真夏でも、天気さえよければ、上高地から涸沢カールまでのトレイルには、ここだけにしかない絶景との出会いがあります。
逆に言うと、晴れ間が望めない条件では、「行っただけ」になるリスクもある、と個人的には思っています。
今回の山行では、事前の「曇り時々雨」予報を裏切るかのように、スタート時点では朝もやの中に朝日が射し込んで、神秘的で幻想的な景色が広がり、涸沢カール到着時にも青空を背景に壮大な穂高の山並みが映えていました。
この記事では、現地の素晴らしい見どころを写真中心にご紹介します。
一方で、上高地から涸沢までの標高差は約800mあり、しかも横尾まで約10km歩いた後に待っている約700mの登りは、地味にこたえます。シニアの面々の脚力には、結構なダメージがあったことも事実です。
結果的には全員無事に山小屋への到着と下山を果たしましたが、満身創痍の感も否めない状況でした。
涸沢カールは、条件が整えば本当に素晴らしいところです。
しかし、70歳前後の私たちにとっては、不確定な気象条件にかけて『絶景を見るために30km超を歩く価値があったか』を考えさせられる山行でもありました。
シニアの山行では「コースタイム」を過信しない
シニアのグループでは、誰か一人の体調変化だけで予定が大きく崩れることを前提にする必要があります。
前日の休養が体調管理の要
前日は前泊組と車中泊組に分かれて、「あかんだな駐車場」集合で上高地に向かったのですが、若いころと違い、シニアの車中泊は思った以上に体への負担が大きかったようで、結局登りで体調が悪かったのは、車中泊でほとんど眠れなかった人でした。
私は、安価な素泊まりの温泉宿でしたが、クーラーもなく夜中も道路を通る車の爆音が絶えない部屋で、殆ど眠れないながら、温泉につかり、布団で足を延ばして休めたことで、眠いながらも元気に歩みを進めることはできました。
70歳前後になると、山行前日の「睡眠の質」と「体を十分に休められる環境」は、想像以上に重要なのかもしれません。
当日の様子
私たちは金曜日の朝、「あかんだな駐車場」から5時過ぎのバスに乗り、上高地に着いてから軽く朝食をとり、6時過ぎには上高地バスターミナルを出発したのですが、横尾から涸沢への出発が10:30と超スローペースになってしまいました。コースタイムは3時間程度でしたので、少し焦ります。
そして先発隊が涸沢ヒュッテに着いたのは、なんと15時頃になっていたのです。70歳前後の高齢者ともなると、誰かのコンディション次第で、思ったように進めなくなります。
最終的には16時までには全員無事に宿に到着しましたが、相当な余裕をもって出発してもこんな結果になってしまいました。全員無事に到着できて本当に良かったとしみじみ思います。
翌日の下りでは全員体調も回復して、それでも登りのコースタイムぐらいで何とかの下山となりました。
上高地と涸沢カールの絶景ポイント
定番の大正池はバスで通過:幻想的な朝霧の中の景色
大正池にバスが止まると、半分以上の乗客は降車していきました。
このバス便では、涸沢カールを目指す人はそれほど多くなかったということのようです。

バスターミナルから河童橋へ
流石にこの時間では、ごった返すというほどの人出ではありませんが、昔何度か来た時に比べると、平日の早朝にしては以前より人の数は多い印象です。


一番のお気に入りは岳沢湿原の神秘的な景色
私は個人的に、上高地では「岳沢湿原」の景色が一番好きです。そこで今回は、少し距離が長くなる「梓川右岸道」を仲間に強く推して、無事に大好物の絶景に巡り合うことができました。


この日は、朝もやと爽やかな日差しの絶妙のコンビネーションで、過去一の木漏れ日写真が撮れ大満足です。似たような冥途の土産のお宝画像がたくさんゲットできました。


明神から先は、やや単調な登山口ヘのアプローチ
明神池までは、定番のハイキングコースで、多くの観光客が行き交います。
ここから先は、キャンプと山歩きの人たちが増えていきます。

この先の徳沢では、お楽しみのソフトクリームで英気を養います。
ソフトクリームは明神では¥600でしたが、徳沢では¥500で少しお得感があります。
横尾からの本格的な登りは雨の中
横尾に着くころから雨がパラツキはじめ、横尾を出発するころにはカッパを着用する人が大半となりました。この後、涸沢カールに着く少し前まで降り続き、雨具の中は湿気でジトジトです。

