 注意:午前9〜10時以降はWBGTが急上昇しやすい
  • 禁止帯:10〜15時は最もリスクが高く、シニアは避けるべき

③ 給水管理の徹底

給水管理がなぜ重要なのか

高温多湿環境で走ると、体温調整のために多量の汗をかきます。
この時、血液への水分やミネラルを適切に保ち供給し続けることが、身体の機能保全にとっての最重要課題となります。

そのため、そうした過酷な環境下での運動時には、まめに水分や塩分などを補給をすることは、思っている以上に非常に重要なことなのです。昭和の感覚で、「頑張れば強くなれる」と思ったら大間違いです。

特にシニアは、強くなる間もなく干からびてしまいます。なぜなら、腎臓・心臓・血管の予備力は低下し、生理的反応は遅れ、応答性も遅く、限界を感じることすらできないからです。

給水管理の具体的な管理方法

  • 走る前(プレハイドレーション)
    ・走り出す30分前に水またはスポーツドリンクを200〜300ml程度摂取します
    ・これが体内の水分リザーブを確保する最も重要なステップとなります
  • 走行中
    ・10分ごとに100〜150ml程度を目安に、感覚ではなくペースで飲む習慣をつけましょう
    ・時間と量は目安で、必要な水分摂取量は環境負荷、運動負荷、個人別の体力などで異なります
  • 走り終わった後
    ・体重の減少分を基準に補給します
    ・帰宅までに時間を要する場合は、200ml前後を目処に摂取しましょう
    水のみの大量摂取は低ナトリウム血症(希釈性低ナトリウム血症)のリスクがあります
    ・水だけでなく、必ず電解質(ナトリウム)の補給も行います
    ・スポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)の活用も有効です

まずは、仮に、1kmごとや15分ごとにまめに給水すると決め、それを守りましょう。
そして、実際にある環境で、ある負荷で走ってみて、脱水症に近い状況になってないか、健全性が保たれていたかを検証し、自分にとっての給水管理のルールを模索し、構築します。

給水管理は、誰かが言う通りに一律に実施すれば良いというのものではありません。
その環境で、その負荷で、その体力で、その準備状況で、その人に適した給水管理があります。

給水管理はとても重要

給水管理が適切だったかどうかを判断する指標

  • 自身の体感、疲労感、違和感
    ・のどの渇きや、運動後の発汗状況、身体の異常や違和感がないか、など
    ・特に、体感としての疲労感は重要です(少しの違和感も見逃さない感度が重要)
    ・翌日に疲労感が残ってないか
    ・走っている途中の尿意に対応して、少量でも排尿ができたか
  • 体重減少率
    ・走る前後の体重測定を厳守し、その減少率から、負荷と給水管理の妥当性を振り返り見直します
    ・給水不足や過負荷な運動で、危険な体重減少率(2%以上)にならないように厳重管理します
  • 運動後低血圧
    ・まずは、無理のない環境、負荷でジョギングなどの30分程度の有酸素運動をおこない、運動後に自分の血圧がどのように変化するかを観察しておき、当日の運動後のデータと比較します
    ・平均的な血圧する変化で、当日の負荷や給水管理の妥当性を総合的に判断する目安になります

個別には、追って詳しく具体的ご説明します。

④ 【結果指標による検証】(体重減少率 & 運動後低血圧)

体重減少率は”給水管理が正しかったかを教えてくれる結果指標”です。

体重減少率=(運動前の体重ー運動後の体重)/運動前の体重×100(%)

運動前後の体重測定習慣

体重減少率が教えてくれること

私は夏場のランニングでは、体重減少率を最も重要な結果指標として考えています。

走る前後で体重を測るだけで、

  • 給水管理は適切だったか
  • 運動負荷は高過ぎなかったか
  • 発汗量に見合う補給ができたか

を客観的に振り返ることができます。

もちろん体重減少率だけで安全性を判断できるわけではありません。

しかし、当日のWBGT気温・湿度、実施した走りのペース、距離に対する疲労感、などに加えて、運動後血圧まで組み合わせることで、自分にとって安全な運動負荷を探る上での非常に有用な指標になります。

