私がランニングを始めたのは還暦前でした。
そこから約9年間、走ったり休んだりを繰り返しながら、ようやく「習慣」と呼べる状態になったのは、実は今年の春のことです。
その春から、私の走りは驚くほど変わりました。
理由はシンプルです。
自分の走りを観察し、分析し、言語化し、振り返り、そして見直し続けたからです。
今では、68歳目前にしてこの春以降は毎月150km前後を走り、 膝や足底筋膜、ふくらはぎに痛みが出ることもなくなりました。
それでも、あえてペースを落とし、距離を制限し、 「余裕で走れる状態」を常に保つようにしています。
ここに至るまでの道のりは決して順調ではありません。
むしろ、故障の連続でした。
この記事では、 私がどのようにして「67歳で月200km走れる身体」を作れたのか、 その変化のプロセスをストーリーとして紹介します。
実のところは、身体を作ったというより、「 フォームが洗練され無駄がなくなった」ということだと思います。
第1章|故障の歴史──走れなくなるたびに、走り方を見直した
ランニングを始めた頃の私は、「走る=脚を動かすこと」だと思っていました。
還暦の初心者として、正しい身体の使い方も知らず、 YouTube動画を参考にしながら、 「自分は正しく理解できている」と思い込んで走っていたのです。
疲れていても、膝に違和感があっても、 「これくらいなら大丈夫」「自分はできるはずだ」 と自分に言い聞かせながら走り続けていました。
そして代償はすぐに、そして何度もやってきました。

- 膝痛:鵞足炎(がそくえん)、膝蓋外側圧迫症候群(ELPS)
- 足底筋膜炎
- ふくらはぎの張り、肉離れ
- 股関節の違和感
細かい違和感や小さな故障もたくさんありました
月50kmも走っていないのに、 3か月に一度はどこか故障して休む。
今思えば、この数年は休んでばかりの日々でした。
それでも当時の私を褒めてあげたいのは、 身体のSOSを無視せず、しっかり休んだことです。
おかげで、このゲームから退場することはありませんでした。
そんな中で、ある時ふと気づいたのです。
「故障の原因は疲労ではなく、フォームそのものにあるのではないか」
これは突然のひらめきではなく、 試行錯誤と反省の末にたどり着いた気づきでした(ここ重要!試験にでます)。
この気づきが、私のランニング人生の転機になりました。
👉故障回避の詳細は、 ❶ シニアのランニングで最も注意すべきは膝の故障|80代まで走るための7つの習慣 をご参照ください。【工事中🙇♂️】
👉熱中症対策は、 ❸ シニアランナーの熱中症対策|暑熱順化・給水・体重減少率の考え方 で詳しく紹介しています。【工事中🙇♂️】
特にシニアの夏場のランは十分な注意が必要です!
それでも、適切な管理を行うことで、無理のない範囲でのランの可能性を、実体験をもとに具体期に探ります。
第2章|転機:臀筋主導の走りとの出会い
故障の原因を探る中で、 私は「臀筋主導の走り」という考え方に出会いました。
それまでの私は、 脚の末端の筋肉(ふくらはぎ・前脛骨筋・足裏)に頼って走っていました。
そのため疲労が局所に集中し、坂道では大きく減速し、息が上がり、 限界がすぐに来ていたのです。
体幹を意識したり、思いつく工夫を試しましたが、 初心者の我流では限界がありました。
しかし、臀筋を使う走りを意識し始めるだけで、 走りは驚くほど変わりました。
もちろん、臀筋を使うことは、 腰高の姿勢や股関節の回動の意識とも連動するため、 複合的な効果があったはずです。

それは、 今思えば「単に基本が少しできただけ」だったのですが、当時の私には、 身体を通して理解した大発見でした。
臀筋主導で起きた変化
- 登り坂でもペースが落ちにくくなる
- 下り坂で自然にペースが上がる
- 脚の末端が疲れにくくなる
- 走りの“余裕”が生まれる
- 故障が激減する
当時は、聞きかじりの情報に基づく、なんとなくの感覚でした。
ただ、「走ることが楽になった」という事実だけは確かでした。
このころから、特に印象的だったのは、 疲労の限界が筋肉ではなく、心肺の余裕度で決まるようになった という変化です。
これは、走りの質が根本から変わった証拠だったのかもしれません。
👉私がまだおぼつかない走りをしている当時の、臀筋主導の走りへの気付きの感覚に関しては、過去の記事にご紹介していますので、よかったらこちらをご参照ください。。
第3章|フォーム改善の旅──重心通過・押さない・乗り込まない
臀筋主導の重要性を自分の身体の感覚を通して理解した私でしたが、 それを本当の意味で自分のものにするには、 さらに試行錯誤が必要でした。
9年間足踏みしていた走りが、 この4か月で一気に変わり始めた理由は、 技術ではなく、 「身体の動きを観察し、言語化し、実践し、見直す習慣」 が身についたからだと実感しています。
その中で得た最大の気づきが、 「重心を前へ流す感覚」でした。