横尾大橋を越えてしばらくすると、登り傾斜が徐々に強くなり、じわじわと体力を削っていきますが、マイルストーン的にお楽しみスポットもあり、何とか気力を振り絞る感じで登ります。

後続の「体調すぐれないチーム」との距離は徐々に開き、先発隊は口先だけで心配しつつも山小屋のおでんと生ビールにおびき寄せられていきます。
ご褒美の涸沢カールの絶景





オススメ情報
上高地は飲料水の無料補給ポイントが多い
上高地では、バスターミナルから横尾までの約10kmの間に、湧き水の無料給水所がほぼ3-4kmおきにありました。
天然水で、とても美味しい水でした。また、山小屋の涸沢ヒュッテでも給水設備が提供されていました。
私たちは600mlのペットボトル2本を持参しましたが、途中の給水ポイントや山小屋で補給できたため、今回の行程では結果的にこれで足りました。
ただし、真夏の山行では発汗量や気温によって必要な水分量は大きく変わります。1.2Lで足りたのは、あくまで今回の私たちの場合です。
帰路のバスの並び回避を考慮すると、沢渡よりあかんだな駐車場の選択は「あり」
沢渡の駐車場は、あかんだなより収容台数がかなり多いこともあり、特に土日の上高地からの帰りのバス便は、沢渡行は長蛇の列になりがちです。
大阪方面からの場合、「あかんだな」は「沢渡」より高速代が少し高くなりますが、走行距離が約70km短いため、ガソリン代まで含めると交通費の差はほとんどありません。そのうえ所要時間は概ね1時間短くなります。
特に帰路のバスの並びを考慮すると、選択肢としてあかんだな駐車場の方がおススメかも知れません。
私たちの帰路は土曜日で、バスターミナルは観光客で溢れかえっていましたが、あかんだな駐車場行のバスは、比較すると明らかに空いていました。上高地出発が14時くらいの便の待ち時間は10分前後で乗れました。
涸沢ヒュッテ
小屋はベッドが広く、隣人とも十分な空きや仕切りがあり、とある白馬方面の山小屋のぎゅうぎゅうの部屋と比べると別次元の快適さでした。
料理の品数も充実しており、ごはんとお味噌汁のお替わりも自由で、山小屋の食事としては大満足です。
料金は1泊2食16,000円(別途、長野県宿泊税200円)。
山小屋の宿泊料金としては、年々ハードルが上がっている印象です。
山小屋そのものの管理はしっかりしている印象でしたが、共同トイレについては、利用者の使い方の問題で、清潔感の面では想像を超えるレベルで厳しい環境でした。
旅のまとめ
個人的には今回で4回目の上高地で、二回目の涸沢カールでしたが、これまでも総じて天気には恵まれていましたが、今回は朝もやの中での味わい深い絶景に巡り合えて、最高の旅となりました。
とはいえ、途中ではしっかりと雨にもあい、想定外のロスタイムでヒヤヒヤし、登山靴のソールが完全に剥がれた人もおり、足をつりまくる人も多数で、帰路では皆が膝など多くの痛みを抱えての下山となりました。
それでも全員無事に下山できたのは、それなりにしっかりした準備と、判断があってのことだと痛感しています。
60代を過ぎると、思った以上に体の対応力が落ちていることを実感します。
そして今回の山行を通じて、特に70代になると、体力低下の個人差の広がりを強くを感じました。
特にロングトレイルは不測の事態への対応が難しくなるので、企画段階での念入りな計画が必要そうです。
何より、一度の山歩きの無理で、その先の日常生活の質を損なうようなことがあってはなりません。
普段から十分以上に体を鍛えていたり、長く強靭な体を保っていない限り、自分の体力に見合わない山行への参加は慎重になるべきだと痛感しました。
上高地は魅力的ですが、涸沢カールまでとなると、私はもう行かなくてもいいかなと感じています。
シニアのたしなみとして。
絶景は素晴らしかった。
でも、その絶景を得るために、日常生活まで犠牲にする必要はない。
シニアの山歩きでは、そこまで含めて山行なのだと思います。

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