私は現在、〜1.5%未満を一つの目安として管理しており、実績としても1.5%前後になると、帰宅後にやや体の僅かな違和感(僅かな貧血気配)を感じることがありました。

また、過去にほぼ熱中症になってしまった時の体重減少率は2.5%でした
今は、2%を超えるようなことはありません。
そうならないように管理できている自信があります。

重要なのは、「何%が正しい」ではなく、自分の身体にとって適切な範囲を見つけることです。

排尿できるかどうかは重要なサイン:

走っている時や帰宅時に、尿意があるのにトイレに行っても「尿が出ない、極端に少ない」「尿の色が濃い茶色に近い」状態は、脱水症状や、腎臓への負荷が高まっているサインです

発汗が激しく、血液中の水分不足な状況で、「血液ドロドロ」状態に近づく前には、身体の水分が枯渇して、尿に水分を回せなくなります。

走っている前後や途中の給水が適切かどうかを判断する上で、排尿確認してみることは重要な視点です。

私の過去の経験でも、喉の渇きが強いと感じる状況や、脱水症状に近いと感じたときには、走っている時や帰宅時に尿意はあるのに、全く尿が出ない状況は何度かありました。

運動後低血圧

運動後低血圧」は、「体重減少率」と共に、環境負荷の下で決めた運動負荷と、その時の給水管理の適切性の結果指標として、非常に強力な管理指標です。

頼りになる運動後の血圧測定
運動後低血圧という魔法の管理データ

私は夏場のランニングで、もう一つ重要視している指標が、運動後の血圧です。

運動後低血圧とは、有酸素運動後に血管が拡張して血圧が一時的に下がる現象です。
この“下がり方”を見ることで、当日の運動負荷や脱水の程度を推測することができます。

例えば私の場合は、運動前の血圧上SBP:145/下DBP:90mmHg)に対して、運動10分後は(115/75mmHg)くらいに下がり、心拍も運動前安静時62⇒運動10分後84ぐらいが平均的な値です。

日々の変動があり、目安としての活用になりますが、平均的に安定しているかどうかは重要な管理指標になります。

また、給水不足や過負荷条件で走った時は、運動後の血圧が(95/70)くらいまで下がり、心拍も高止まりし、脱水症状に近い体感を反映した数値を示すことが多く、リスク管理的に高い再現性のある指標だと感じています。

体重減少率と合わせて判断することで、自分の運動リスクの管理精度を高めるツールとなっています。

いつもより極端に運動後の血圧が低い立ちくらみがある脈拍が高いまま体重減少率が1.5%を超える、などの変化があれば、その日の運動負荷暑熱環境給水量が自分にとって適切ではなかった可能性があります。
こうした振り返りに基づき、次回以降の運動負荷や給水管理、運動実施の適否の判断を見直すのです。

👉 運動後低血圧の詳細については「❹シニアランナーが本当に管理すべき 5つのデータ」もご参照ください。

まとめ

夏場のランニングは“気合”ではなく“管理”し、判断して行うものです。

データを使い、自分の安全域を知り、無理をしないことが重要です。

大切なのは、暑い中を走ることではなく、この先も健康で長く走り続けることです。

そして、この記事で最もお伝えしたかったことは、「人それぞれ、安全域は違う」ということです。

年齢、体力、暑熱順化の程度、持病の有無、運動経験によって、安全に走れる条件は大きく変わります。
だからこそ、公表されている基準値などはあくまで出発点であり、自分自身の身体の反応やデータをもとに、安全域を探っていく姿勢が大切なのです。

私自身も、試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの管理方法を築いてきました。

この記事が、皆さん自身の「安全に長く走り続けるための管理方法」を考えるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

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