これも、そのときはメカニカルな理由などはよく分かりませんでした。
ただ、 「身体が前へ勝手に運ばれる」 という感覚だけは確かにありました。
後になって、それが 重心通過と荷重方向の問題 だったと理解することになります。
地面を押す感覚との戦いでは、 身体がその間違いを理解するのに時間がかかりました。
私の場合は、押す意識が強いほど接地時間が長くなり、結果としてブレーキが増えていたようです。
重心真下接地に加えて、 接地時の荷重方向の意識も重要でした。
これは、私の走りを根本から変えたブレークスルーでした。
👉荷重方向の詳細は、 ❷ 重心真下着地だけでは足りない|荷重方向が故障を決める理由 をご参照ください。
【工事中🙇♂️】
第4章|データが示した変化──身体は正直だった
フォーム改善を続ける中で、最近導入した スマートウォッチのデータからも大きな気づきがありました。
以前は感覚だけで走っていましたが、 この小さなデバイスが、 私の走りの解像度を一気に上げてくれました。
3月以降、ジョギング習慣が定着して以降の、私の走りがどう変わったのか、その「Before/After」は、ざっと下表のような状況です。
Before / After
| 指標 | 我流の頃(※推定値) | 現在のフォーム |
|---|---|---|
| 垂直振動 | 7〜8cm | 6.7cm未満 |
| 接地時間 | 0.30秒前後 | 約0.23秒 |
| ピッチ | 約170〜180spm | 180〜190spm |
| 運動後血圧 | 未測定 | 約115/85mmHg |
※「我流の頃」の数値は、スマートウォッチ導入前なので、あくまで体感に基づく推定値です。
そして、現在も我流であることに変わりありませんが、走りの内容自体は格段に変わった実感があります。
数字以上に嬉しかったのは、 身体で感じていた変化が、 データにも現れていたことでした。

👉データの詳細は、 ❹シニアランナーが本当に管理すべき 5つのデータ|タイムより大切な 身体の声を数字で聴く方法 をご参照ください。
第5章|楽しくなった理由──走りが“学び”になった
フォーム改善を続ける中で、 私にとっての走りは「学び」の場へと変わっていきました。
楽しくなった理由
- 身体が軽くなる (3月以降、少しづつですが実感できるレベルです)
- 故障が減る (3月以降、累計600kmの実績で大幅な良化を体感しています)
- データが改善する (スマートウォッチの情報で、新たな視点の気づきが得られます)
- 自分の走りを理解できる (走りを言語化し、振り返ることで私の走りが変わりました)
- 毎回のジョグが“実験”になる (自分で考え、実践し、見直す楽しさが継続の秘訣かも)
- 未来の自分への投資になる (これは、私にとって最も崇高な動機です)
特に、 「楽に走れるフォームを探していたら、その結果として健康になる」 という感覚は、私のランニング観を大きく変えました。
昔はタイムを追いかけていました。
今は、身体の違和感を大切にし、 走りの内容そのものを追いかけています。
なぜなら、 このゲームから退場したくないから。

もしあなたがいま、もし義務感で走っているなら、 少しだけ視点を変えてみませんか。
走りを「トレーニング」から「実験」に変えるだけで、 景色はガラリと変わります。
私自身、「走り」そのものよりも、自分の身体を理解していく過程が好きなのかもしれません。
走ることの恩恵はとても優れており、それは強い動機になります。
しかし、一方で、義務感は最大の敵だと考えています。
「どうやって楽しむかを工夫すること」は、自律的でありたい大人のたしなみ、ではないでしょうか。
終章|67歳からでも身体は進化する──そして、80代まで走れる身体へ
私はもうすぐ68歳になります。
だからこそ思います。
ランニングは、若い頃の自分と競うためのものではありません。
10年後、20年後も、自分の足で大地を踏みしめ、 自分の意思で好きな場所へ行ける身体を育てる時間です。
そのために必要なのは、速く走ることではなく、 故障しない身体を毎日静かに育てていくこと。
ジョギング習慣は、 私にとって最高の趣味であり、 未来の自分への贈り物でもあります。
臀筋を意識し、フォームを少しずつ見直し、 身体とデータの両方に耳を傾ける。
そんな一つひとつのプロセスが、 未来の自分への投資であり、 毎日少しずつ贈り物を積み重ねるような時間になっています。
もしこの記事が、 あなたがご自身の身体と丁寧に向き合うきっかけになれば、 これほど嬉しいことはありません。
身体は、いつからでも進化できます。
そして今日の一歩は、10年後の自分への贈り物になります。
あなたも、80代へ、そしてその先まで続く、自分だけの物語を歩んでいきませんか。


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